PMO二倉の内省 ~AI時代の仕事の変化と僕たちの働き方~
前回上げたこの記事が人気がなかったので関連する内容を物語形式でもう一回取り上げてみました。
背景
狭間(はざま)
プロジェクトマネージャー。事なかれ主義で、上司と現場の板挟みになりがちだが、本人はその問題を深刻に捉えていない。曖昧な判断が多く、リーダーシップに欠ける。
珠洲さん(すずさん)
中途入社で前職はIT業界ではない。明るく前向きな性格だが、忖度をせずズバッと正論を言うため、時に周囲を戸惑わせる。
二倉(ふたくら)
経験豊富なプロジェクトマネージャー。冷静かつ論理的だが、コミュニケーションが必要最低限に留まりがちで、周囲との距離を感じさせることも。
お話の舞台
中規模のIT企業。クラウドサービスやソフトウェア開発を手がけ、官公庁や大手企業向けのプロジェクトを請け負っている。
この物語はそんな企業の一角で起こった決して他人事ではない
「よくある話」だ。

起(導入)
狭間と珠洲さんが会話
珠洲さん:「狭間さん、最近AIのニュース見ました?」
珠洲さんがスマホを見せながら話しかける。
狭間:「ん?なんの話?」
珠洲さん:「これです。AIが契約書チェックを自動化するって。もしこれが本格導入されたら、私たちの仕事も変わると思いません?」
狭間は軽く笑いながら首を振る。
狭間:
「そんなの関係ないでしょ。ウチの仕事は人間がやるもんだよ。AIがどれだけ発達しても、結局最後に決めるのは人間なんだから。システムに頼ったところで、ミスが起きたら責任を取るのは結局俺たちだし……そういうの、信用できる?」
珠洲さんは眉をひそめる。
珠洲さん:
「でも、もうすでに一部の企業はAIで業務効率化してますよ?私たちも影響を受けるかも。」
狭間:「……そんなの、管理職が考えることでしょ。」
珠洲さん:
「でも、それって私たちが何も考えなくていい理由にはならないですよね?」

承(現状と背景)
その時、珠洲さんはふと思い出す。
珠洲さん:「あっ、そういえば……!」
狭間:「なんだ?」
珠洲さん:
「社内で、AIを活用した業務効率化のプロジェクトが立ち上がったんですよ。それに、社内公募もあるらしくて、採用されれば臨時ボーナスも出るって聞きました。」
狭間:
「マジか!?ボーナス!?それってどれくらい!?……いや、待てよ。そんなの関係ないって言ったばかりだけど……金が絡むなら話は別だ!」
狭間の目の色が変わる。
珠洲さん:「えっ、そこ食いつくんですか……?」
一瞬驚いた珠洲さんだったが、狭間が真剣に考え始めた様子を見て、少し考え込みながら続ける。
珠洲さん:
「でも、確かに……AIをどう活用するか考えるのは面白そうですね。例えば、契約書のチェックだけじゃなくて、過去の業務データから傾向を分析して、問題が起こりそうな部分を先に洗い出すとか。そんな使い方もありかも……? どんなアイデアが出せるか、ちょっと本気で考えてみません?」」

