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窓辺の ソメイヨシノ

春になると 一年で一番の絶景が観れる

カーテンを開けると
ベランダに広がる
眩しく淡い ソメイヨシノのパノラマ
 

私の家は
小さなマンションの一室

普段は大通り沿いの
少し騒がしい 地上10メートル

けれど春だけは違った

窓の向こうが
桜に占領されるのだ

十年近く
私は窓から その景色を見てきた

毎年咲くから
来年も見られると思っていた

毎日そこにあるから
特別なものだとは思わなかった

今年も咲いていたのは 知ってる

卒業式
入学式
新学期
卒対

慌ただしく走り回っているうちに

気づけば 桜は散っていた


来月 私は引っ越す

もう この窓から
桜の空を 見ることはない

何か大切なものを失ったような

まるで

仲の良かった友人に
ちゃんと挨拶もできないまま

転校してしまうような感覚

最後くらい
ちゃんと見ておけばよかった

桜が無くなるわけじゃない
来年も 咲く
このベランダも ある

ただ 私がいなくなるだけ

ありがとう でも
さようなら でもない

私はあの景色が 結構好きだったんだ


【マタギの脳内サバイバル】
当たり前の景色は
いつか当たり前じゃなくなる


人は それでも前に進む


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