見出し画像

船でやってきた 娘

まさか

本当に答えが返ってくるとは
思っていなかった

『銀河鉄道の夜』を
読んでいた

何度読んでも
心にギュッとした余韻が残る 名作だ


娘がまだ
3歳くらいだった頃
興味本位で 聞いてみたことがある

ねえ

生まれる前の記憶って ある?

あるよ

川の近くに
みんなでいたの

……ん?

向こう側から
おじいちゃんとおばあちゃんが
乗った舟が来て

呼ばれて
舟に乗ったの

それで
反対側に向かって
漕いでいって

着いたところに
ドアがひとつあって

ここに入って
って言われて

入ったら
ここに来てた

…………

三途の川

逆バージョン?

普通なら

この世→川→あの世

でも娘の話では

あの世(?)→川→ドア→誕生

つまり

私は娘を

あの世から
輸入したことになる

しかも

私は娘を
川に連れて行ったことがない

当時
川の話をした記憶もない

それなのに

「川」

「舟」

「向こう岸」

「おじいちゃんとおばあちゃん」

「ドア」

妙に具体的なのである

そして私の頭の中では

なぜか

細めの手漕ぎ舟が
浮かんでいた

おじいちゃんが
静かに 黙々と漕いで

おばあちゃんが
子どもの隣で

「もうすぐよ」

とか言いながら
サポートしている

……みたいな

ちょっと怖い


でも

なんか
妙に 日本的である


雲の上にいて
空から降りてきた

では なく

光の世界に包まれて
気がついたらここにいた

でも ない


舟!


しかも

おじいちゃんと
おばあちゃんの ガイド付き


そして最後は

ドア

この世への
入国ゲートである

「ここからどうぞ」

「はい」

ガチャ

……

どこでもドア!!

もちろん

これが本当に
生まれる前の記憶なのかは

私には分からない


どこかで見聞きしたものが
混ざったのかもしれない


本当に

そういう場所が
あるのかもしれない

前世の記憶があるという人もいる

臨死体験で
死後の世界を見たという人もいる

それが本当なのかどうか

現世を生きる私たちには
知る由もない

だって

答え合わせができるのは
その先に行ったあとだから

もし本当に

川があって

舟があって

岸があって

ドアがあるのなら

いつか私は

「うちの子が言ってたやつ
これじゃん!」

と思うのだろうか

そのときには

こっち側にいる人たちに

報告できない

なんて不親切な
システムなんだ

でも今は
分からないままでいい

私はただ

3歳くらいだった娘が
あまりにも自然に語った
その話を

覚えている

ただそれだけ


銀河鉄道では
星空を走る列車

娘の話では
川を渡る舟

こちら側と
あちら側を 移動する

「生と死」というより
「移動」なのかもしれない

舟に乗って
川を渡って
ドアを開けて

いつか また
どこかへ行く

……まあ

そのときまで

私は

こっち側で
遊んでいようと思う

【マタギの脳内サバイバル】
どこでも境界線はある
人の間にも 世界の間にも

もし本当に

あの世に川があるなら

できれば イケボの
ガイド付きで

可能であれば

手漕ぎ舟 じゃないほうがいいな

あと

酔い止めも

完備で

いいなと思ったら応援しよう!