【コラム】一年で一番、心が休まる季節
一年を通して、それぞれの季節にそれぞれの良さがあります。それでも、あらためて聞かれると、自分が一番好きなのは秋だと、迷わず答えられます。今回は、春夏秋冬を順番に振り返りながら、なぜ秋にこれほど惹かれるのかを考えてみようと思います。
春について
春は、始まりの季節です。桜が咲き、新生活が始まり、街全体が浮き足立つような、あの独特の高揚感があります。寒さが緩んでいく安心感は、冬を越えた者だけが味わえる、素直な喜びだと思います。
ただ、その分どこか慌ただしさもあります。新しい環境、新しい人間関係。楽しみである一方、気持ちが落ち着かない季節でもあります。
夏について
夏は、エネルギーの季節です。強い日差し、蝉の声、夜になっても引かない熱気。子どもの頃は、夏休みという特別な時間もあって、一年の中でも一番テンションの上がる季節でした。
けれど大人になると、あの強すぎる日差しや、じっとりとした暑さに、少し疲れを感じるようにもなります。楽しい記憶と、体力的なしんどさが、同居している季節です。
冬について
冬は、静けさの季節です。空気が澄み、夜が長くなり、家の中で過ごす時間が増えていきます。年末年始という節目もあり、一年を振り返る時間としても、大切な季節です。
一方で、寒さそのものは、やはり厳しいものです。布団から出るのが億劫になったり、外に出る気力が湧かなかったり。静けさと、寒さによる停滞感が、表裏一体になっている季節だと感じます。
秋🍁🍂🌰🎃🍠
そして、秋です。夏の厳しい暑さがようやく落ち着き、冬の厳しい寒さはまだ訪れていない。この、ちょうどいい気温の心地よさが、まず好きな理由の一つです。
空気が澄んで、空が高く感じられる。金木犀の香りがどこからともなく漂ってくる。夕暮れが少しずつ早まり、日が沈むころの、あの淡いオレンジ色の空。紅葉が色づき、木々が一斉にその表情を変えていく様子も、他の季節にはない特別な美しさがあります。
食欲の秋(実りの秋、旬の味覚を楽しむ季節)
読書の秋(夜長にゆっくり本を開くのに良い気候)
芸術の秋(展覧会や音楽、鑑賞や創作に親しむ季節)
スポーツの秋(運動の秋/体を動かすのに心地よい季節)
行楽の秋(収穫の秋/紅葉狩りや旅行に出かけるベストシーズン)
なぜ、秋にこれほど惹かれるのか
こうして四季を並べてみると、秋には、他の季節にある「極端さ」がないことに気づきます。春の慌ただしさも、夏の暑さも、冬の寒さも、それぞれ良さと引き換えに、ある種の負担を伴います。秋だけが、心地よさと美しさを、無理なく受け取れる季節のように感じます。
それに加えて、秋は「移ろい」を最も感じられる季節でもあります。木々の色が少しずつ変わっていく、日が少しずつ短くなっていく。その変化の過程そのものに、儚さと美しさが同居しています。永遠に続かないと分かっているからこそ、一日一日を惜しむような気持ちで過ごせる。それが、秋という季節の、一番の魅力なのかもしれません。
春の始まりも、夏の勢いも、冬の静けさも、それぞれに良さがあります。それでも、心と体に一番負担なく寄り添ってくれる季節はと聞かれたら、やはり秋だと答えたくなります。
今年もまた、短い秋を、一日一日大切に過ごしていきたいです。
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