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satoshi_st
夏の 遠い夕方
夏の夕方は
終わらないような
そんな気がする
もちろん
本当は終わりがくる
空は暗くなり
花火は消え
祭りも終わる
それでも
夏の夕方だけは
永遠に続くような
気持ちになる
私の夏には
「遠いもの」が多い
遠くで上がる花火
遠くで聞こえる祭囃子
遠くを飛ぶカラス
遠くまで続く赤い空
どれも
手が届きそうで
届かない距離
だから
まだ向こうで
続いている気がする
もし花火が目の前なら
終わりは
はっきり分かる
祭囃子も
すぐ隣で聞いていたら
屋台が片付く音まで
聞こえてしまう
近すぎると
現実になる
逆に
遠すぎるものも
どこか他人事だ
自分とは関係のない
景色になってしまう
だから私は
近過ぎないけど
見えないほど遠くない
そんな距離にあるものが
好きなのかもしれない
ジブリの世界もそう
ディズニーのような
大きな魔法ではなく
すぐ隣の森に
本当にあるかもしれない魔法
そんな距離感
近すぎると
息苦しくなる
遠すぎると
忘れてしまう
心地よい距離があるから
「また会いたい」
と思える
子どもの頃
夏休みは
終わらないものだった
宿題を後回しにして
夕方まで遊んで
「あと五分だけ」
を何度も繰り返した
でも今は
私の当時の夏休みは
終わった
代わりに
子どもの夏休みが
やってくる
宿題
自由研究
親の出番も
なかなか多い
正直に言うと
今はもう
夏休みなんて
いらないとさえ思っている
それでも
夕方になると
どこか遠くで聞こえる
祭囃子に
懐かしい夏が
混ざっている気がする
【マタギの脳内サバイバル】
近すぎても
遠すぎても
魔法は消える
心に残るのは
いつも 少し遠い景色
スズムシの鳴き声をBGMに
私の田舎の夏の夜は
更けていく
……なぁんて書けば
なんとも風情がある
でもね
スズムシもね
遠くで聞くのは
良いんだよ
あいつら
近くで鳴くと
情緒も何も
あったもんじゃねぇんだ
夜中の
黒板引っ掻き虫だよ
