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keiko6pikake
罪悪感のない秘密
キーホルダーのように、
カバンにぶら下げて持ち歩くハンドクリームを買った。
律儀に引き出しの奥に置いている。
それくらい、愛おしい。
紫がかった淡いピンク色の容器を、
電車なんかで知らない人の摩擦にさらしたくない。
きれいにしたい気持ちで塗るハンドクリームには、
触れさせたくない場所がある。
持ち歩く憧れは、やはり生活から遠い。
宝箱をしまうように、こっそり使うのが私らしい。
少し多めに手の甲に乗せると、なめらかに溶けていく。
花ともフルーツとも似た
甘くさわやかな香りに包まれると、
吐息のような声が漏れる。
この時間を誰かに聞いて欲しくなるけれど、
具体的な人物は出てこないし、
SNSに流したところで満足しそうにない。
そっと引き出しを閉じる。
罪悪感のない秘密は、
特別な気持ちをつれてきてくれた。
