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反田恭平&JNO|ブラームス《ピアノ協奏曲第1番》の弾き振りをP席から【サントリーホール】(2026.9.10)

2026年9月10日、サントリーホールで「反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラ 夏ツアー2026」をP席から鑑賞しました。

前半は反田恭平さんの弾き振りによるブラームス《ピアノ協奏曲第1番》、後半は反田さんの指揮による《交響曲第2番》です。

この記事では、P席から見えた反田さんの表情や指揮、そして《ピアノ協奏曲第1番》第2楽章で目にした「祈りのような一瞬」について書きます。

【サントリーホールの本日の公演案内】


この日のAプログラムは、ブラームスの2曲。
前半は反田恭平さんの弾き振りによる《ピアノ協奏曲第1番》、後半は反田さんの指揮による《交響曲第2番》です。

弾き振りとは、ピアノを弾きながらオーケストラも指揮する、いわば一人二役の演奏です。

【この日はAプログラムでした】

なお、プログラム冊子に掲載された2026年のツアーメンバー一覧には、ヴァイオリンの周防亮介さん、林周雅さん、横島礼理さん、クラリネットの務川広貴さんなどのお名前もありました。

【金色に縁取られたプログラム表紙。JNOの5周年記念ロゴと夏ツアーの日程が掲載されています】

私はクラシック音楽の専門家ではありません。
この記事では、反田恭平さんとJNOを応援する一人のファンとして見てきた場面と、一人の聴き手として感じたことを書きます。


冬ツアーに続いて、今回もP席へ

私はライブに行くなら、ステージに近い席で演奏家の動きを見ることを優先しています。
今回は、反田さんの弾き振りを正面から見たくて、オーケストラ後方のP席を選びました。

P席は、ステージの後方、オーケストラの奏者たちとパイプオルガンとの間に設けられた座席です。観客はパイプオルガンを背にして、オーケストラの背中側からステージを見ます。

反田さんはオーケストラのほうを向いているため、通常の客席から見えるのは背中側です。

一方、P席からは反田さんと向かい合う位置になり、演奏中の表情や、オーケストラへ指示を送る視線、手の動きなどを正面から見ることができます。ピアノを弾く手元は楽器に隠れますが、足元はピアノの下の隙間から見えました。

冬ツアーでもP席に座り、反田さんがピアノと指揮を切り替えながら、オーケストラへ指示を出し、演奏をまとめていく様子を見ることができました。演奏家の動きとともに音楽が生まれる瞬間を目の前で見られたことが、強く印象に残っていました。

もう一つ、冬ツアーのP席で気づいたのが、演奏中に聞こえた反田さんの歌声らしきものです。

今回は前回ほど大きくありませんでしたが、やはり少しだけ、口ずさんでいるような声が聞こえてきました。

▼ 冬ツアーをP席から鑑賞したときの記事はこちら


反田恭平さんの弾き振りで聴く、ブラームス《ピアノ協奏曲第1番》

第1楽章:目の前のティンパニから始まった

目の前でティンパニが強く打ち鳴らされ、第1楽章が始まりました。

この曲では、ピアノが華やかに前へ出続けるのではなく、オーケストラと語り合うように音楽が進んでいきます。

反田さんはピアノを弾きながら、必要な瞬間にはオーケストラへ視線や動きで指示を出します。
ピアニストと指揮者、二つの役割を瞬時に切り替える姿を間近で追えることも、弾き振りを見る楽しみの一つです。

第2楽章:お祈りのポーズのように見えた一瞬

プログラムに掲載された石原悠企さんの曲目解説によると、第2楽章の草稿には、ラテン語による祈祷文の一節が引用されているそうです。

私はその解説を開演前に読み、宗教的な祈りの音楽を思い浮かべながら聴いていました。

反田さんは目を閉じ、上を仰ぐように体を反らしながらピアノを弾いていました。

そして、ご自身のピアノパートが終わったあと、両手を重ね、頭を手に近づけるように下へ傾けました。

ほんの一瞬でしたが、私には、それがお祈りのポーズのように見えました。

反田さんが本当に祈りを表したのかどうかは分かりません。
曲目解説を読んでいたことで、私の見え方が影響を受けた可能性もあります。

それでも、これまで反田さんの弾き振りを4、5回見てきた私には、強く印象に残る場面でした。

これまで見た弾き振りでは、ピアノを弾くことと指揮することを、一瞬で切り替えていました。
しかし、このときはピアノを弾くでもなく、オーケストラへ指示を出すでもなく、その仕草を一瞬だけしたのです。

P席から反田さんの動きを追っていたため、気づくことができた場面でした。

第3楽章:音が重なり、ホールへ広がっていく

第2楽章から続くように、第3楽章へ。

短調の旋律にさまざまな楽器の音が重なり、ホールいっぱいに広がっていくと、胸に迫るものがあり、涙が出そうになりました。

私はブラームスの曲を詳しく知っているわけではありません。
それでも、その場で生まれた音に強く引き込まれる瞬間がありました。

ソリストアンコールは《11のコラール前奏曲》から

反田さんのソリストアンコールは、ブラームス《11のコラール前奏曲 Op.122》から第8番「一輪のばらが咲いて」でした。

このときは、曲名も背景も知らないまま聴いていましたが、反田さんの演奏から、心が落ち着き、その先に希望を見いだせるような温かさを感じました。

帰宅してから改めて調べると、ブラームスが晩年に書いたオルガン曲だと分かりました。
原曲のオルガン演奏も聴いてみると、教会での祈りを思わせる音楽でした。

反田さんがこの曲を選んだ理由は分かりませんが、私には、前半の《ピアノ協奏曲第1番》第2楽章からアンコールまで、「祈り」の印象がつながっているように感じました。

《交響曲第2番》では、指揮とオーケストラを見る

後半は、ブラームス《交響曲第2番》。

私はこの曲については詳しくありません。
今回は、P席から見える反田さんやオーケストラの皆さんの動きを目で追い、どの楽器から音が生まれているのかにも注目しながら聴きました。

