ヴィンセント・オン ピアノ・リサイタル|浜離宮朝日ホール(2026.2.5)
昨日、「ヴィンセント・オン ピアノ・リサイタル」を聴いてきました。
2026年2月5日(木)、19:00開演。
会場は、浜離宮朝日ホールです。
私は1週間前の 1月29日(木)、
同じヴィンセント・オンの演奏をミューザ川崎でも聴いています。
演奏された作品は違いますが、
そのときと比べても、
この日の音の聴こえ方は、はっきりと違いを感じるほど印象的でした。
今回は、浜離宮朝日ホールで聴いた
ヴィンセント・オンのピアノ・リサイタルについて
感想を書いておきたいと思います。
この日のプログラムは、
主催のジャパン・アーツのサイトで事前に公開されていて、
下田幸二先生のプログラムノート全文も読むことができるようになっていました。
▼ページ内に「プログラムはこちら」としてPDFのリンクがあります。
その後、調律師の 大久保英資さん がXで、
ショパン国際ピアノコンクールに続き、
このリサイタルでも調律を担当されたことを投稿されているのを見ました。
本番と同じ条件で整えられた音色を、
実際にホールで聴けることも、
この日の演奏を楽しみにしていた理由のひとつでした。
建物の入口で、まず目に入ったもの

会場の建物の入口で、最初に目に入ったのは
ポスターではなく、文字だけの公演案内でした。
プログラムの表紙と同じビジュアルのポスターやチラシが
貼られているものだと勝手に思い込んでいたので、
これは少し意外でした。
とても簡潔で、必要な情報だけが書かれた掲示。
その分、これから始まる演奏に
気持ちがすっと向かう感じもありました。
ロビーに掲示されていた、曲目変更のお知らせ

ロビーには、曲目変更についての掲示が出ていました。
この日の第1部は、
ショパン《24のプレリュード Op.28》のみ。
幻想ポロネーズをコンクールのアーカイブで予習し
楽しみにしていたので少し残念でしたが、
ご本人の音楽的な判断によるものと聞き、気持ちはすぐに切り替わりました。
前半|24のプレリュード
前半は、ショパン《24のプレリュード》。
1曲1曲は短いものの、
全曲を通して聴くと、約40分。
休憩なしで、一気に弾ききられました。
ピアノの音は、終始よく通り、
とくに高音の美しさが印象に残りました。
低音は、フォルテでも濁ることなく、
深く響きながら、
音が波紋のように、空間へ何層にも広がっていくのを感じました。
音量としても十分に大きく、「ピアノって、こんなに鳴るんだ」と感じるほどでした。
短調の曲での弱音は、
静かに心に触れるようで、
もの悲しさを含んだ余韻が残りました。
音楽の流れが途切れることなく、
気づくと自然に引き込まれているような前半だったと思います。
ホワイエで目にした光景
ホワイエには、ジャパン・アーツからお知らせがあった、
「特大バナー」と「KAWAI のサイン付きパネル」がありました!
これから演奏を聴く人だけが通る空間に
こうした大きなビジュアルがあるのは、
やはり特別感がありました。
「特大バナー」は、ホールの扉と同じくらいの大きさ!
隣に立って記念撮影するファンもいました。

「KAWAI のサイン付きパネル」は、
会場のダウンライトが反射していたのと、
使われていたペンがとても細くて
インクも薄かったため、
正直なところ、最初はサイン入りだと気づきませんでした。
もう少し太く、
筆跡がはっきり残るペンだったらよかったのに……
と、少しだけ残念に思いました。
(サイン、読めますか?
「Thank you,Japan! Vincent Ong 02.02.2026」でしょうか)

ホワイエには、スタンド花も飾られていました。客席に向かう手前の空間が程よく華やぎ、
開演前の気持ちを高めてくれるようでした。


後半|ノクターンからソナタへ
後半は、まず、ノクターンを2曲。
高音のきらめきが本当に美しく、
音はとても滑らかに流れていきました。
生で聴いているのだから、
目に焼き付けたい気持ちもあるのに、
それでも目を閉じて
ゆっくり味わいたくなる演奏でした。
一度、舞台袖に戻ったあとも拍手は鳴り止まず、
再び登場して演奏されたのはソナタ。
低音が心地よく深く響き、
音楽の流れが
よりはっきりと立ち上がってくるのを感じました。
この日のピアノと音の印象

