【再会の喜び】PLAY! MUSEUM「生誕100周年記念 安野光雅展」
1.概要
東京都立川市のPLAY! MUSEUMで開催されていた「生誕100周年記念 安野光雅展」に行ってきました。会期終了してますが、感想をまとめてみたいと思います。
2.訪問状況
訪問状況は以下の通りでした。
【日時・滞在時間・混雑状況】
最終日の12時頃訪問しました。最終日なので激込みではないかと恐れていましたが、そこまでではなく快適に鑑賞できました。親子連れから年配のご夫婦まで年齢層の幅が広い印象でした。
【写真撮影】
作品は不可、パネルや立体の展示は可でした

【グッズ】
ポストカード、ポーチ、マグネットなどがありました。最終日だったので売り切れも多かったのですが…。図録は読み物ページ満載で楽しめました。
3.展示内容と感想
安野光雅さんは子供から大人まで楽しめる作品を残し、国際的な賞の受賞歴もある日本を代表する絵本作家です。今回は安野さんの生誕100周年を記念し、初期から晩年までの代表作の原画が展示されていました。
私と安野作品の出会いは2017年、たまたま旅先の日光で入った美術館の企画展でした。可愛らしいのにどこか引っかかりを残す絵柄と作品に付されたニヒルなコメントの取り合わせが印象に残っていました。その後テレビのインタビューや著書に触れ、教師をされていたこと、数学に造詣が深かったこと、そして絵に対する実験精神などを知り、今回はどんな印象を受けるだろうと楽しみにしていました。実際の展覧会では発想の豊かさもさることながら、作品の一枚絵としての美しさに魅了されました。
作品を見てまず印象に残ったのは描写の緻密さでした。デビュー作『ふしぎなえ』は実際には不可能な光景が描かれているのですが、ぱっと見納得してしまうメカニズムの表現力に驚きました。代表作『旅の絵本』では写実的とはまた異なる圧倒的な描き込みで目を奪われました。水面や雨は他と発色の異なるインクで描いているのか、一際鮮やかに見えたのが印象的でした。

『天動説の絵本』、『ふしぎなたね』では安野さんの数学、科学マニアな面が感じられました。特に『天動説の絵本』は西洋の科学史を概観するようなスケールの大きさと、だんだん地面が曲線になっていって地動説が受け入れられていく様子が伝わる構成が見事でした。中世写本のような美しい装飾と古めかしい紙に描かれたような質感も魅力的でした。
古典に題を取った作品もありました。『絵本 平家物語』は絵巻のような構図と日本画の画材の鮮やかな色彩が印象的でした。「那須与一」は扇を射抜いたクライマックスの場面でなく弓を構える一瞬の緊張が描かれていて、武道の精神のようなものを感じました。『絵本 シェイクスピア劇場』は紙を重ねていたり絵の具の重厚感のある塗り方であったりと、マティエールに対するこだわりが感じられました。
今回私が一番感動したのは『野の花と小人たち』でした。水彩画らしい透明感と伸びやかさのある作品で、いつまでも見ていたいと思う美しさでした。特に「のぶどう」の果実の艶感、「からすうり」の繊細なグラデーション、「えのころぐさ」の白抜きのような茎と穂の描き方に魅了されました。一方で「ひがんばな」のコメントには戦争からの復員途中に彼岸花を見た時の感想が記されていて、安野さんの物事に向ける優しいまなざしはつらい記憶を乗り越えた故だったのかな、と思いました。

4.まとめ
遊び心や仕掛けで語られることが多い安野さんの作品ですが、絵としての魅力を堪能できて大満足でした!次に安野さんの展覧会が開かれるときはどんな切り口になるのか楽しみです!!
5.余談
鑑賞後、道を挟んで正面の昭和記念公園も回ってみました。アートも自然も楽しめる素晴らしい立地でした(笑)。

