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明日は燃えるゴミの日だと思い出すまで

新年くらいは、自分から連絡をしようと思っていた。

年越しの瞬間、たくさんの知らない人に囲まれて、打ち上がる花火に息をのんだ。人と人の隙間から伸びた腕はまっすぐ空に向かっていて、小さな画面にも花火が上がった。色のない画用紙のうえで星砂が踊っては鳴って、散っていく。指先の冷えを感じながら、思い出すのは肌がじりっと焦げる夏の海だった。

どっと拍手が沸くと、はぁーっと息が漏れた。
大きな塊だった人々が一気に分裂を開始する。そのまま立っていられなくて、流されるまま駅のほうへ歩いた。

真っ白なダウンジャケット、尾羽のようなしっかりした睫毛、街灯の下で掲げた缶ビールが反射して輝いた。今夜はお祭りなのかもしれない。誰もがそう願っている。幼い手がプラスチックのかざぐるまを振る。塊の欠片を先導するように、七色に光ってくるくる回った。

家に着くと午前二時を過ぎていた。スマホを開くと、父からラインが届いている。送信ボタンを押して、そのまま眠りに落ちたのが、想像できる時刻だった。「あけましておめでとうございます。花火をみてきたよ」とだけ返して、ふとんの中で目を閉じた。


お正月休みの最終日。
しばらく稼働していないライングループに、メッセージを残すことにした。

「あけましておめでとうございます。みんな元気?そういえば山の古民家に引越したよ」すると一分も経たぬうちに「いつ引越したの?」と返信が届く。「四月」と唇が先走った。

たった数ヶ月前のことなのに、聞かれるとあまり覚えていなかった。
友達の子どもは一人で電車に乗れるまでに成長していて、あの生まれたての柔らかい産毛ごと記憶がつるんと消えたみたいだった。一人、また一人と画面が賑やかになっていく。

昔と今を繋ぐパイプが太くなる感覚を指先に感じながら、
明日は燃えるゴミの日だと思い出した。


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