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神が与え給うた、聖なる休暇


神様は、時に大胆な方法で私を休ませようとしてくる。
朝、喉の奥がイガイガするな、と鏡を覗き込むと、熱はないのに、なんだか顔が赤い。 熱を測ると、やっぱり平熱。でも、持病の喘息が少しだけ騒いでいる。

「これは……もしや」

なんて、半分ワクワクしながら抗原検査キットを試してみたら、ものの数分でくっきりと浮かび上がる、二本の線。



「陽性」


その文字を見た瞬間、私の心は叫んだ。

「きたぁああああ!神様、ありがとう!」

まさかの、新型コロナウイルス陽性。 でも、全然しんどくない。喉のイガイガと、喘息の軽い咳くらい。
思えば去年の今頃、人生で5番目くらいに苦しいんじゃないかってくらい、手強いコロナにやられた。続く高熱、まるで全身の骨が砕け散るような酷い痛み。息をするのも辛くて、肺炎寸前まで追い込まれたんだから。
でも、あれから一年。コロナも弱毒化したとかしないとか。

今の症状は、去年の地獄に比べたら天国だ。

これはもう、神様が「いいから、休みたまえ」と強制的にくれた、聖なる休暇としか思えない。

思えば、休みという休みもなく、毎日が戦場だった。 早朝から家事と子どもの世話に追われ、夜勤明けでも休む暇なんてない。
家ではいつも、娘と息子がYouTubeを再生していて、訳の分からない笑い声が途切れなく聞こえてくる。
私のお耳はいつもフル活動。

静かな時間が恋しくて、でもそんな時間はどこにもなくて。
だから、この出勤停止の5日間は、私のための

パーリーピーポータイム🤘😎🤘🎶だ。


そう心に決めて、私は子どもたちに言った。


「感染予防よ!来るんじゃない!」

「あんたたち、これから5日間は私が隔離生活に入るから、家事は全てこなすこと!大丈夫、もう高校生と社会人だ!」

子どもたちは、最初きょとんとしていたけど、私の鬼気迫る顔を見て、しぶしぶ頷いた。 ふふふ。これで、心ゆくまで一人時間を満喫できる。

だからといって、まったく症状がないわけじゃない。
発症後から私の体は ひどい重力を感じていて、のども痛い。

静まり返った部屋で、ベッドに寝転がってさてどうしようかと ゲームのコントローラを触っていたら、ドアの向こうから、そっと声が聞こえた。
「…ママ、大丈夫?」
娘が、ドアの隙間から心配そうに覗いている。


「うん、大丈夫だよ」

私がそう言って、ニヤリと笑いながらピース✌️をすると、娘は全てを察したみたいに、同じようにニヤける。

「じゃ、ご飯、作っとくね」 そう言って、足早にリビングに戻っていく背中を見ながら、私は静かに笑った。 あぁ、なんて素晴らしいんだ。

世間的には「コロナになっちゃった、大変」ってなるのかもしれないけど、軽症で済んでいる私の心はスキップしている。
もちろん、仕事に穴を開けてしまうことには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。でも、今回の感染は、職場のお客さんから移ったもの。
これは不可抗力だ。むしろ労災!!
そう思うと、本当に心置きなく休める。 去年のあの苦しみを思えば、こんな軽症で済んだのは奇跡に近い。


神様がくれたこの休暇を全力で満喫しないなんて、罰が当たる。
この5日間を乗り越えたら、きっと私はまた強くなって、馬車馬のように働けるはず。
そう、神様は私に試練と共に、最高のギフトをくれたのだ。

さあ、心ゆくまでパーリーナイトを始めようか。
我が愛しき、聖なる休暇よ。




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