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病中でも肉が食べたい。ヒガシマルの肉吸いとピェンロー鍋で祝う、養生スタイルの「いい肉の日」

数日前から楽しみにしていた「いい肉の日」が、インフルで雲行き怪しくなるまで

数日前、カレンダーを見て気づいた。11月29日は「いい肉の日」だ。

今年はどこで肉を食べようかな。焼肉か、ステーキか、それとも久しぶりにハンバーグでも。娘は肉が大好きで、「何食べたい?」と聞けばほぼ条件反射で「肉!」と答える子だ。せっかくなら、家族で外食して盛大に祝おうか。そんなことをぼんやり考えていた。

ところが一昨日、娘が発熱した。病院で検査を受けると、インフルエンザ陽性。幸い、すでに解熱して本人はかなり元気そうなのだが、学校には行けないし、外出も禁止だ。

私のSNSのタイムラインには #いい肉の日 のタグが溢れている。普段から食べ物情報をよく見るせいか、パーソナライズされたレコメンドなのだろう。ステーキの写真、焼肉パーティー、チェーン店のキャンペーン告知。みんな楽しそうだ。でも我が家は、インフルウィークの真っ只中である。

娘は元気だけど外出禁止、妻はみなし陽性──「外で肉」は完全消滅

娘は熱が下がって元気そうだが、外出禁止は変わらない。そして今朝、妻も体調不良を訴えて病院へ。検査はしなかったものの、症状から「みなし陽性」という判断になった。高熱こそないが、無理はさせたくない。

この時点で、「今年のいい肉の日に家族で外食」は完全に消滅した。

でも、娘は元気に「肉がいい」と言う。妻にも何か食べやすいものを用意したい。それなら、外ではなく家の中で、病中でも食べられる「やさしい肉の日」をやればいいんじゃないか。

せっかく楽しみにしていた記念日を、何もせずにスルーするのはもったいない。だったら、うちにはうちの「いい肉の日」があるはずだ。

病中ごはんに求める条件整理──焼肉じゃなくて「出汁で楽しむ肉の日」に

病中のごはんに求める条件を整理してみた。

まず、消化の良さ。脂っこい塊肉は避けたい。ステーキや焼肉は、元気な時には最高だけれど、体調が悪い時には重すぎる。

次に、温かさと水分。熱や発汗で体力も水分も消耗しているから、スープや鍋のように、食事と一緒に水分も摂れるものがいい。

そして、たんぱく質。免疫細胞の材料として必要だし、薄切り肉や豆腐、卵なら消化しやすい。野菜から溶け出したビタミンも、汁ごと摂れる。

こうして考えると、スープ・鍋・煮込み料理が理にかなっている。加熱して柔らかいから消化しやすいし、体を内側から温めてくれる。

つまり、今年の我が家の「いい肉の日」は、焼肉じゃない。「焼かないいい肉の日」──出汁で楽しむ肉の日だ。

昼食は肉吸い──"まだ食べたことのない"関西の味をにゅうめん仕立てで

肉...優しい...。

そんなイメージで最初に頭に浮かんだのは、「肉吸い」だった。

大阪のソウルフードとして知られる、肉の吸い物。発祥は難波千日前のうどん店「千とせ」で、吉本新喜劇の花紀京さんが二日酔いの時に「肉うどん、うどん抜きで」と注文したのが始まりだという。そこから「肉の吸い物」=「肉吸い」という名前になったらしい。

関西では「外で食べる味」「飲んだ後の締め」のような立ち位置と聞くが、最近は関東でもじわじわ認知度が上がっている。セブンイレブンで「千とせ監修 肉吸い」が売られていたり、SNSで白だしを使った簡単レシピが投稿されたり。

実は私、名前やエピソードは前から知っていたけれど、まだ本物を食べたことがない。だからこそ、想像しながら再現する楽しさがある。

昼食に作った我が家バージョンの肉吸いは、こんな感じだ。

参考にさせていただいたレシピはこちら

出汁のベースは、ヒガシマルのうどんスープ。これは我が家の推し商品で、関西風の優しい味わいが病中ごはんにぴったりだ。砂糖を少し加えて、ほんのり甘めに調味する。

ねぎは家族が苦手なので、代わりに栄養価の高い小松菜を使った。それに豆腐と薄切り牛肉。作る手順は、出汁をわかして、牛肉を入れて丁寧にアクを取り、豆腐と小松菜を加えて温める。

卵はポーチドエッグを別で作って、各お椀に入れた。白身がふわっとして、黄身がとろり。これが出汁に溶け出すと、また違った優しさが生まれる。

そして、食べやすさを考えて、そうめんを入れて煮麺(にゅうめん)にした。娘も妻も、「肉!」欲を満たしつつ、喉越しよく食べられる。


夕食はピェンロー鍋──10年選手の定番を、今日は滋養重視で

夕食は、ピェンロー鍋を中心にした滋養のあるメニューにした。

ピェンロー鍋は、中国南部にルーツを持つ郷土料理が、人形作家の辻村寿三郎さんによって日本に紹介され、グルメ雑誌『dancyu』で取り上げられたことで広まった。白菜たっぷり、豚バラ肉、干し椎茸、春雨、ごま油などが基本で、鍋自体には濃い味付けをしないのが特徴だ。

本来は、各自が自分の器に塩と一味唐辛子を入れて、スープで溶いて好みの塩気・辛味に調整する。ポン酢やしょうゆで食べるのとはまた違う、白菜と肉と椎茸の出汁をじんわり味わう鍋。

今回参考にさせていただいたレシピはこちら

ただ、味付けほぼ無しで各自調味するスタイルは、子供には少し難しいかもしれない。そこで我が家では、ちょっと邪道だけれど、中華だしと醤油と味醂で最初から調味してしまう。

私がピェンロー鍋を知ったのは10年以上前で、それ以来、我が家の冬のレパートリーの一つになっている。豚肉に加えて鶏肉を入れたり、ポン酢で食べたりすることもあるけれど、「白菜と肉と椎茸の出汁を楽しむ」という軸は変えていない。

実は、大根おろしをたっぷり加えて"みぞれピェンロー"風にすることも考えたのだが、結局シンプルな定番スタイルで作った。体調不良の家族には、いつもの味が一番安心できると思ったからだ。

番外編:鶏団子スープやポトフも──"やさしい肉料理"の候補たち

頭の中には、他にも候補があった。

鶏団子と野菜のスープ。ささみの梅煮。ポトフ風スープ。

どれも「肉」ではあるけれど、ステーキや焼肉のような「戦う肉」じゃない。体をいたわる「休める肉」だ。

病中の家族に出すごはんとして、これらの料理は心強い。たんぱく質をしっかり摂りながら、胃腸に負担をかけない。温かくて、ほっとする。

今回は肉吸いとピェンローを選んだけれど、選択肢がいくつもあるというのは、それだけで少し楽しい。

外に出られなくても、「いい肉の日」はテーブルの上で祝える

SNSの華やかな #いい肉の日 と、我が家の地味だけどあたたかなテーブル。

昼の肉吸いにゅうめん、夜のピェンロー鍋。湯気の立つ器を前に、家族で「今年はこうなっちゃったね」と笑い合える時間そのものが、ささやかな記念日になっている。

外に出られなくても、ステーキや焼肉が食べられなくても、「いい肉の日」は祝える。出汁の中で柔らかくなった肉を、家族で囲む。それもまた、悪くない。

来年こそは外でガッツリ肉もいいね。でも今年は、こういう「いい肉の日」もありだと思う。


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