この日、ステージに置かれていたピアノは、シゲルカワイ。
ピアノはショパン国際ピアノコンクールのときと同じピアノで、
調律も、同じく 大久保英資さん だったそうです。
アルペジオやフレーズは、
一音一音を追うというより、
まるで呼吸するように続いていくように聴こえました。
特にアルペジオは、
「鈴が転がるように」なめらかで、
粒ははっきりしているのに、
音のつなぎ目が見えない。
1週間前に聴いたピアノ協奏曲 第1番では
ルバートを多めに使った演奏が印象的でしたが、
この日のリサイタルでは、そこまでではありませんでした。
それでも、音は自然な流れを保ったまま、
前へ進んでいく力強さを感じました。
アンコール
アンコールは4曲でした。
2曲目で終わりかと思ったところで、
スタンディングオベーションと拍手が続き、
もう1曲。
そしてさらに、最後はバッハ。
これが、とてもよかったです。
派手に締めくくるのではなく、
静かに音楽を閉じていくような終わり方。
それも、ヴィンセント・オンらしさなのかもしれないと感じました。
バッハは、またぜひ聴いてみたいです。
4曲のアンコールが終わっても、
スタンディングオベーションと拍手は、なかなか終わりませんでした。
すると最後に、
ヴィンセント・オンが鍵盤のふたを、そっと閉じます。
それを見て、会場から思わず笑いが起きました。
というのも、
会場のライトがまだ点かなかったのです。
「これは、まだ終わらないのかな?」
そんな空気が、客席に残っていたのだと思います。
終演後、ホワイエに掲示されたアンコール曲

終演後、ホワイエにはアンコール曲が掲示されていました。
余韻を抱えたまま、
足を止めて眺めている人も多く、
音楽が終わっても
この夜はまだ続いているような気がしました。
演奏会を楽しむためのアイテム
この日の演奏会も、私は自分の著書『ショパンコンクール鑑賞手帳2025』を持っていきました。
演奏中に書き込む余裕はありませんでしたが、
休憩時間や終演後に、感じたことを思い出しながらメモを残しました。
この記事は、そのメモをもとに書いています。
ショパン国際ピアノコンクールの本選のときから使っている手帳で、
演奏会で聴いた音や、そのときの空気を、自分なりの言葉で書き留めておくのに役立っています。
ワルシャワのショパンコンクール会場で実際に使ってくださった方もいました。
※この手帳は、自分で制作したものです。
興味のある方は、Amazonのページでサンプル画像をご覧いただけます。
また、その手帳をもとに、普段のコンサートで使えるものを別途、制作しました。
約8mmの厚さのノートで、50回分のコンサートを記録できます。
文字やイラストでコンサートの感想を書いたり、チケットを貼ったり。
アーティストのサインをいただくときにもお使いいただけます。
以前に聴いた演奏の印象を後で振り返りたいときにも便利です。
※Amazonのページでサンプル画像をご覧いただけます。
また、コンサートホールに行くときは、オペラグラスを持っていきます。
この日も、演奏者の表情や手元の動きまで見ることができました。
曲によっては目を閉じて音だけを味わい、曲によってはオペラグラスで表情や手元を追う。
そんな楽しみ方をしています。
この日に使ったオペラグラスはこちらです。
最後に
同じピアニストの演奏でも、
作品やホール、演奏の環境が変わると、
音の聴こえ方は、こんなにも違って感じられるのだと
あらためて思いました。
浜離宮朝日ホールで聴いたこの夜は、
ヴィンセント・オンの音が、
呼吸するように流れていくのを、静かに味わえた時間でした。
そして、この翌日、2月6日には、
反田恭平&JNOの冬ツアー2026の公演でサントリーホールへ。
こちらの記事にまとめました。
興味のある方はどうぞ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし、会場の空気を少しでも感じていただけたら、
「スキ」を押していただけるとうれしいです。
※この記事には Amazonアソシエイトのアフィリエイトリンクを含みます。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをお願いします! いただいたサポートは、より良い記事のための活動費に使わせていただきます😊