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18時間で200名!営業知識を活かしたデザイナーのメンバーシップ集客術

だれでも月額制コミュニティをつくれる「noteメンバーシップ」。うまく運営していくには、どのようなコツや施策が必要でしょうか?

今回お話をうかがうのは、「ミヤマさんち。」を運営するミヤマ|営業部にいるデザイナーさん。グラフィックデザイン/マーケティング/最新AIの実務活用をおもなテーマに情報発信しています。企業の営業部でインハウスデザイナーとして活躍しつつ、双子の母という多忙さのなかでメンバーシップを立ち上げ、開設後およそ4ヶ月で600名(2025年9月24日現在)の参加者を集めました。

この記事では、ミヤマさんの生の声を通じて、メンバーシップ運営の極意と、継続的なコンテンツ制作のノウハウを掘り下げていきます。


質の高い創作に集中できる環境、それがメンバーシップだった

——なぜ「情報発信」をはじめようと思われたのでしょうか?その原動力をくわしくお聞かせください。

ミヤマさん:動機は本当にシンプルで切実でした。コロナ禍で、どこにも出かけられない。社会から隔絶された気分で、このままでは頭がおかしくなってしまう、と本気で思ったからです。

というのも、私は多摩美術大学でデザインを学んだあと、企業のインハウスデザイナーとして働いていましたが、2019年に双子を出産して育児休暇に入りました。ご想像どおり、毎日が戦場です。

朝から晩まで「バブーバブー」の赤ちゃん語しか耳にしない生活。外出して気分転換もできない。そこではじめたのが、X(旧Twitter)での発信です。

私にとってXは、社会との唯一の接点だったんです。仕事のためとか、収益のためとか、そんな高尚なものではなく、自分のアイデンティティを保つための命綱でした。夜中にこっそりデザインのTips(コツ)を投稿するのが、私の息抜きであり、精神の安定剤だったんです。この切実さこそが、私の発信活動のすべてでした。

最初は趣味感覚でしたが、続けるうちに読者から反応をもらい、交流が生まれることで「私でもなにかの役に立てるんだ」という手応えが出てきたんです。

——Xがうまくいったこともあって、noteもはじめられたのですか?

ミヤマさん:はい。Xでの「ノンデザイナーさんにもわかりやすいデザインTips」が受け入れられ、フォロワーは7.1万人(2025年9月時点)を超えました。その流れでnoteでも単発記事の有料販売をはじめたんです。

というのも、副業収入を得ようと考えたとき、私の場合は本業の仕事と育児で時間の制約があります。そこで収益の主軸を労働集約的なクライアントワークではなく、一度コンテンツをつくってから継続的に売るストック型の情報発信に移す判断をしました。

noteは課金や購入フローがなじみやすく、日本語でのサポートが受けられて安心感があります。それに、私のXのフォロワーは文章をきちんと読む方が多いんです。私自身、ライティングは苦ではないので、コンテンツ制作にかかる労力はそれほどかかりません。

加えてnoteはかんたんに操作できてUIがきれい。クリエイターのためのメディアプラットフォームという点でも、親和性が高かったですね。

それに私、じつはCXOの深津貴之さんのファンなんです!深津さんのおかげでAIにも早い段階から興味を持ち、独自の視点で発信できる分野を見つけられました。それが、いまの活動につながったんだと思います。営業部の経験も活かすことで、ブランディングやマーケティングを意識した情報発信が自然にできるようになりました。

——なぜ、単発の有料記事の販売からメンバーシップへ移行を決めたのでしょうか?

ミヤマさん:すぐに「このやり方ではたのしくない」と限界を感じたんです。単発の有料記事を販売するさいは、マインドをクリエイターからセールスパーソンに切り替えていましたが、私の場合、これが創作活動と比べて、どうしても興味がわかなくて……。

記事を企画し執筆したら、販売準備をしてXで「本日限定!」「タイムセールです!」と何度も発信する。正直、セールスと仕込みに、創作と同じくらい、あるいはそれ以上の時間を費やしていました

もちろん、それはひとつの戦略として大切なことです。しかし情報発信で私が本当にしたかったのは、新しい技術に触れながら目一杯クリエイティブをして、その過程や結果を伝えること。できることならセールス活動をせずに収益をあげたい、と思ったのが理由です。

だから、メンバーシップというかたちを選びました。これは私にとって、「セールス活動から解放されるための戦略」なんです。「月額○○円を払えば、私の過去から未来までの全知見を得られます。以上!」という状態をつくることで、純粋に、質の高いコンテンツの創作と、検証・アップデート・SNS発信に集中できるようになりました。

開設後わずか18時間で200人のメンバーを集めた手法

——ミヤマさんのメンバーシップは、初速の速さが衝撃的でした。2025年5月の開設後、わずか18時間で200人近くが参加。この圧倒的なスタートダッシュの秘密を教えてください。

