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文よく武を制すか、武に屈するか、 アメリカ名門大学に向けられたチョイス... The pen is mightier than the sword. Or is it less than the sword? US universities must make a choice.

表紙写真:見捨てられ廃墟になった大学キャンパス(Desert University Ruins Abandoned Campus Devastated by Conflict | MUSE AIより。

プリンストン大学総長、学の自由を訴える...政権要求に全面的に譲歩したコロンビア大学と対照的な反応」の続編です。

2025年4月1日付CBS NewsCornell University student activist chooses to self-deport after U.S. visa is revoked - CBS Newsによると、コーネル大学留学生Momodou Taal君(31才)は、パレスティナ支援デモに参加したとしてビザ停止措置を受けたのを機に、任意で自国へ退去(self-deport)したと伝えています。ニューヨーク州の地裁に不当を訴えたのですが却下され自ら進んで米国を去ったとのことです。

Taal君はSNSで次のように述べています。

「現在アメリカで目にしていることを受け、裁判所が自らの身の安全と信念を著す能力・権利を保障してくれるという信頼を持てなくなった。街を歩いていて突如監禁されるかもしれない。こう考える自らの判断で退去することにした。」

CBSが国家安全保障局( DHS)は、彼はテロリストのシンパであるとのこと。アメリカ合衆国で学ぶ為にビザを与えたものであり、暴力とテロを擁護するならビザを取り上げるのは当然、同君が本局長官のアドバイスに従い自ら退去したことを当然と思っていると回答。

本年3月15日にTaal君は、コーネル大学教授およびもう一名の博士課程学生と共に、大統領令は言論の自由に反するとして連邦訴訟を起こしました。

代理人Eric Lee氏は、係争中の同君逮捕移送を阻止するよう申し立てたところ、裁判所はICE当局に従うようにと回答したのです。それに対し、Lee氏は、

「これは民主主義国家で起きてはならないこと。我々弁護団は怒っている、アメリカ人なら誰しも怒るべきだ。言論の自由の権利を守ろう。今こそ圧制に立ち向かうべくこの権利を行使しよう!」

と呼びかけています。

次の3名の学生も拘留中、ないし、任意退去しています。

(1)コロンビア大学の学生、グリーンカード保有者 Mahmoud Khalil君、逮捕されルイジアナ州の施設に拘留中。

(2)コロンビア大学博士課程学生Ranjani Srinivasan君、彼女自らカナダに退去。拘留が無期限に続くこと、法的援助が無いまま単独では戦えないことを不安に感じたとのこと。

(3)タフツ大学の大学院生 Rumeysa Ozturk君ルイジアナ州施設に拘留中。graduate student

アメリカに限らず世界の民主主義国家の大学のモットーは"The pen is mightier than the sword" (文よく武を制す)です。(*1)


The pen is mightier than the sword. – Edward Bulwer-Lytton | Quote Templateより

これを失ったら大学はその使命を終わり廃退するでしょう。アメリカ留学中、筆者はこのモットーがアメリカのアカデミアに浸透していると実感しました。暴力をもって訴えることはダメです。何故ならそれは「武」を使うことだからです。言論を以て戦うべきです。賛否両論はあってしかるべきです。新約聖書「マタイ伝」26章47節~53節は、イエス・キリストが言論の自由を重んじ武に訴えるものを制した場面が描かれています。

「そして、イエスがまだ話しておられるうちに、そこに、12弟子のひとりがのユダがきた。また祭司長、民の長老たちから送られた大勢の群衆も剣と棒とをもって彼についてきた。イエスを裏切ったものが、あらかじめ彼等に"わたしの接吻する者が、その人だ。その人を捕まえろ"と合図しておいた。彼はすぐイエスに近寄り、”先生、いかがですか”と言ってイエスに接吻した。しかし、イエスは彼に言われた、"友よ、何のためにきたのか。" このとき、人々が進み寄って、イエスを手をかけてつかまえた。すると、イエスと一緒にいた者のひとりが、手を伸ばして剣を抜き、そして大祭司の僕にきりかかって、その片耳を落とした。そこで、イエスは彼に言われた、”あなたの剣をもとの所におさめなさい。剣をとる者はみな、剣で滅びる。”(日本聖書教会『聖書』1961、「マタイ伝」26章47節~53節より)

