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梅雨の朝、服が一枚減っていた

寝る前は、ちゃんとしていた。

Tシャツを着ていた。
ハーフパンツも履いていた。

七月三日、土曜日。
梅雨の夜だった。

暑いけれど、エアコンをつけるほどではない。
でも、何もしないと寝苦しい。

そういう一番めんどくさい夜だった。

朝起きたら、寝る前より薄着になっていた。

脱いだ記憶はない。
起きた記憶もない。

でも、現実として服は減っていた。

どうやら夜中の私は、暑さに耐えきれず、勝手に自分を涼しくしていたらしい。

起きている私は、寝る前にいろいろ考えていた。

エアコンをつけるか。
扇風機でいけるか。
冷えすぎたら嫌だな。
でも暑いな。

そんなことを考えながら布団に入った。

なのに、寝ている私は早かった。

暑い。
無理。
脱ぐ。

判断が雑なのに、結果は正しい。

寝ている間の自分は、たまに自分より判断が早い。

朝の部屋には、夜中の自分が戦った跡が残っている。

布団は乱れている。
枕は少しずれている。
服は一枚減っている。

大事件ではない。
でも、確実に何かがあった。

たぶん暑かった。
たぶん湿気が重かった。
たぶん寝苦しかった。

そして、たぶん私は負けた。

梅雨の夜は信用できない。

寝る前の自分は「これで大丈夫」と思っている。
でも夜中の自分は、そんな計画を一切信用していない。

朝起きて、変わった格好の自分を見る。

少し情けない。
でも少し笑える。

自分でやったことなのに、朝の自分だけが初見になる。

梅雨の朝、服が一枚減っていた。

それだけで、昨夜の寝苦しさが全部分かる。

©︎2026 Nasu Takako
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