ミヤマさん:これは営業部での経験が活きた部分ですね。マーケティングの王道「リスト(メールアドレス)の保有」を実行しておいたのが功を奏しました。

マーケティングにおける「リスト」とは、企業が自社の顧客や見込み客の情報を収集、管理し、活用する戦略的資産のことを指します。

私は2〜3年前から月に1回、デザインやAIの最新情報をメールでお届けするニュースレター「MiyaNew」を発行し、そこから熱量の高いフォロワーのメールアドレスを8,500人分ほどいただいていました。Xがバズったときに、フォロワーにニュースレターを案内しています。

MiyaNewのヘッダー画像
月1回発行されるニュースレター。登録者はいつでも配信を解除できるうえ、プライバシーポリシーをしっかり明記するなど、ファンが気軽にフォローしやすくなる工夫がほどこされている

ミヤマさん:メンバーシップをはじめるときは、Xという公の場では一切告知せず、まずこのリストのメンバーだけにメールで「あなただけの優遇告知です」と先行案内をしたんです。そして初期のメンバー枠として用意していた200人分がニュースレターの方々でほぼ埋まった段階で、初めてXで「おかげさまで、もう200人もの仲間が集まりました!」と発信しました。

——なるほど!最初からリストをお持ちの方は多くないと思いますが、告知する場所(SNS)の優先順位を考えたり、初期メンバーの人数枠を工夫したりするだけでも、メンバーシップに対する印象や初速が変化するんですね。

ミヤマさん:そうなんです。この「先行優遇」と「ロケットスタート感」を組み合わせた戦略的な初速が、コミュニティへの信頼感と話題性を一気に高めました。

それにリストを保有しておけば、仮にXアカウントをBANされてしまっても、“熱量の高いフォロワー”との大切な関係性を守るリスクヘッジにもなります。

——ちなみに、Xとメンバーシップはどのようにつかい分けているのでしょう。

ミヤマさん集客はX、深い内容はnote、と役割分担を徹底しています。たとえばXではAIのプロンプトを1つだけ紹介し、「くわしいつかい方はnoteのメンバーシップで」と誘導しています。

いわばXは試食、noteが本編。noteは本当に学びたい、深く知りたい方に読んでもらう想定です。ほかにThreads、ニュースレターなども活用していますが、情報の深度に合わせて場をつかい分けるのが、自分に合った運営スタイルになっています。

無理なく、ほどよい距離感で交流するための工夫

——これだけ多くのメンバーとやり取りしていても、無理なく続けられている様子が印象的です。コミュニケーションについて、ご自身なりのこだわりがあれば教えてください。

ミヤマさん:コミュニティ運営も、メンバーシップ継続の大きなカギでした。メンバーシップは一方通行の情報発信ではなく、参加者それぞれの声や意見をいかに集めて反映できるかを大事にしています。

でも私は、SNSでの個別返信やウェビナーの頻繁な開催などの、即レスや同期的な交流は難しいタイプなんです。そこで、非同期で、正直な声が集まる仕組みをつくりました。

それが、Google フォームでの匿名アンケートです。

匿名アンケート画面
GPTs総選挙での匿名アンケート画面。読者と非同期でコミュニケーション

ミヤマさん:だれが質問したかわかってしまうと、遠慮したり、建前で質問したりする参加者が出てきますが、これなら気軽に正直な質問や感想を書き込めます。noteにそのまま埋め込めるので、導線もシンプル

リアルタイムでの返信の義務感から解放され、無理なく、ほどよい距離感で交流できているのが精神的にとても楽で、継続につながっています。

そのほか、参加者からいただいた声は「ありがとうギャラリー」にまとめて公開するなど、参加者のモチベーションが上がる施策も大事ですね。感謝のメッセージは、私のモチベーションにもなっています。

ありがとうギャラリーの画面
メンバーの声がたまったらまとめて紹介。紹介されたメンバーにとってもうれしくなる施策

「代替されない価値」を継続的に届ける仕組みをつくる

——メンバーシップ運営で、もっとも困難だと感じた課題はなんですか?また、どのように克服しましたか?

ミヤマさん:メンバーシップをはじめた当初は単発販売との違いを深く理解せず、「ニュースレターの延長」くらいの感覚ではじめてしまい、行き詰まってしまって……。最大の課題は「代替されない価値を継続的に届ける仕組みをどう確立するか」でしたね。そこで運営全般の戦略を、すべてAIと練り上げました。

導き出した戦略は次の3つです。

  1. 参加型企画を積極的に導入:Google フォームによる匿名アンケートや「GPTs総選挙」企画など、だれでも気軽に意思表示できる仕組みをつくり、双方向のコミュニケーションを実現しています。 

  2. AIとの徹底的な壁打ち:相談内容は運営全般の検討、課題の洗い出し、改善案のブラッシュアップなど。たとえば、メンバーシップ解約率の基準すら知らなかった私に、AIは「ミヤマさんのコンテンツの質なら8%以下が目標です」という、スパルタな数字を提示しました。が、目標を明確にできたのは大きかったです。

