出社かリモートか? その人らしさを活かせる働き方を考える
はじめに
「このままずっとリモートワークが続くのかな」
そんなふうに思っていた矢先に、また空気が変わってきました。
今回のテーマは「出社回帰」。
少し前までは自由に選べていたはずの働き方が、また“元に戻る”流れが見え隠れしています。
今回も、いつものメンバーがゆるく会話しながら、変わりゆく働き方について考えていきます。
登場人物
珠洲(すず)さん:コミュニケーションを大切にしながら現場で学ぶスタイル。前向きで人の話に耳を傾ける姿勢がある。
狭間(はざま):少し気弱で空気を読みすぎるタイプ。でも、働き方の変化には敏感。
二倉(ふたくら):理詰めで状況整理が得意。論理的で親切だが、少し内向的。
「出社回帰」の足音が聞こえてきた日
「珠洲さん……聞いた? リモート、減らすかもって話」
昼休み、給湯室でお湯を注いでいた珠洲さんに、狭間がそっと話しかけてきた。
その声はどこか遠慮がちで、落ち着かない響きを含んでいた。
「……はい。上の方でそんな話が出ているって、昨日ちょっと耳にしました」
湯気の向こうで静かに答えた珠洲さんの表情には、かすかな戸惑いがにじんでいた。
ようやくリモートワークに慣れてきた今、また出社の日々に戻るのかと思うと、心のどこかがざわつく。
「たぶん、“やっぱり出社が基本だろう”って、上の方で意見が固まりつつあるんじゃないかな…」
狭間の声には、少し諦めにも似たトーンが混じっていた。
なぜ「出社回帰」が広がっているのか?
最近では、ZoomやAmazon、Googleといった海外の大手企業も、相次いで「原則出社」へと方針転換を始めている。
こうした動きが、「うちも出社に戻さなきゃ」という空気を強めているのかもしれない。
実際、企業が出社を促す背景にはこんな声がある。
チームの雑談や相談が減り、信頼関係が築きづらい
若手の育成が進まない
フィードバックが遅れ、意思決定に時間がかかる
セキュリティや労務管理の不安がある
「リモートではうまく回らない」と判断するのも、ある意味では理解できる。
ただ、それは「リモートが悪い」というより、「リモートを前提にした仕組みを整えられていない」だけではないだろうか。
それでも、素直に戻れない理由
「でもなあ……出社すると、また“気配り合戦”が始まりそうで」
狭間の言葉に、珠洲さんは少し考えてから答えた。
「たしかに、そういう雰囲気はありますよね。
でも私は、人と直接話しながら進めるほうが学びになることも多いので、出社にも意味があると感じているんです」
珠洲さんにとって、オフィスは単なる“作業場”ではなく、“会話から学ぶ場”でもある。
けれどそれは、誰にとっても同じではない。
働き方に「正解」はない。だからこそ、声にしないと伝わらない。
静かに口を開いた論理派の視点
「どちらが正しいかではなくて、どちらが合っているか――そういう視点が必要だと思います」
ふいに会話に加わったのは、二倉だった。
少し控えめな声ではあるが、言葉ははっきりと届いてきた。
「週3出社、週2リモート。よく聞く働き方ですが、それが全員にとって最適とは限らないですよね」
ホワイトボードに描かれたのは、働き方と成果の関係を示すシンプルな図。
横軸に“働く場所”、縦軸に“成果”。
それぞれのタイプによって、矢印の向きが異なっていた。

「珠洲さんは、対話の中で思考を深めていけるタイプかと思います。
一方、狭間さんは、静かな環境の方が集中力を発揮しやすいのではないでしょうか」
彼は、図を指しながら続けた。
「こうした個々の特性を無視して、場所だけを統一してしまうと……
組織全体のパフォーマンスがむしろ下がる可能性があります」
「“みんな同じ”が一番ラクに見えて、実は非効率ってことか……」
狭間がぽつりと漏らした。
働き方は“選べる時代”であり続けてほしい
「働き方って、成果を出すための“手段”にすぎない。
なのに“出社=基本”ってなってしまうのは、ちょっともったいないよね」
二倉の言葉に、珠洲さんもゆっくりうなずく。
「私も、どこで働くかよりも、“どう働いたら力を出せるか”を大事にしたいです」
リモートでも、出社でも。
その人がいちばん力を出せる環境で働けること。
それこそが、これからの時代に求められる“働き方の本質”かもしれない。
おわりに|その人らしさを活かせる場を
その日の帰り道、珠洲さんはふと思った。
「誰と、どこで、どう働くか」
それは、単に制度やルールの話じゃなくて、
“自分の働き方をどう見つけていくか”という問いなのかもしれませんね。
働く場所が変わっても、働く目的は変わらない。
その人らしい力を引き出せる場が、もっと選びやすくなる社会へ。
👤筆者プロフィール
尾田研|Kindle著者×ITコンサル
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