反田さんの指揮は、以前に見たときよりも細かな指示が増え、動きも機敏になったように感じました。

ピアノを弾かず、指揮者としてオーケストラに向き合う反田さん。
その姿から、指揮の経験を積み重ねてきたことを感じました。

演奏中、反田さんが視線や手の動きで、オーケストラの奏者へ合図を送ります。
私は、その合図の先へ目を移しました。

すると、奏者が楽器を鳴らし、その音が聞こえてきます。
今見ている動きが、そのまま音になって聞こえてくるのです。

指揮者の合図を受けて奏者が動き、その楽器の音が聞こえてくる。

クラリネット、オーボエ、フルート、ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバ、ティンパニ。

「今、この楽器が鳴っている」と意識しながら見ることで、一つひとつの音が重なり、オーケストラの音楽になっていく過程を、目と耳で同時に体験できました。

演奏の合間には、奏者がリードを調整する様子も見えました。演奏だけでなく、次の演奏へ向けて準備する姿まで見られたのも印象に残っています。

こうして、音楽が生まれていく様子を目の前で見られることが、私がP席を好きな理由です。

目の前で生まれた《間奏曲》

オーケストラアンコールは、JNOのヴァイオリニスト、石原悠企さんがオーケストラ向けに編曲した、ブラームス《間奏曲 Op.118-2》。

前日の奈良公演と同じ曲ではないかと予想し、事前に原曲を聴いていました。

【ウェルカムコンサートとアンコール曲の掲示写真】


P席から特に印象に残ったのは、アレッサンドロ・ベヴェラリさんのクラリネットと、荒木奏美さんのオーボエです。

クラリネットが中心になるところでは、ベヴェラリさんが楽器に息を吹き込み、指を動かす様子までよく見えました。

荒木さんはほぼ真後ろから見る位置でしたが、身体やオーボエの動きから、演奏していることが分かりました。

それぞれの奏者の動きと、そこから聞こえてくる音を目の前で確かめながら聴けたことに感激しました。

演奏を聴くだけでなく、音楽が生まれる場面まで見ることができたアンコール。
今回もP席を選んでよかった、と改めて思いました。

そしてこの日、荒木さんの演奏を聴きながら、もう一つ、うれしく思っていたことがありました。

私が荒木さんを近くで拝見したのは、4月18日に開催されたJNOのファンミーティング以来でした。
その翌月、荒木さんはご結婚を発表されました。

この日は、ご結婚の発表後、初めて荒木さんの演奏を聴く機会でもありました。
演奏する荒木さんを見ながら、心の中で「ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに」とお祝いの言葉を送りました。

コンサートで見つけた一瞬を残しておく

曲に詳しくなくても、演奏家の表情や動き、楽器から音が生まれる瞬間など、実際に会場へ行ったからこそ心に残るものがあります。

反田さんがお祈りをするように見えた一瞬も、ベヴェラリさんと荒木さんの音が目の前で生まれたことも、今回のコンサートで私が受け取った大切な場面です。

2021年のショパンコンクールから生まれた鑑賞手帳

私が「演奏を聴いて感じたことを記録に残したい」と強く思うようになったきっかけの一つが、反田恭平さんも出場した2021年のショパン国際ピアノコンクールでした。

反田さんだけでなく、日本人の出場者や、ほかにも気になる何人かの演奏を追いかけているうちに、誰がいつ、どんな演奏をしたのか、だんだん分からなくなっていきました。

ポーランドとの時差により、日本時間の深夜に演奏を聴くことも多く、眠気のなかで記憶が曖昧になることもありました。

だからこそ、演奏や結果だけでなく、そのときに感じたことも記録しておきたいと思いました。

その経験から、2025年の大会に合わせて制作したのが『ショパンコンクール鑑賞手帳2025』です。
コンクールを見ながら、心に残った演奏や感じたことを、自分の言葉で記録できるようにしました。

【ワルシャワのショパンコンクール会場で使っていただいた『ショパンコンクール鑑賞手帳2025』】


▼ 『ショパンコンクール鑑賞手帳2025』はこちら
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普段のコンサートにも使える『コンサート鑑賞手帳』

その後、ショパンコンクールだけでなく、普段聴きに行くコンサートの記憶も残せるものを作りたいと思い、『コンサート鑑賞手帳』を作りました。

演奏曲や出演者だけでなく、心に残った音、ステージで見た場面、その日に感じたことなどを自由に記録できます。

左ページには公演名や会場などの情報を記入し、右ページには感想を書いたり、イラストを描いたり、チケットを貼ったりできます。
1冊に、50回分のコンサートの記録を残せます。

クラシックコンサートに初めて行く人に向けて、事前の準備や会場でのマナーなどを紹介するページも設けました。

【コンサート鑑賞手帳の記入ページは、左右見開きで1回分です】


▼ 『コンサート鑑賞手帳』はこちら


夏ツアーは、9月17日の東京公演まで続きます。

これからの公演でも、たくさんの方が反田さんとJNOのブラームスを楽しめますように。

反田さん、JNOの皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。

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