熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)』坂井真紀2009.8 熊切和嘉『空の穴』2009.9
2009/8/6(木)
核兵器廃絶に向けた動き。政府の被爆者施策。
裁判員制度の報道。感情的劇場化裁判参加制度における厳罰化という言葉が現実化したのかどうか。
後期の政治学概論の授業は、官僚内閣制なのだが、ずいぶん、様変わりになるかも知れず、大変。
夜、去年話題になっていた日本映画(東映系)を見る。
秩父鉄道、埼玉(寄居町)の緑、花咲く空き地、そして、神社の裏側から見る日常とお祭りの様子が嬉しい。
ヨリイフィルムコミッション!
熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)』105分、2008年。脚本:宇治田隆史。
坂井真紀主演。この熊切監督という監督のことはまるで知らないが、すでにこのノン子で7本目だそうだ。デビューは『鬼畜大宴会』というちょっとまずそうなタイトルのもの。で、坂井真紀はもう2作品、彼の映画に出ている。監督と俳優のつながりって、分かりやすいものではある。坂井真紀・・・連合赤軍の映画に出ていた女優さんだと妻に教えられるまで忘れていた。
二人の男。過去の男を鶴見辰吾、若くふらりと鉄道に乗ってやってきた男が、星野源という人。DVDの裏に「俳優、ミュージシャン、執筆家」とあるように、独特の味がある。
神社の神主一家、その長女で「家事手伝い」というよりも、「家業手伝い」として、巫女さんにお祭りのときにはなるって感じだ、ノン子は。同級生のバーの人や、お祭りのときのテキヤを仕切る男に、津田寛治。「イベントデザイン論」という後期の授業にもちょっと役立てられそうで、嬉しい。
水無月の祓い祭りなのに、雨で一週間延びるのは、新暦問題もあるが、それが、もちろん物語り的には大きなポイントになる。どこか、間抜けた感じのまち、人たち、そして肩の力が抜ける作品。アンチドラマティックと大げさに構えるわけではないが、肩透かしのなかでの恋愛劇。ウツっぽいところもなく、精神は思いのほか健常で、父親の神主さえ、そんなに偏屈でもない。
熊切和嘉という監督さん。また、映画の楽しみが一つ増える。
2009/9/29(火)
昨夜は、家でしずかな映画を見た(DVD)。
熊切和嘉監督作品『空の穴』127分、2001年。
寺島進・菊地百合子(菊地凛子)。
ことばが少ない。方言はすごいわけでもないが、聞き取りずらい小声だったりすることがある。
映像の美しさ(とてもその土地への愛情は熱いなと思わされるのだが)にも抑制がかかっている。
疲れていたし飲んでもいたので、しんぼうしていた無音のシーンなどでは、ふっと意識がとだえ、その瞬間ぐらいに、場面が変わり、びっくりして戻したら、ちょうど場面が変わる寸前に意識がとだえていたりした。
まるで、太田省吾の舞台を見ていたときのように。
つまり、ちょうどいい、あるいは娯楽的な視聴から苦行になってしまう、その直前あたりのぎりぎりの集中力をもってみるのが、アーツとエンタテインメントを併せ持つ良質の映画だという仮説にたつと、それがもうこの若き監督(1974年生まれ)は会得しつつあったのではないか、と思わせる映画だともいえる。(もちろん、太田省吾さんの無言劇においては、もっともっと集中力が必要で、そうしていても、ふっとどこかにいくことがあり、その経験も含めて彼の作品なのかもしれないと思わせる何かがあったように思う。)
今朝、インタビューや公開の軌跡という特典映像があり、それで、昨夜の印象を強化しておく。
北海道が地元だということ。
「穴」という言葉が、とても色んな意味、比喩、気持ちになっているということ。空隙のすがすがしさとむなしさと。
大阪芸大の映像スタッフの力のすばらしさ。・・・
『ノン子36歳(家事手伝い)』が評判だったので購入し見て、おっと、この熊切監督はいままでどんな映画を撮ったんだろうという関心からこの『空の穴』を購入していたのだが、もう一度、ノン子を見ると、また面白いかも知れないなと思わせる。そして、また『空の穴』を見ると・・・一回だけではもったいない映画こそ、いい映画の条件の一つだなとしみじみ。