転(課題とチャンス)
狭間:「じゃあさ、AIを使って社内の勤怠管理をもっとスムーズにするのはどうだ?それとも、AIに社員のストレスレベルを分析させて、自動でリフレッシュ休暇を提案する仕組みを作るとか?例えば、AIが社員の表情や発言を解析して、『そろそろ休んだ方がいいですよ』って通知してくれる感じ。」
珠洲さん:「え、それ本気ですか?AIが顔色見て休暇提案って、ちょっと管理が行き過ぎてません?なんだか監視社会みたいで落ち着かないですよね。」
狭間:「じゃあ、AIでメールの自動返信機能を強化するのは?例えば、過去のやりとりを学習して、より自然な返信を作るとか。」
珠洲さん:「それも既に一般的ですね。もっと業務の本質に関わる部分で活用できないですかね?」
狭間:「むむ……」
狭間は腕を組み、視線を天井に向ける。ボーナスの誘惑はあるが、肝心のアイデアが思い浮かばない。しばらく考え込むが、出てくるのはどこかで聞いたようなものばかり。結局のところ、「AIで何をしたいのか」が自分でもはっきりしていないのかもしれない。
そこに二倉が登場する。
二倉:「なにか悩んでいるようですね?よかったら、少し考えを整理してみませんか?」
その声がした瞬間、狭間はほっと息をついた。迷走していた思考に、一筋の光が差し込んだような気がした。一方、珠洲さんは「どんなアドバイスが来るんだろう?」といった様子で身を乗り出す。
二人とも、これからの話が重要なものになると直感していた。
二倉:「お二人のアイデアは面白いですね。ただ、もう少し本質的な部分を考えてみませんか?AIは単なる自動化ツールではなく、人がより価値のある仕事に集中するためのサポートツールなんです。」
二倉はそう言って、一度二人の反応を伺った。狭間は腕を組みながら眉をひそめ、珠洲さんは小さく頷く。
少し間を置き、二倉は指を組みながら言葉を選ぶ。
二倉:「例えば、AIを活用すれば、タスクの進行状況やリスクの兆候をリアルタイムで分析し、問題が起こる前に対処できます。過去のプロジェクトデータと現在の進捗を照らし合わせることで、予定より遅れそうなタスクを早めに特定できるんです。これができれば、管理者は先手を打って問題を未然に防ぎ、プロジェクト全体の流れをよりスムーズに保てます。」
二倉は二人の表情を確認しながら、やや柔らかい口調で付け加えた。
二倉:「こういう視点で考えてみると、AIを単なる作業の置き換えではなく、私たちの思考を補助し、より良い意思決定をサポートする存在として捉えることができると思いませんか?」

解説(実践方法)
AIは単なる業務効率化の手段ではなく、意思決定の精度を向上させ、企業の競争力を強化するための戦略的ツールです。人間が創造的で高度な業務に専念できる環境を整える役割を担います。
なぜなら、AIは膨大なデータを瞬時に処理し、パターンを見出す能力に優れています。これにより、従来の手作業による業務を自動化し、人的リソースをより戦略的な業務へとシフトさせることが可能になります。特に、データドリブンな意思決定の強化や、リアルタイムでの問題発見・解決に貢献します。
例えば、
カスタマーサポート: AIチャットボットを導入することで、一般的な問い合わせ対応を自動化し、担当者はクライアントとの関係構築や高度な提案活動に専念できます。
プロジェクト管理: AIが進捗データをリアルタイムで分析し、リスクの兆候を検出。事前に対策を打つことで、納期遅延を防ぎ、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
人事・採用: AIが過去の採用データや市場のトレンドを分析し、最適な人材を選定することで、採用精度を向上させることが可能になります。
AIの導入は単なる業務効率化の手段ではなく、企業の競争優位性を確立するための重要なステップです。AIを人間の代替ではなく、補助ツールとして活用することで、戦略的な意思決定の精度を向上させ、創造的な業務に集中できる環境を整えることができます。

結(問題解決)
狭間:「なるほど……つまり、AIは単なる作業の自動化ではなく、仕事の質を上げるためのパートナーってことか。」
珠洲さん:「そうですね。単に置き換えるんじゃなくて、どう活かすかがポイントになるんですね。」
二倉:「その通りです。AIを正しく活用すれば、私たちはより価値のある業務に集中できます。まずは小さなところから試してみるのが良いでしょう。」
狭間:「じゃあ、試しに社内の業務改善アイデアをAI活用に絡めて提案してみるか。」
珠洲さん:「いいですね!私、リサーチしてみます!」
二倉:「小さく始めて、成果を検証しながら進めるのが賢いやり方です。まずは、できることから始めてみましょう。」

エピローグ(二倉の内省)
(考え方を少し変えれば、もっと業務を効率化できるかもしれない……)
二倉は、ふと自分の業務を振り返る。
「例えば、プロジェクトのリスク管理にAIを使えないか?過去のデータからリスクを予測し、事前にアラートを出せる仕組みがあれば、ミスの防止につながる。」
「さらに、会議の議事録をAIに要約させ、要点を自動抽出する仕組みがあれば、会議後の情報共有もスムーズになるな……」
二倉:「……この考えを、どう伝えれば気づいてくれるかな?」
彼は静かに微笑むと、狭間と珠洲さんの様子をうかがいながら、さりげなく話題を切り出す準備を始めた。
そう呟きながら、彼は新しい働き方を模索するのだった。