大祭司が、裏切り者のユダと武装集団を従えてキリストを捕縛するシーンです。キリストは民衆に向け神の国について話していただけなのに、「大祭司」、「祭司長」、「民の長老たち」は有無を言わせずに逮捕しようとしています。

ご存じのように新約聖書はギリシャ語で書かれています。イスラエル・ユダヤ共に紀元前323年のギリシャ・マケドニアのアレキサンダー大王による大帝国の一部となり、大王死後帝国が三つに分裂し、ローマにより帝国が壊滅するまでの紀元前30年頃まで、いわゆるヘレニズム文化の影響を受けました。ヘレニズムとは帝国の共通ギリシャ語コイネ-(Koiné language)を話す人たちを指します。ローマ帝国も征服したとは言えその影響をうけており、当時のこの地では共通語としてコイネ-を話していました。使徒パウロもその一人です。キリストは他のユダヤ人と同様に、日常生活ではパレスチナとシリア地方で話されていたアルム語(Armaic )を話し、ヘブライ語とコイネーも話すマルチリンガルだったようです(What Language did Jesus Speak? Aramaic, Hebrew or Greek?)。

ヘレニズム文化の特徴はコスモポリタンで、コイネーを共通語に国籍、宗教、文化の違いにとらわれず、それぞれの言語を尊重され、国力を豊かにすることに全力を注いだようです。よって個人の内省が重んじられヘレニズム芸術が花咲くわけですが、当然、互いに自らの意見を述べ合い対話する(debate)文化は当然の権威として認められていました。

イエス・キリストも神の国について話しているのに何がいけないのか?とパリサイ派を質しています。ローマ総督ポンテオ・ピラトも、イエスは単に話しているだけで何の科(とが)もないのになぜ捕縛するのかと諭そうとしましたが、司祭長、長老とその群衆は一向に譲らず、自分には責任が無いとばかりに手を洗って彼等に引き渡してしまいます。

イエス・キリストの主張は、まさに"The pen is mightier than the sword"ではなかったのでしょうか。

ところで、キリストは異邦人によく話しかけています。アラム語で話したのでしょうね。彼等を追い払ったりしていません。むしろ彼らの言っていることに感心しています。キリスト教は異邦人を追い払う宗教ではありません。
[ *2] 「ピレモンへの手紙」使徒パウロが見せた異邦弱者への慈愛|で述べた通り、使徒パウロもそれに倣いました。 

アメリカの名門私立大学はみなキリスト教の神学校として始まりました。よって今でも神学部があります。(2025年4月4日記)

[*1]筆者の母校慶應義塾紋章のペンマークは”The pen is mightier than the sword.”を著しています。

慶應義塾シンボルマークより

「明治18年(1885年)ごろ、塾生が教科書にあった一節「ペンには剣に勝る力あり」にヒントを得て帽章を自分たちで考案したことからはじまり、その後多数の塾生・塾員の支持を得て公式な形として認められ、今日に至っています。ペンマークは、その発祥のルーツにも見られるように、学びの尊さを表現するシンボルであり、慶應義塾を指し示すだけでなく、広く認知された社会的な存在と位置付けられます。」慶應義塾シンボルマークより

高校生の頃筆者はこのモットーに感動し、慶應義塾大学への進学を決めました。

[*2]「ルカ伝]17章11~19には次のようなエピソードが記されています。「キリストがエルサレムに向かう途中異邦人の地サマリヤとガリラヤの間を抜けていたところ、ライ病患者10人が来て癒しを請います。キリストは司祭の所に行くように言い、その途中で彼等は全員癒されます。しかし、キリストの所に戻ってきて感謝の言葉を述べたのは、異邦のサマリヤ人一人でした。キリストは彼を祝福します。」


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鈴木佑治 N.Yuji Suzuki サポートいただけるととても嬉しいです。幼稚園児から社会人まで英語が好きになるよう相談を受けています。いただいたサポートはその為に使わせていただきます。