見出し画像

アメリカ発「Soft Hermitting」って知ってる?あえて予定を断る若者たち~「今日は誰にも会いたくない」その気持ち、もう我慢しなくていい


金曜の夜、友人から届いた「飲みに行かない?」のメッセージ。 本当は疲れているのに、「せっかく誘ってくれたし」「断ったら感じ悪いかな」と思って、つい「行く!」と返信してしまう——。

そんな経験、ありませんか。

私自身、長年オフィスで人と接する仕事をしてきました。愛想よく、誰にでも感じよく。そうやって過ごすうちに、いつの間にか「一人の時間」に罪悪感を持つようになっていたんです。休日に誰とも予定を入れないと、「私、大丈夫かな」「寂しい人だと思われないかな」と、ソワソワしてしまう。

でも最近、アメリカ発でTikTokを中心に、ある新しい生き方が話題になっているのをご存知でしょうか。 その名も 「Soft Hermitting(ソフト・ハーミッティング)」

直訳すると「そっと、こもって過ごす」。つまり、"世間から少し離れて、静かに過ごすこと"を指す言葉です。「Soft(ソフト)」は"やんわり・ゆるやかに"、「Hermitting(ハーミッティング)」は"家にこもって過ごす・世捨て人のように過ごす"という意味です。つまり、「今日は誰とも会いたくない」「家で一人でゆっくりしたい」という気持ちを、罪悪感なく、堂々と選び取るライフスタイルのことです。

これは単なる"引きこもり"とは違います。人間関係を避け続けるのではなく、自分から意図的に社交の量を減らし、心を整えるための時間をつくるという、いわば「セルフケアの一つの形」なんです。

この記事では、私自身が「予定を詰め込みすぎて心がすり減っていた時期」から、「あえて予定を断る」を選べるようになるまでの過程を、正直にお話ししていきます。読み終える頃には、きっとあなたも「今日は家にいよう」を、少し軽やかに選べるようになっているはずです。

「断ったら嫌われる」——そう思い込んでいた日々

正直に言うと、私は長い間「誘いを断る=関係が悪くなる」と信じ込んでいました。

医療機関の受付事務として働いていた時期、常に「感じよく」「気配りよく」を求められる環境にいたこともあり、プライベートでも同じスイッチを切れずにいたんです。休日の予定表は、常に誰かとの約束で埋まっていました。それが「充実している証拠」だと、心のどこかで思い込んでいたのだと思います。

けれど、ある時期から、休日の夜になると原因不明の頭痛やだるさに悩まされるようになりました。病院に行っても「特に異常なし」。今思えば、あれは体からの静かな警告だったのでしょう。

一番つらかったのは、「一人の時間が欲しい」と思う自分を、自分自身が責めてしまっていたことです。 「人と会うのが好きなはずなのに、なぜこんなに疲れるんだろう」 「私は薄情なのかもしれない」 そんなふうに、自分を追い詰めていました。

例えるなら、これはスマホのバッテリーを充電せずに使い続けている状態に似ています。人と会うことは、楽しくても心のバッテリーを消費する行為。それに対して、一人で静かに過ごす時間は、そのバッテリーを充電するための時間なんです。充電せずに使い続ければ、いつか電源が落ちてしまう。それなのに私は、充電の時間を「サボり」だと勘違いしていたのです。

「断る」を練習してみた——小さな一歩から

転機になったのは、ある週末、体調不良を理由に友人との約束を断った日でした。

断った瞬間は「気まずいメッセージを送らなきゃ」と胃がキュッとなりましたが、返ってきたのは意外にも「全然大丈夫だよ、ゆっくり休んでね」という優しい一言。拍子抜けするくらい、あっさりしたものでした。

この経験から、私は少しずつ「断る練習」を始めました。具体的に実践したのは、この3つです。

①「予定ゼロの日」をあらかじめカレンダーに書き込む
何も予定を入れない日を、まるで大切な用事のように先にスケジュール帳に書いてしまいます。「暇だから空いている日」ではなく、「自分のために確保した日」だと意識を変えるだけで、罪悪感がぐっと減りました。

②断る理由を、正直に、でもシンプルに伝える
「ちょっと疲れが溜まっていて、今週はおうちでゆっくりしたいんだ」——これだけで十分でした。長い言い訳や謝罪を重ねるほど、かえって自分を追い詰めてしまうことに気づいたんです。

③一人の時間の「質」にこだわる
ただスマホをぼんやり眺めて終わる一人時間ではなく、好きなお茶を丁寧に淹れる、湯船にゆっくり浸かる、読みたかった本を開く——そんな小さな「自分をもてなす時間」を意識しました。これは、まるでただコンセントに挿すだけでなく、バッテリーの減りが早いアプリを閉じてから充電するような感覚です。何にエネルギーを使い、何にエネルギーを補充するのか。それを"見える化"していく感覚でした。

こうして少しずつ「断る」に慣れていくと、不思議なことに、人と会う時間そのものがより楽しく感じられるようになりました。無理して行く約束ではなく、「会いたいから会う」に変わっていったからだと思います。

「今日は家にいる」を、誇っていい

Soft Hermittingは、人を避けるための言い訳ではありません。 むしろ、大切な人との時間をもっと大切にするための、静かな準備期間なのだと、今は思います。

疲れている大人こそ、「誰にも会わない今日」を選ぶ権利があります。それは冷たさでも、わがままでもなく、自分の心を守るための、とても健全な選択です。

もし今、あなたが「今日は誰とも会いたくないな」と感じているなら——どうぞ、その気持ちに正直になってみてください。断ることに、理由なんて要りません。「今日はおうちにいたい気分なんです」、それだけで十分なのです。

一人の夜も、悪くない。むしろ、明日のあなたを元気にするための、大切な投資の時間なのですから。

 


いいなと思ったら応援しよう!