「日常の隙間にこぼれた小さな幸せ」 Jam Session
電車に揺られながら、帰路につく。
ヘッドホンから流れているのはJAZZ。
車内アナウンスが聞こえるように、ノイズキャンセリングは少し弱めにしてあった。
途中の駅で停車し、しばらくしたときだった。
ふいに、聴き覚えのないメロディが流れた。
「どうして、知らない曲がプレイリストに入っているんだろう?」
一瞬、不思議に思う。
そこで起きていたのは、思いがけない偶然だった。
電車の発車メロディが、再生中のJAZZとぴたりとシンクロしていたのだ。
その旋律は、まるで誘い合わせたかのように、ベースラインと重なった。
最初から一つの曲だったかのように、自然なハーモニーを奏でている。
再び走り出すまでの、わずか数秒。
JAZZと雨音、そして発車メロディ。
今夜限りの、束の間のセッション。
その奇跡に耳を澄ませた。
日常の隙間にこぼれた小さな幸せ。
気づけば、ふっと口角が上がっていた。

