インディーゲームの権利をパブリッシャーが持ってしまう事のリスクの話
NEEDY GIRL OVERDOSEというインディーゲームがデベロッパーとパブリッシャーの間でトラブルになっているようです。
本来はデベロッパーが売り上げから一部お金をずっと貰い続けるはずが、そうなっていないというのは何故なのか?
開発のためのほとんどのお金をパブリッシャーが出す代わりにゲームの権利をパブリッシャーが持つ通常のゲーム開発スタイルになってしまっていたのか、それともパブリッシャーが本来デベロッパーに支払うお金をきちんと払っていないのか、部外者からはよくわかりません。
・パブリッシャーが一部の権利を持ってしまう事の危険性
通常のインディーゲームは基本的にそのゲームの権利を開発者(デベロッパー)が所有しますが、一部の権利をパブリッシャーが持ってしまう事はよくあります。
各国ごとの商標の管理をデベロッパーがやるのは大変なので、パブリッシャーが代理で商標を取得して管理するという事はよくあります。
(外国へ出す場合、また別の会社がパブリッシャーとなる事も)
日本で出ている色々な外国産のゲームでも、日本の商標検索サイトで調べるとデベロッパーではなくパブリッシャーの会社が商標を取得しているのをよく見かけるでしょう。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0100
日本のインディーゲームの天穂のサクナ姫も商標権者はマーベラスとなっています。(「代理人」という表記はある)
このように「商標権をデベロッパーではなくパブリッシャーが代理で所有している」わけです。
また、テキストの各国語向けのローカライズもパブリッシャーのスタッフが間に入って行う事もあり、ローカライズテキストの権利の一部をパブリッシャーが所有するという事も珍しくありません。
そのため、もしパブリッシャーを変更する場合はローカライズしたテキストをそのまま使えず、結構なお金をかけてまたローカライズし直しという事もあります。
文字数が少ないゲームならともかく、多いゲームはローカライズやり直しのコストが馬鹿になりません。
あるいはパブリッシャー変更後も元のパブリッシャーにそれなりのお金を払ってテキストを使用したり。
テキストのローカライズにかかるコストは実際はデベロッパーがほとんどを負担する事が多く、それなのにそのテキストのローカライズの権利の一部をパブリッシャーがちゃっかり所有する事はいかがなものかと思ったりもしますが。
(文字数が多いゲームはパブリッシャーの取り分を増やす形でローカライズコストをデベロッパーが負担しています。パブリッシャーは実質的には負担していません。)
・パブリッシャーの倒産に備えて契約をしておかないといけない
そのパブリッシャーでずっとゲームを販売し続ける場合なら問題ないのですが、もしそのパブリッシャーが業績悪化で倒産した場合、パブリッシャーが持っている色々な権利が債権という形で勝手に良く知らない会社に売られる事になります。
色々な銀行にお金を借りていたパブリッシャーが業績自体は悪くなくても、経営に関わる人物が死亡や退職するとその会社が借金を抱えたまま終了という事もあります。
商標やローカライズテキストの使用権をよくわからない会社が取得し、そこから結構高額なお金を請求されるとデベロッパーは余計なトラブルに巻き込まれる事になりかねません。
外国の会社が商標権を取得した後、その商標を悪用するという事もあります。
私はインディーゲームの商標権とローカライズテキストの権利やその他のパブリッシャーが持ってしまう権利については
『パブリッシャーがもし倒産や事業終了をする場合、無償でその商標権やローカライズテキストの権利などをデベロッパーに譲渡する』
という法的な契約をデベロッパーとパブリッシャー間できちんと結んでおくべきだと思います。
商標権もパブリッシャーの会社が代理で取得して所有する場合、当然のようにそのパブリッシャーに何かあった時は本来の権利者(デベロッパー)に戻すようにしないといけません。
これをやっておかないと実際のパブリッシャー倒産の際に本当に面倒な事になりかねません。
