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日本人好みなのに日本人が知らない、エモーショナルEDM「Melodic Bass」とは

1. 日本人はEDMを誤解している

EDMと聞くと、「パリピ」「クラブ」「うるさい音楽」などを連想して、少し距離を感じる人も多いのではないでしょうか。

おそらく「EDM」と言われると日本人は多くの場合、Progressive HouseかBigroom Houseを想像することが多いように感じます。(それかユーロビート)

でも、今の海外のトレンドではその辺のジャンルは廃れて、もっと多様な音楽がたくさん存在します。

そんな中に、実は日本人が絶対好きな要素が詰まっているのに、日本ではほとんど知られていない「Melodic Bass(メロディック・ベース)」というEDMのサブジャンルがあります。


2. Melodic Bassとは

Melodic Bassは、主に2010年代中盤から海外で人気が広まったEDMのサブジャンルです。

特徴はその名の通り、重厚なベースラインと同時に、美しいメロディや感情的な展開を重視するところです。ダブステップやフューチャーベースをルーツに持ちながら、メロディの美しさと叙情性を最前面に出す音楽です。

そして、ダンスよりもメロディ重視な音楽の聴き方をする日本人、ロックやポップスを通過してきた人の琴線にとても触れるジャンルだと思います。

まずは、Melodic Bassの特徴をほぼ全網羅している「Rush Over Me」という曲を聴いて、この先を読み進めてください⬇️

3. 音楽的特徴と魅力(=日本人が好きになれる理由)

Melodic Bassには、日本人リスナーが好む要素が多く含まれています。

叙情的なメロディとコード進行

IV - V - VIやVI - IV - I - Vなど、ドラマチックな演出ができるコード進行が多用され、その上でメロディックな動きをする叙情的なメロディやアルペジオが頻繁に使われます。

ピアノ・ギター・ストリングスの使用

シンセの電子音だけでなくギターやピアノ、ストリングスのような生楽器が使われることがよくあります。そのため、ロックやポップスととても親和性があり、ロック・ポップスアーティストとのコラボも頻繁に行われます。

構成のわかりやすさ

Aメロ→Bメロ→サビのような日本の歌ものに構成が近いものが多く、感情のピークが来る部分がとてもわかりやすいです。(澤野弘之さんの名曲「Call of Silence」をMelodic Bassリミックスしたこの曲が分かりやすい)

空間を感じるミックスと広がり

リバーブやディレイの空間系エフェクトがガッツリかかってることが多く、壮大で幻想的な雰囲気の曲がとても多いです。そのせいかアートワークも広大な自然やファンタジーなグラフィックが多いです。

これらは、ポップス、アニメ、ゲーム音楽、劇伴といった日本人が親しんできた音楽文化との親和性が非常に高く、「知らなかったけど聴いたら好きだった」と感じる人が多いジャンルだと思います。

4. Melodic Bassは2つの系統で成り立っている

Melodic Bassは、主に以下の2つの音楽的ルーツから派生した系統で整理できる、と思っています。

Ophelia系

1つ目が、トランスとダブステップの影響が強いOphelia系です。

Opheliaというのは、僕も大好きで、世界で大人気のプロデューサー、Seven Lionsが主催するレーベルの名前です。

Seven Lions

Seven Lionsの音楽の特徴はトランスとダブステップが融合したMelodic Dubstepと呼ばれていて、幻想的なトランス的コード感やメロディに、ダブステップのドロップを併せ持ったスタイルで知られています。

OpheliaはそんなSeven Lions自身と、彼の音楽に近しいアーティストを多く輩出していて、音楽性はベースハウスやドラムンベースの他ジャンルが入ることも多く様々ですが、総じて、

  • 空間的・神秘的な世界観でファンタジー色がある

  • シンセやパッド中心の壮大な音作り

  • 比較的EDM系のダンスミュージック感が強い

といった共通項があります。

つまり、トランス+ダブステップ色の強いMelodic BassがOphelia系で、代表的なアーティストとしては、Seven Lions, Trivecta, Au5, MitiS, Jason Rossなどがいます。

