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100万ドルより 鍋焼きうどん

昔 映画館で「ハウルの動く城」を観た

ジブリ作品は大好きだ

あまりに心に残ったのか その夜 夢の中でもう一度映画を観た

一時停止も巻き戻しもできない フル再生
セリフも シーンも 作品の熱量も そのまますべて

気に入った映画は 何度も繰り返し観る

逆に ホラーや暴力的な作品は絶対に観ない
私の脳は 一度観たものを 消してくれない


「何を脳に入れるか」は 私にとって死活問題なのだ


ハウルの ベーコンと卵を焼くシーンがいい
肉の照り パチパチとはぜる油の音

いわゆる「ジブリ飯」

自分で作れば なんてことはない普通の料理

けれど ジブリの魔法がかかると どうしてあんなに美味しそうに見えるんだろう


私が食べてみたいのは『耳をすませば』の地球屋のおじいさんの鍋焼きうどん

あの 空を飛んでいるような気持ちになれるベランダで食べたい


20代の頃 当時の親友と香港へ旅行に行った

メインイベントは フェリーから眺める「100万ドルの夜景」

友達はノリノリで私をエスコートして「ジャーーーン!!」と誇らしげに見せてくれたけれど

びっくりするくらい 心に響かなかった

「……ぉおぅ」

その一言で すべてが崩れた

「もっと心から感動しなよ! すごく綺麗でしょう!?」

でも 夜景は全然 私と噛み合わなかった

それからどう取り繕っても 
友達の機嫌は直らなかったんだ

ごめんね 今だったらもっと良い反応できる
大人になった

でもね やっぱり今でも
世間が決めた「100万ドル」の輝きより

地球屋のベランダから見る景色のほうが 
多分ずっと ずっと変わらず心に突き刺さる


おじいさんの鍋焼きうどんは 心に残る
香港の100万ドルの夜景は 私には少し遠い


自分の感覚が「これだ!」と信じたものだけを 脳に 心に 満たしていく


偏屈なのはわかってる
でも これが私の「癒しのサバイバル」


【マタギの脳内サバイバル】
誰かの絶景より自分の美学



偉そうに書いてるけど 私は地球屋に行ったこともなければ
おじいさんのうどんも食べたこともない


でも私の脳内では100回くらいおかわりしてる


実在する香港より 
まだ行ったことのない地球屋のベランダの方が
私には ずっと本物だ


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