  3. オンボーディングの設計を一から見直し:掲示板トップに「はじめに|ミヤマさんち。の歩き方(3分で準備完了)」を設置するなどオンボーディング設計を刷新し、新規メンバーの初期での離脱を大幅に防ぎました。

掲示板の使い方がわかる画像
メンバーシップのつかい方や手続きの案内がすぐにわかる掲示板

ミヤマさん:私はAIがなかったら、メンバーシップを続けられなかったと思っています。それくらい、AIは私の最高の壁打ち相手であり、優秀な参謀です。

——AIを徹底活用する一方で、コンテンツは「手書き」にこだわっているとお聞きしました。それが代替されない価値、究極の差別化になると?

ミヤマさん:ええ、その通りです。AIには下書きを書いてもらっていますが、最終的な内容の確認や調整は必ず自分で行っています。

なぜならAIに書かせた記事は、読者が「AIだ」と認識した途端に読まなくなるから。いくら内容が正しくても、ひとは熱量や「だれが書いたか」という作家性を求めます。

少なくとも、現時点のAIが書いた下書きは、私から見ると「嘘ミヤマ」なんです。私がふだんつかわない表現や、あり得ないエピソードが混ざっている。それを「本物の私」が自分の言葉で書き直す。

この手書きの熱量こそが、私のメンバーシップの究極の差別化だと信じていますし、AI時代でも代替されない唯一無二の価値だと思っています。

まずは単発の有料記事で自分の価値を見つけ、方向性を探ろう

——メンバーシップでの活動が、会社員としてのキャリアや人生観に、どのような変化をもたらしましたか?

ミヤマさん:この活動を通じて、育児中に感じていた社会との断絶感は完全に消え去りました。デザイナー、営業、AI活用の探求、という異色のキャリアが一本の太い幹としてつながり、新しい自分自身の道筋が明確になった気がします。

また、社内では趣味と見なされていた私のAI活用の探求も、会社のAI導入が進むと、周りからの見方が変わりました。結果、会社から正式にAI活用の講師を依頼され、人事評価でも「AIを活用して〜」と堂々と書けるようになったんです。個人的な活動が会社の役に立ち、評価されるようになったのはうれしかった。

——ミヤマさんがこれから目指していきたいこと、今後の展望についてもぜひ教えてください。

ミヤマさん:もっと豪華で唯一無二のコンテンツを提供していきたい。音声や映像にもチャレンジしたいし、AIを活用してゲームやアニメ、音楽制作まで幅を広げたいですね。

さらに多くの方に参加していただけるなら、その分、コンテンツのクオリティや内容もどんどん豪華にできますし、さらなる挑戦ができるとワクワクしています。

そのためにも、まずは解約率を限りなく下げることが大事だと考えていて、実際の数値を見ながら運営策を調整しています。集客にも力を入れたいですし、引き続き唯一無二の価値を磨いていくつもりです。まだまだやりたいことはたくさんありますね。

——最後に、この記事を読んで「メンバーシップをはじめてみたい」と思ったクリエイターへ、エールをお願いします。

ミヤマさん:率直にお伝えすると、メンバーシップ運営は、単発の有料記事販売よりも難易度が非常に高い部類に入ると思います。万人におすすめできるものではありません。

向いている方の条件は2つ。

  • 価値を継続して提供できること

  • すでに一定のブランドと集客導線(SNSなど)を持っていること

これから「がんばろう!」とチャレンジする方は、まずは単発の有料記事で自分の価値を検証し、販売を通じてブランドの方向性や集客の基礎を学んでいくことをおすすめします。

そのうえで、オンボーディング設計や更新リズムを整え、自分だけの運営スタイルを見つけていけば、きっと失敗のリスクも下げられて、たのしく運営を続けていけると思います。自分らしいやり方で、無理せず続けることを、なにより大切にしてほしいですね。

——本日は貴重なお話をありがとうございました。育児の孤独からはじまった発信活動が、AIという武器を得て、メンバーシップという理想郷へと進化していく物語は、本当に胸が熱くなります。これからも、ミヤマさんの進化をたのしみにしております!

まとめ:ミヤマさん流メンバーシップ運営の振り返り

  • AIを壁打ち相手に戦略や企画を練りつつ、コンテンツは熱量高く「手書き」。代替できない唯一無二の価値を提供する

  • SNS、note、メールマガジンなどあらゆる導線を用意して、役割や情報の深度でつかい分け

  • Google フォームによる匿名アンケートなどで気軽に意思表示できる仕組みをつくり、メンバーとの双方向コミュニケーションを実現


ミヤマさんのメンバーシップ基本情報

メンバーシップ名:ミヤマさんち。
ジャンル:グラフィックデザイン/マーケティング/最新AIの実務活用

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