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yae3_yuuki58
途中で入りこんでしまう 「私」
うまくいっているときほど
私は自分を操作していない
昔 ピアノの発表会で
「ルージュの伝言」を弾いたことがある
しかもアンサンブルだった
だから
自分ひとりで止まるわけにはいかない
流れの中にちゃんと乗っていなければいけない曲だった
演奏中の私は
不思議なくらい集中していた
鍵盤を見ているようで
見ていない
考えているようで
考えていない
指も音も 自然に動いていた
たぶん あれが
いわゆる ゾーンてやつなのだと思う
すると突然
はっ!
と我に返った
その瞬間
私は急に
「演奏している自分」を認識してしまった
すると何が起こるか
ズレるのである
さっきまで自然に流れていたものへ
急に意識が 割り込んでくる
まるで
走っている途中のマリオカートで
急にコントローラーを渡されるみたいに
はい!続き操作よろしく!
と投げられても
いや今どこ!?となる
身体はもう流れで走っていたのに
途中から「頭」が操縦席に戻ってきて
軌道修正を始める
その一瞬のズレで
私はラストの1音をミスった
しかもよりによって
大好きな「ルージュの伝言」である
でも今思うと
あれは失敗というより
自分を意識した瞬間 だったのかもしれない
人は時々
ちゃんとやらなきゃ と思った瞬間に
逆に流れから外れてしまう
ゾーンとは 上手くなる状態ではなく
「自分を見ている自分」が静かになる状態なのかもしれない
【マタギの脳内サバイバル】
切れる瞬間は
集中が解けるというより
途中で操縦席に戻される感覚に近い
私は自転車に乗っている時
時々「あれ?もうここまで来てた?」となることがある
危険な意味ではなく
考えて進んでいるというより
身体が流れを覚えている感覚だ
でも不思議なことに
車の運転ではあまりならない
知らない道を走ることが多いし
私はナビを読むのが苦手だからだ
つまり
「考えること」が増えると
私は急にゾーンから引き戻される
後から知ったそれは
「フロー状態」と呼ばれているらしい
