今日が最後の日だとしたら
朝、少し早く起きる。
米を洗って、出汁をとって。
夫の好きな煮物を、いつもより少し丁寧に作る。
そのうち、玄関が騒がしくなる。
「ののさん!」
孫たちの声。
息子家族、娘家族。
夫も台所を覗きに来て、味見だけしてまた退散する。
食卓に全部並べる頃には、もう座る場所がない。
みんな好きなものから箸をつけて、
誰かの話に誰かが笑って、
子どもがこぼしたお茶を誰かが拭いて。
私は少し離れたところから、それを眺めている。
賑やかで、ちょっとうるさくて、
でも、これがいい。
夫と二人だけだった頃を思うと、
よくもこんなに増えたものだと思う。
片付けは、しない。
今日で終わりなら、
洗い物なんて残していい。
もう少しだけ、
この賑やかな中にいよう。
これで いい。

