祖父母の「昔はね…」に挟まれてしんどくなったときの心の守り方
実家や義実家に行った日。
あるいは、LINEや電話で子育ての話になったとき。
「昔はみんな外で遊ばせてたわよ」
「私の時はひとりで全部やってたよ」
「そんなの神経質になりすぎ」
「◯歳までにはオムツ外れてたわよ」
そんな“昔はね…”が重なって、
帰り道や夜になってから
どっと疲れが押し寄せてくることはありませんか。
「心配だから」と言われるけど、実際は責められているように聞こえる
「あなたもそうやって育てたでしょ」と言われると、言い返せない
夫(妻)は間に入ってくれず、自分だけが板挟みになっている気がする
気づけば、
「私の育児が間違ってるのかな」
「親にも義親にも気を使って、いったい誰のための子育てなんだろう」
そんな気持ちでいっぱいになってしまう。
今日は、そんなときに読むことをイメージして、
祖父母世代との価値観ギャップに挟まれたときの心の守り方を
こどもと親のそばにいる看護師として
いっしょに考えてみたいと思います。
1.「しんどい」と感じるのは、ちゃんと自分の軸を持ち始めている証拠
まず最初に、
自分を責める前にお伝えしたいことがあります。
祖父母の言葉にしんどくなるのは、
あなたの中に「この子のための私なりの軸」が育ってきているからです。
もし本当に何も考えずに
適当に育てていたら、
「ああ、そうなんだ」で流せる
そもそも心に引っかからない
はずです。
でも、実際には
今の情報や医療の知識を集めて
パートナーや先生とも相談しながら
その上で、あなたなりの“この子に合う育て方”を探している
だからこそ、
そこで全然違う方向から「昔はね」と言われると、
自分の軸が揺さぶられて苦しくなるんですよね。
「しんどくなっている」=「弱い」ではなく、
**「それだけ、今の子育てを真剣に考えている」**というサインなんだ、
と一度受け止めてあげてほしいなと思います。
2.祖父母の“昔はね”の裏側にある、3つの気持ち
とはいえ、
実際に言われる言葉はきつく感じることもあります。
「そんなに抱っこばかりしてたら、抱きグセつくわよ」
「アレルギーなんて、うるさくなりすぎなのよ」
「甘やかしすぎ。もっと厳しくしないと」
ここでは、
祖父母側の“裏側の気持ち”を
少しだけのぞいてみます。
① 「心配だから口を出さずにいられない」
転んだり、泣いたりしている孫を見ると落ち着かない
病気や発達のことを、自分なりに想像して不安になる
でも、その不安をうまく言葉にできず、
「そんなのダメよ」「◯◯しないと」
という**“指示”や“ダメ出し”の形で
出てきてしまうことがあります。
② 「自分がやってきた子育てを、否定されたくない」
今の子育て情報は、
昔に比べて大きく変わりました。
添い寝・寝かしつけのスタイル
ミルク・母乳・離乳食の進め方
叩いてしつけるのはNGという考え方
新しい情報が出るたびに、
祖父母世代はどこかで
こんな風に感じているかもしれません。
「じゃあ、私のやってきた子育ては間違いだったの?」
それが怖いからこそ、
「昔はこれでちゃんと育った」
「あなたもそのやり方で育ったのよ」
と、
自分の子育てを守るために強く主張してしまう面があります。
③ 「自分の“居場所”を探している」
孫が生まれると、
祖父母も「おじいちゃん」「おばあちゃん」という
新しい役割を背負います。
何か役に立ちたい
自分にできることをしたい
孫にとって“特別な存在”でありたい
その気持ちがあるからこそ、
「こうしたほうがいいんじゃない?」
と口を出すことで
「自分の出番」を作ろうとしている
場合もあります。
3.それでもしんどいときにできる「心の仕分け」
とはいえ、
理由を理解しても、
しんどいものはしんどいですよね。
そこで、
祖父母から何か言われたときに
試してみてほしい心の仕分けをご紹介します。
① 「事実」「価値観」「言い方」に分けてみる
例えば、
こんなセリフがあったとします。
「そんなに神経質だと、子どもが弱くなるわよ」
これを、頭の中で次のように分けます。
事実かもしれない部分
→ 特になし(ほぼ主観)その人の価値観
→ 「子育てで神経質になるのは良くない」言い方の問題
→ 「弱くなる」という、脅しに聞こえる表現
こう整理してみると、
