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【第10話】雨の気配をまとって──富山から新潟へ、ひんやりした風と静かな移動日

北へ続く道 ─ 自作キャンピングカーで旅する日々

静かに始まり、北へ続いていく──
自作キャンピングカーと共に過ごす、風と自由の旅の記録。

【第10話/雨あがりの道と、佐渡島へ沈む夕日】

雨の気配をまとって──富山から新潟へ、ひんやりした風と静かな移動日

雨上がりの空がやさしく乾いていくなかで、
思いがけない夕日が今日をそっと照らし直した。


朝7時40分。
雨音は止んでいたが、空気の中にはまだ夜の湿り気がゆっくり残っていた。
カーテンを開けると、薄い雲が広がり、
「今日はゆっくり進む日になりそうだ」と思わせてくれる。

温度計は20℃台前半。
昨夜Tシャツで寝た身体には、少しだけ冷たさが残っていた。

みゅうちゃんは、静かに朝ご飯を食べ、
その姿を見てやっと目が覚めていく。

テント泊だった人たちは、雨の名残の中で撤収作業。
バイクの方はすでに準備を終え、
冷たい空気を切るように出発していった。

園家山キャンプ場の朝

コーヒーを淹れると、
湯気とともにゆっくりと温かさが車内に満ちていく。
トーストと豆乳ゼリー、いつもの朝の組み合わせが、
雨あがりの静けさとよく合う。

ゴミをまとめ、車内を片付け、
“今日”のスイッチがひとつずつ入っていく。

目的地は新潟の「寺泊魚の市場通り」。
そしてその少し北にある「こめぐりの郷公園」。
どちらも昨年訪れた場所で、
その懐かしさが小さな安心感を運んでくれる。


出発準備を終え、9時35分「園家山キャンプ場」を後にする。
ひんやりした外気が、肌をすこし震わせた。

園家山キャンプ場を出発!

走り出してしばらくすると、
ナビが突然山道へ誘導する奇妙なルートを案内してきた。
調べてみると、国道8号線の「上輪橋」が補修工事で通行止め。
迂回で山に入るよりも、短い区間だけ高速を使う方がずっといい。

柿崎ICから米山ICまで無料開放。
それを知ったとき、
旅の道っていつもこうして “小さな運” に支えられている気がした。


正午を少し回った頃、
空の色は相変わらず薄いグレー。
それでも走りやすく、
車内にはほどよい静けさが流れる。

13時10分、「寺泊魚の市場通り」に到着。
潮の香りがふっと漂い、
去年の記憶が一気に蘇る。

向かったのは、いつもの「角上魚類」。
1,300円の“中トロ入り”を迷いなく手に取る。
揚げたてのような天ぷらも2種類。
滞在わずか15分。
それでもこの短い立ち寄りが嬉しい。

「寺泊魚の市場通り」無料駐車場

13時25分、再び北へ。
風景は海沿いの淡い色をまとい、
ほんの20分で「こめぐりの郷公園」に着いた。

一年ぶり。
駐車場に停めた瞬間、
「今年もここまで来たんだな」と静かに実感する。

冷蔵庫から取り出したお寿司は、
どれも文句なしでうまい。
豆腐を添えると、食卓がささやかに整う。

「角上魚類」で購入した「中トロ入り10貫」のお寿司

食後、PC作業をしていたら、
身体の奥からふわりと眠気が上がってくる。
外はまだ曇っているのに、
静かさが眠りを誘う。


夕方、オイル交換の予約について数件電話をした。
秋田も青森もタイミングが合わず、
結局「北海道に渡ってからでいいか」と気持ちを切り替える。

函館トヨタ森店で6月1日の予約が取れた。
これだけで今日の心配のほとんどが消えていく。

外に出てみると、
まだ空は重たく、
夕日はどう考えても期待できない空模様。

17時58分の晩ご飯は、
買ってきた天ぷらの残りと、ゆで卵、
そしてけいたんさんからいただいたお漬物。
いつもの食卓が、
旅先だと“不思議と満ちる時間”になる。

本日の晩ご飯

そして、夕日を完全に諦めた頃だった。
ふと思い立って外に出ると、
雲が裂けるように夕陽の光が顔を出していた。

海の向こう、佐渡島へゆっくり沈んでいく太陽。
黄金色の光がキャンピングカーの側面を照らし、
みゅうちゃんの毛まで赤く染めていく。

「見れないと思っていたのに…」
その驚きと嬉しさが混ざり合い、
胸の奥がじんわり温かくなった。

太陽が島影に飲まれていく18時50分。
たった数分の夕景が、
旅の一日をやわらかく締めくくってくれる。

「こめぐりの郷公園」で見る夕日

夜は家庭用エアコンの暖房を入れるほど冷え込み、
外は13℃。
朝には想像もできなかった気温の変化に、
“やっぱり北は季節が違うな”と思わされる。

明日は秋田の「飛くずれキャンプ場」へ。
去年と同じ道を、
今年もゆっくり北へ。


【あとがき】

雨のあとの空気は、
景色をいつもより静かに見せてくれる。

曇り空の下を走る時間に、
旅の“余白”のようなものを感じた一日だった。

沈まないと思っていた夕日が突然あらわれたように、
旅にはいつも小さなサプライズがある。
それがあるから、明日もまた北へ向かいたくなる。


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