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yuimituki
境界線の かえる
私は かえるが 好き
正確には
好き…かもしれない
家には
かえるのピクルスのビーンドールがいる
かえるの商品を 目が追ってしまう
けれど
実家の裏の沼から聞こえる牛蛙の声は怖い
ムゥ……
ムゥ……
あれはもう
かえるというより
暗闇の 手招きの音
かえるは不思議な生き物だ
水の中で生まれ
陸へ上がる
昼にもいる
夜にもいる
こちら側にもいるし
向こう側にもいる
昔話や神話の中でも
なぜか境界に現れる
千と千尋の神隠しでも
油屋の入り口にいたのは かえるだった
あちら側へ渡る直前
ぴょーん
と飛び出してきたあの姿を
鮮明に 覚えている
私は昔から
境界にいるものが気になる
水と陸の境界
昼と夜の境界
子どもと大人の境界
現実と異界の境界
どちらにも属していない時間や場所に
つい 足を止める
だから
かえるが好きなのかもしれない
かわいいからではなく
縁起がいいからでもなく
こちら側にいるようで
少し向こう側にもいるから
狐のように
人間に化けたりしない
龍のように
神々しく空を舞ったりもしない
かえるのまま
そこにいる
滑稽でもあり
可愛くもあり
怖くもあり
不思議でもある
そして
どこか品がある
前脚を揃えて座る姿は
三つ指をついているようにも見える
そのちぐはぐさもまた
かえるらしい
なにより 普通に話しかけてきそうなのだ
こちら側にも
向こう側にも
片足ずつ置きながら
当たり前の顔をして座っているみたいな
だから
かえるを見ると
つい 足を止めてしまう
私は
安心できる岸辺よりも
少しだけ揺れる橋の上を
歩く方が好きなのだ
今日も かえるは
こちら側と向こう側の間を
跨いでいるのかも
【マタギの脳内サバイバル】
境界にいるものが気になるのは
自分もまた なにかの
境界に立っているからかもしれない
よろしければ
他の記事も読んでいってください……ケロ
