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涼しい部屋へ、いらっしゃい。


さぁおいで。
大丈夫、怖くないよ。
だから…読んでいきなよ───ね。


梅雨の終わりが近づき
蒸し暑くなってきた。
肌に纏わりつく湿度が
不快指数を上げている。

「あぁ、夏だなぁ。」

誰に伝えたいでもなく、
近付いてきた夏に向かって
そっと呟きながら独りで歩いていた。

突然スッと涼しい風が吹いた。
心地良い。生き返るな。

そう思いながら歩みを進めていく。

パリ………ワサワサ………

音がする。

始めはあまり気に留めていなかったが
段々と音が増えていく。


カサ………ペタン。


そして腕が地面へと
引っ張られるかのような感覚に陥る。


ガサ………ガサガサ………


ペリ………キュキュキュ………


なんだかこの辺りはより涼しい。
寒くなってきた。
私は身震いをひとつして
肩をさすった。


「上着、持ってくれば良かったかな。」


パリパリパリ………

ガサ………ガサ………ガサ………


先程よりも更に腕が重くなり
何者かに
ギュッ…と掴まれているかのように
痛くすらなってきた。
なんだか疲れた。
早く、早く帰ろう。


するとその時───


目の前に立ちはだかる
うつむく人たちの列。

早く帰りたい。
少し和らいだものの
まだ感じる寒さに
肩をさすりながら
意を決して並んだ。

ならんだ ならんだ
あか しろ きいろ
どのはな みても
きれいだな

夏目前だというのに
ふと、そんな歌が頭をよぎった。

焦る気持ちとは裏腹に
列は牛歩で進む。
皆、一様に
真顔でゆらりゆらりと一歩ずつ。

「やっと出られる………!」

そう思った瞬間───




「¥12,039でーす!」



ぎゃぁぁぁぁぁ!!!


観察メモ:

お財布と カゴの中身は 反比例


貴方の大切な時間を
報告書に割いてくれた事、感謝する。

観察員014082

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