《31》 韓国の独立系書店 「그림책방 곰곰(Picturebooks Gomgom)」訪問記
2026年3月、ソウル・光化門広場でのBTSカムバック公演を控え、なんだか祭りの前のような空気が漂っていた土曜の午後。夫の友人から1本の電話がかかってきたことを機に、急きょ家族でソウル・弘大へ向かうことになった。
せっかくなのでこの機会に、子どもと一緒に本屋めぐりをしてみようと思い立ち、話に花を咲かせている男性陣としばし別れ、弘大・延南洞にある絵本専門書店「그림책방 곰곰(Picturebooks Gomgom)」へ向かった。
普段ソウルの街を歩く機会のない7歳児はどこか緊張した面持ちで、ここで母を見失えば一体どうやって家に帰ればいいのだろう、と思ったらしく、手をぎゅっと握りしめてくる。「お父さんの携帯番号は?お母さんの番号は言える?小学校の名前は?」とひとつずつ確認しながら、行き交う人でにぎわう京義線森の道(경의선숲길)歩いていくと、目当ての本屋にたどり着いた。



韓国語で「곰」とは「クマ」のことなので、もしかしてクマをモチーフにしたイラストや絵本が多いのかな、と想像していたのだが、入口のドアにはネコの大きなイラストが。中に入るとネコの写真や、ネコが登場する本を集めたコーナーがあった。
店主さんに尋ねてみると、やはりネコがお好きだそうで、それを知った絵本作家さんやお客さんが、ネコグッズを持ってきてくれることもあるそうだ。この日は会えなかったが、この本屋の前まで遊びにやってくる野良猫(길고양이)もいるらしい。

店はビルの1階、しかも奥まった場所にあり、それほど広くはないので、中に入るとまるで秘密基地にやってきたような気分になった。
中央のテーブルには「春は緑がいっぱい」というタイトルで集められた本のコーナーがあり、この訪問記の第1回、第25回でも言及したイラストレーターで絵本作家のフィリさんの作品『허락 없는 외출(無許可の外出)』が。フィリさんは、今年3月に出版30周年改訂版が出たばかりのアン・ドヒョン作家の童話『연어(サケ)』のイラストも担当している。


店内の書架には、韓国でよく読まれている絵本作家さんの作品や、日本や諸外国の翻訳絵本、児童書や、絵本に関する書籍などがぎっしりと並んでいる。行って初めて知ったのだが店主さんは「출판사 곰곰(gomgompress)」という出版社も運営しているそうで、レジを取り囲む棚には、この出版社から刊行された絵本やエッセイが並んでいた。

「早く帰ろうよ~!」と騒ぎ出すかもしれない、と心配していた7歳児は、私が店内を見回したり店主さんと話したりしている間、意外にもおとなしく椅子に座って本を読んでいた。これまで、じっと座って本を読んだり絵を描いたりするタイプでは全くなかったため、どこへ連れていくのも大変だったのに、こんな日が、こんな日がやってくるなんて…!
それもこれも、学校でハングルを習い、自分で文字を読めるようになったからこそ。彼の楽しみは増え、私の気苦労は少し減った。ハングルよ、そして学校の先生たち、本当にありがとうございます!
7歳児の通う学校では毎朝10分読書をする時間があり、学校からは「常に1冊、本を持たせてください」と言われている。そこで今回は、子どもが書架から見つけてきた本を朝の読書用に購入。訪問の記念に、お店のスタンプを2つ押させてもらった。

帰り際、店主さんが、ここからもう少し歩いたところにも絵本を取り扱う店があると教えてくれた。実は、この延南洞には他にも立ち寄ってみたい本屋さんがあったのだが、7歳児の疲れが出てくる前に来た道を戻った方が良さそうだと思い、合井方面に向けて歩き始めた。
BTSの公演まであと4時間。弘大入口駅周辺は人、人、人であふれかえっていた。「お母さん、日本語とか英語とかフランス語とか、外国語がいっぱい聞こえてくる」。確かにソウルは、特にこの弘大は、いつ来てもいろんな国の言葉が飛び交っている。

【ソウル・弘大入口(延南洞)】
그림책방 곰곰(Picturebooks Gomgom)
서울특별시 마포구 성미산로23길 16-5 (연남동)
+82-02-335-2041
火~金 13~20時、土・日 13~19時
(日曜は天候によって休みになる場合あり)
月曜休み
