Photo by
satomigoro
西の芸術家と 東の私
毎日 西を見る
夕陽を見るためだ
田舎に住んでいた頃
見渡す限りの空は
当たり前の景色だった
東京に来てからは
隙間の夕陽が
なんだか
特別なものになった
雲の形も
色も
グラデーションも
少しずつ違う
今日しかない
空の絵が
毎日できている
世界中で 誰でも平等に見られる
入場料だっていらない
そんなアートを
見ないわけにはいかない
九月は
もうひとつ
聞こえる音がある
蝉の声
毎年変わらず
ジリジリジャワジャワ
鳴いている
夏休みに聞くのとは
また違う ちょっと必死な声
夕陽も
蝉の声も
私が子どもの頃にも
ずっとそこにある
変わっていくのは
私のほうだ
同じような色と
同じような音が
その時々の私に
寄り添ってきた
だから
九月の夕方は
なんとも言えない気持ちになる
今日が終わっていく
少しの寂しさと
明日が来る
小さな期待
夕陽を見ているのか
自分の時間を
見ているのか
買い物袋を
引っ提げて
今日も 西を見る
残念ながら
西の美術館
ここ数日 休館日
【マタギの脳内サバイバル】
変わらないのは
変わりゆく景色
だから私は
毎日西を向く
東の女なのだ
