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アルコール依存症62歳男性・久しぶりの飲酒欲求

私はアルコール依存症です。最近、久しぶりに強い飲酒欲求を感じた場面がありましたので、記録として残しておきたいと思います。



まず、アルコール依存症と飲酒欲求の関係について簡単に触れておきます。


アルコール依存症における飲酒欲求は、単なる意志の弱さではなく、脳の報酬系機能の変化という病的な状態によって引き起こされると言われています。


長年の飲酒によって脳内の報酬系回路が変わり、意志とは無関係に強い欲求が突発的または持続的に湧き上がるようになります。



酒瓶を目にしたり、飲み屋さんの近くを通ったりする環境的なトリガーや、ストレス、不安、孤独感などのネガティブな感情が引き金となります。


この欲求は生涯ゼロになるとは限らないため、欲求を消すのではなく、起きた時にいかにお酒から身を遠ざけ、対処していくかが重要とされています。



この5年ほど、私は比較的飲酒欲求に悩まされることが少なくなり、少し安心していたところがありました。


しかし、予想もしなかった大地震という出来事を通じて、やはり手放しで安心することはできないのだと再認識させられました。



飲酒欲求の第一番目の波が訪れたのは、7月28日に令和8年熊本地震が発生した日でした。


熊本県八代市の実家で、母と二人で過ごしていた夜のことです。

電気は使え、水も出ましたが泥で濁っていました。飲料水や食料の確保、避難場所の検討、そして高齢の母を抱えて夏の暑さにどう対処するかなど、懸命に考えました。


家の中にいるのが恐怖に思えるほどの激しい揺れでした。


深夜に強い揺れが来たときは建物の下敷きにならないよう、母を連れて外に出られるよう靴を枕元に置き、部屋の照明をつけたまま横になりました。

当然、強いストレスを感じていました。その時にふっと飲酒欲求が湧いてきたのを覚えています。



大地震などの大規模災害が発生した際、回復期にある人が再飲酒に至るリスクは大きく高まります。


恐怖や生活環境の激変による強いストレス、通院の途絶や自助グループの中断といったサポート体制の断絶、そして日常生活の喪失による時間的な空白などが、その主な要因となります。


実際に10年前の熊本地震の時も、地震後初めての外来診察で主治医から「この地震で再飲酒したアルコール依存症の人は多いよ」と聞かされたのを覚えています。



おかげ様で、この第一波はなんとかやり過ごすことができました。




続いて、飲酒欲求の第二番目の波は9月にやってきました。

8月は地震への備えと後片付けで、まるまる一ヶ月実家に滞在しました。そのうち余震も落ち着いてきたため、熊本市のアパートへ引き上げることにしました。



アパートで一人になると、実家の母や二匹のペットの猫たちと離れ、環境が一変します。そのような孤独や変化を感じた時に、やはり再び飲酒欲求が湧いてきました。


しかし、私もただ手をこまねいていたわけではありません。

顔なじみであるアパートの隣のお宅へ無事に帰ってきた旨の挨拶をしたり、近所で働いている知り合いに会いに行ったりしました。



さらに、歩いて15分ほどのところに住んでいる、同じアルコール依存症を患っている仲間の元へも足を運びました。




アルコール依存症という病を乗り切る大きなカギは、「アディクションではなくコネクションを」という考え方にあります。


Addictionの反対語はConnection(コネクション)=つながり。

人とのつながりがないほど依存症になりやすいし、依存症になるとますます孤立してしまう。

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根岸康雄



依存症の本質は孤立や断絶であり、「依存症」の対義語は単なる「しらふの状態」だけではなく、他者との健全な結びつきによるコネクションです。


否認や共依存といった課題を抱えやすい病気だからこそ、コネクションを通じた受容的な対話や自助グループでの感情の共有、専門機関との連携を通じたコミュニケーションの回復が不可欠となります。


コミュニケーションという側面において、私はこのnoteでやり取りをしてくださる皆さんには本当に感謝しています。


私が40歳になり、症状がいよいよ深刻化した頃とは、依存症の治療法そのものも変わりました。そして当時の私には、noteのような場所はありませんでした。


今の私には、毎日のようにスキやコメントでサインを送ってくれる大切な仲間がいます。


飲酒欲求に苦しみ抜いた10年前と比較すると、皆さんのおかげで再飲酒の可能性が大きく減っているのを日々実感しています。




なお、地震の前には交通の利便性を考え、16年以上お世話になった県立の精神科病院から近隣のクリニックへ転院する予定でした。


しかし、今回2度3度と飲酒欲求を経験したことで、最悪の事態を想定し、入院施設のある現在の病院に継続して通うことを決断しました。


万が一お酒を一口飲んでしまい、連続飲酒発作の状態になったとしても、すぐに入院治療につなげられる環境を残しておくためです。


人は、ひとりでは病に向き合い続けることができません。

これからも周囲の人々やnoteの仲間とのつながりを大切にしながら、一日一日を積み重ねていきたいと思います。



花瓶が宙に浮いているのはご愛敬💖



お読みいただき、ありがとうございました。

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