ビルドアップは、目的ではない。
最近、U12年代の海外チームと日本のチームが対戦する映像を見る機会がありました。
すべての試合を見たわけではなく、ダイジェスト映像です。
その中で印象に残ったのが、相手の背後へ長いボールを入れ、そこへ選手が一気に走り込み、
ゴールへ向かっていく場面でした。
勿論、パスをつなぐ場面もある。
ボールを保持することもある。
でも見ていて感じたのは「つなぐこと」が先にあるのではなく先ずゴールへ向かうことがある。
その為に今何を選ぶのか。
そこがはっきりしているように見えました。
私はビルドアップを否定したいわけではありません。
後ろからボールを動かしながら相手を外して前進することはサッカーではとても大切です。
ただ
「ジュニアだから、つなぐ」
「ロングボールはダメ」
「クリアをしてはいけない」
と指示となった時、方法が目的になっていないか。
私はそこに少し違和感があります。
サッカーには先ずゴールがあります。
攻撃なら相手のゴールへ向かう。
守備なら自分たちのゴールを守る。
その目的があった上で
パス。
ドリブル。
ロングボール。
クリア。
シュート。
その時の状況に合わせて使う方法を選ぶ。
例えば、
自分たちのゴール前で相手に囲まれている。
そこで無理につないでボールを奪われれば、そのまま失点につながることもあります。
そんな時は危険なエリアからボールを遠ざける。それも一つの判断です。
ただ大きく蹴ればいい、という話ではありません。
危険なエリアからボールを出す。
そのあと、ディフェンスラインを押し上げる。
前の選手がクリアしたボールにプレッシャーをかける。
クリアボールにもその先があります。
逆に前へ運べるスペースがあるのに「つなぐこと」が正解になってしまって横や後ろへパスをする。
それも私は少し違うと思っています。
大事なのは、
パスをしたか。
ドリブルをしたか。
蹴ったか。
ではなく、
なぜ、そのプレーを選んだのか。
これは、特定のチームや指導方針を否定したいわけではありません。
これまで育成年代の試合や映像を見てきた中で私自身が感じてきたことです。
大人が先に「ここではこうする」と答えを決めすぎると選手が状況を見て、自分で選ぶ前にプレーの正解が決まってしまうことがあります。
そこまで大人が先に決めてしまうのは少しもったいないと思っています。
育成年代だからこそ目の前の相手より先にボールへ行く。
身体を使ってボールを奪う。
前へ行けるなら前へ行く。
相手の背後が空いていればスペースを狙う。
危険なら先ずゴールを守る。
その経験の中で、
「ここはパスした方がいい」
「ここはドリブルで運べる」
「一度戻した方がいい」
「背後へ蹴った方がいい」
と、選べるものを増やしていく。
今、何が起きているのか状況を見る。
ゴールへ近づくために何を選ぶのかを考える。
そして、自分で選んでプレーする。
勿論、失敗することもあります。
選んだプレーがうまくいかないこともある。
でも、そこでまた考える。
次はどうするのか。
私は、その繰り返しが育成年代の学びだと思っています。
パスをつなぐことを覚える。
それは大切です。
でも、パスをつなぐこと自体が目的になってしまったら「パスをする選手」にはなっても「状況を見て選べる選手」にはなりにくい。
私が育成年代で大切にしたいのは方法を覚えることだけではなく、その方法を、いつ、なぜ使うのか。
そこまで考えられることです。
パスを選べる選手を育てたいのか。
それとも、
ゴールへ向かうためにパスを選べる選手を育てたいのか。
大事なのはパスをしたことではなく、その場面でなぜパスを選んだのか。
そこを自分で考えられる選手を育てていきたいと思っています。