「あ、これは“科学的事実”じゃなくて、
祖父母の価値観と、ちょっと乱暴な言い方なんだな」
と見えてきます。
「事実」ではない部分まで
ぜんぶ自分の胸に刺さったままにしないこと。
これが一つ目のポイントです。
② 「もらう部分」と「返す部分」を決める
仕分けができたら、
心の中でこんなふうに区切ってみてください。
「心配してるんだろうな」という気持ちの部分だけ、そっと受け取る
「弱くなる」「ダメな親」などの言い方は、自分まで持ち帰らず“ここで返す”
イメージとしては、
気持ちだけ受け取って、
ナイフみたいな言葉はテーブルに置いて帰る
ような感じです。
全部抱え込まない。
一部はその場に置いてくる。
それだけでも、
心の重さはだいぶ違ってきます。
4.どう伝えるかに迷ったときの「緩衝材となるフレーズ」
それでも、
毎回飲み込んでいると
自分が苦しくなってしまいます。
そこで、
波を真正面から受け止めるのではなく、
“やわらかい緩衝材”になる言い方をいくつか挙げてみます。
パターン1:いったん受け止めて「今のやり方」もそっと置く
「そうやって育ててきたんですね。
今は先生とも相談しながら、
こういうやり方で様子を見てみようと思ってます。」
パターン2:専門家を「盾」にする
「小児科の先生からは、
こういうふうにするように言われていて…。
ひとまず今は、そのやり方で続けてみますね。」
「健診で相談したら、
こういう対応を勧められたので、
もう少しこの方法でやってみようかなと思ってます。」
パターン3:時間を味方にする
「いろいろ教えてくれてありがとうございます。
ちょっと考えてみますね。」
「そういう考え方もあるんですね。
いまはこれでやってみて、また様子を見ます。」
どれも、
相手を真っ向から否定せず
でも「今の自分の方針」も静かに守る
ためのクッション言葉です。
もちろん、
いつも上手に言える必要はありません。
「全部飲み込む」か「爆発する」かの2択ではなく、
“中間の選択肢”を持っておくことが大事です。
5.板挟みになった自分を、ちゃんとねぎらう
祖父母と、自分と、子ども。
その間に立って調整役をしていると、
どんどん心がすり減っていきます。
「親にも義親にも気をつかって、もうクタクタ」
「パートナーは“うまくやってよ”と言うだけ」
「誰も私の気持ちを聞いてくれない気がする」
そんなときは、
どうか自分のことを
こういうふうに見つめ直してみてほしいです。
「私は、この子のために、
世代の違う大人たちの間で
一人でがんばって立っているんだな。」
それは決して、
当たり前なんかではありません。
祖父母を“悪者”にしすぎず
自分の軸も手放さず
そのうえで子どもの安心を守ろうとしている
そんなバランスを取ろうとしているあなたは、
本当に大変な役割を担っています。
おわりに:あなたの「今のやり方」は、この子と一緒に作っているもの
祖父母世代が語る「昔はね」は、
その時代を生き抜いてきた
リアルな経験でもあります。
だからこそ、
そこから学べることもたくさんあります。
でも同時に、
今の子どもたちは、
今の世界を生きている。
気候も
社会も
情報量も
家族のかたちも
すべてが変わっている中で、
「この子に合うやり方」を手探りで作っているのが、今のあなたです。
祖父母の言葉を
「全部捨てる」必要もなければ、
「全部従う」必要もありません。
参考にできそうなところだけ、
そっとポケットに入れて。
最後は、「今の私」と「目の前のこの子」で、
一緒に“わが家の育て方”を作っていけばいい。
この連載ではこれからも、
世代間ギャップに挟まれたときのしんどさ
祖父母といい距離で付き合うための工夫
「うちの子」と「うちの家族」に合う選び方
について、
こどもと親のそばにいる看護師として
言葉を届けていきます。
もしこの記事が少しでも、
「私のやり方が、全部間違いってわけじゃないのかもしれない」
「“昔はね”に全部振り回されなくていいんだ」
と感じるきっかけになっていたら、
フォローやスキで教えてもらえると、とても励みになります。
今日も、
祖父母と子どものあいだで揺れながら、
それでもこの子のために立ち続けた一日、本当におつかれさまでした。
どうか今夜は、
あなた自身にも
「よくここまでやってるよ」と
そっと声をかけてあげられますように。