Illenium系

もう1つがFuture Bassにロック・ポップスが合わさった、アコギやピアノといった有機的な楽器とエモーショナルな歌を主軸にしたスタイルのIllenium系。

Illenium(イレニウム)とは、2020年のForbes Under 30 音楽部門にも選出され、Spotifyリスナー800万人超えの世界的なプロデューサーです。

Illenium

↑の動画のようにTaylor Swiftのリミックスを手がけるなどポップス界にアプローチしていたり、ライブでは自身はDJコントローラーを操作しつつバイオリンやギター、ドラムのサポートメンバーを交えることがIlleniumの特徴で、

  • ロック・ポップスの延長線上にある楽曲構成

  • 内面的な感情を描いたリリック

  • アコースティック・バンド楽器を取り入れる

という傾向があります。海外のYouTubeでは彼の音楽性を指してEmotional Future Bassなんて言われていることもあります。

Illeniumはレーベルを主催している訳ではないんですが、彼の音楽に近しい傾向を持つアーティストやフォロワーがたくさんいて、それらを総称してIllenium系と勝手に呼んでます。

代表アーティストとしては、Illeniumの他にDabin, Said the Sky, William Blackなどがいます。

つまり、Melodic BassとはMelodic Dubstep(Ophelia系=Seven Lions)とEmotional Future Bass(Illenium系)の2つを総称したジャンル名、と言えます。

ただ、Ophelia系とIllenium系のアーティストがコラボしたり一緒にツアーに出ることも多いので、あまりこの2つに垣根があるという感じはないですね。

ちなみに冒頭で紹介したRush Over MeはSeven LionsとIlleniumがコラボして作った曲なので、正真正銘Melodic Bassの本丸とも言える曲なのです。

Melodic DubstepとFuture Bassの違い

正直最初に聴いた人はこの2つの違いがわかりづらいのでは、と思います。

BPMも似たような感じだし、どっちも気だるい女性ボーカル入ってるし、リバーブは超深くて幕張メッセみたいな音してるしで、見分けがつきにくいと思います。

Mox Jadeという人がYouTubeでその違いを解説していたのが一番しっくりきたんですが、

平たくいうと、ドラムサウンドやビート感が一番の違いです。

  • ドラムやビートがロック・メタルルーツな硬質でダイナミックなのがMelodic Dubstep

  • ドラムやビートが808などを使っていてHiphopルーツなのがFuture Bass

という感じです。

5. おすすめ曲(入門編)

Melodic Bassに触れてみたい人に向けて、まず聴いてほしい曲(という名の僕が好きな曲)を紹介します。

Ophelia系

Ferry Corsten - "Beautiful (Seven Lions Remix)"

※Ferry Corstenという人の曲ですが、Seven Lionsが自分色にリミックスしていて元曲より人気なんじゃないかという曲です

Trivecta & Nurko – "You can be my light"

Jason Ross feat. HOLT - "Hate This Kind of Love"

Illenium系

ILLENIUM and Dabin Feat. Lights - Hearts On Fire

Dabin - Hope It Hurts

Said The Sky - How To Say Goodbye

いずれもYouTubeやSpotifyで手軽に聴けるので、気になる系統からチェックしてみてください。ロック・ポップスやバンド好きな方はIllenium、Dabin、Said the skyからなら入りやすいと思います。

6. Epic Vanguardの紹介:日本発“Cyber-Fantasy Melodic Bass”

Melodic Bassの持つエモーショナルなエネルギーと、幻想的なサウンドデザインに惹かれて、僕自身もこのジャンルに影響を受けた音楽を作っています。それがEpic Vanguardというプロジェクトです。

Epic Vanguardでは、SFやファンタジーをテーマにした物語性のある楽曲をMelodic Bassに影響を受けたサウンドで描いています。

さっき出した区分けで言うと楽曲のコンセプトや世界観はOphelia系で、僕自身バンドやギター・ベースプレイヤールーツなのでIllenium系の要素も入ってる感じです。

EDMでありながら、アニソンや劇伴にも通じる雰囲気を持つ、独自のサイバーファンタジーワールドを目指しています。

Melodic Bassに興味を持った方は、ぜひEpic Vanguardの楽曲も一度聴いてもらえると嬉しいです。


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