「全然ちゃうやんか」の理由を、祖母は知らない。
スーパーで買ったお味噌を飲んだとき、
「全然ちゃうやんか」ってなった。
美味しくないわけじゃない。
でも、あの感じじゃない。
あの丸さも、
あの優しさも、
なんか違う。
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気になって、祖母に聞いた。
「なんでこんな味になるん?」
そしたら、
祖母はちょっと笑って言った。
「なんでやろねぇ。」
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理由なんて、
祖母は考えたこともない。
麦と米を混ぜるのも、
塩分を少し控えるのも、
夏に仕込むのも。
それがあたりまえで生きてきたから。
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祖母もまた、
そのまた前の世代から
同じように受け継いで、
同じように食べてきただけ。
理屈じゃなくて、生活。
研究でもなくて、習慣。
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怒和島では、
冬はみかん農家が一番忙しい。
だから、
落ち着く【夏に仕込む。】
麦と米を混ぜるのも、
塩分が少ないのも、
先人の知恵。
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全部、
“当たり前”。
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私はずっと、
それを特別やと思ってなかった。
でも外に出て、
別の味噌を飲んで、
初めて分かった。
あの味は、
偶然じゃなかった。
でも、
祖母は理由を知らない。
それでも、
ちゃんと美味しい。
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「全然ちゃうやんか」は、
理論じゃなくて、
受け継がれてきた積み重ねやった。
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そして、
次にぶつかったのは、
もっと大きな問い。
この【当たり前】を、
どうやってそのまま届けるん?
⸻
次は、
祖母の感覚を
どう形にしていったのか。
職人さんと向き合った話を書きます。
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