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魔女刈り

【SS】魔女刈り (1139文字) #アマノ文筆クラブ

下記の企画への応募です。面白そうな題名に惹かれて書いてみました。
1139文字のショートショートなのでサクッと読んでください。


 中世の街では魔女狩りが始まり、街から街へと伝染病のように感染していた。

「もう、隣の街でも魔女狩りが始まったぞ。なんでも髪の毛を肩まで伸ばしていない女が対象になっているらしい。皆さんも気をつけたほうがいいぞ。俺はまた、次の街へ伝えに行くよ」

 旅人の話で自分たちの街にもやってくることを恐れた住民たちが立ち上がった。

「大変だ。このままだと、この街の女性は魔女狩りの標的になってしまうぞ」
「えっ、それじゃあ、求婚相手を失った若者たちがグレちまうぞ」
「困ったなぁ。なんとかいい手がないものか…」

 街の住民が頭を抱えていると、理髪師ギルドから一人の理髪師がやってきた。

「話は聞きました。闇の理髪師ギルドを作りましょう。仲間には私が話をします」
「どういうことだ」
「街の住民は、全員で同じ髪型にするのです。男も女も」
「えっ、男もか…」
「ええ、そうすれば髪型では判断できなくなります」
「うーん、わかった。住民に伝えて準備させよう」
「では、闇の理髪店は日没と同時に営業開始。男女ともに受け付けます。料金は5シリングです」
「何、料金を取るのか。5シリングは夕食一回分ぐらいじゃないか…」
「当たり前ですよ。我々も食べていかなければなりませんから」
「…わかった」
「注文する時には『魔女刈り』と書いた札を見せてくれ。それで対応するから」

 その日の夜から臨時の闇の理髪店が数多く現れ、我先にと住民は『魔女刈り』と書いた札を持って理髪店を訪れた。男も女も老人や子供まで。一ヶ月も経たずに全住民の髪型が同じになった。全員が肩スレスレまでの長さに統一された。そして、蜘蛛の子を散らすかのように、闇の理髪店は消えた。

 住民たちは魔女狩りの宣言を今か今かと恐怖を抱きながら待っていた。一人の住民が声を上げた。
「おい、もうしばらくこの状態が続いたら、またみんなバラバラの髪型になってしまうんじゃないか。そうなったらどうなるんだよ…」
「そう言えば、闇の理髪店でハサミを持っていた理髪師は見かけない奴だったな」
「…」

 その頃、一つ先の街では理髪師が集まって密会していた。

「魔女狩りさまさまだな。あの街の住民もバカだよなぁ。髪型で魔女だと判断されるわけないのにさ」
「ああ、今度はこの街で噂を広めるか…おい、旅人役、頼んだぞ」
「わかった」
 
 旅人役が噂を広めるために市場に向かい、魔女狩りが始まっているらしいという話を客の一人にした。

 その瞬間、客は隠し持っていた剣でその旅人の腕を切り落としてしまった。

「ぎゃあ」

 市場中に響き渡る旅人の悲鳴。何が起こったのかわからずパニックになっている旅人を見据えた客は、静かにフードをとって顔を見せた。闇の理髪師が切った『魔女刈り』と名付けられた肩まで届かない髪型になった女戦士だった。

了 (1139字)


あとがき
魔女狩りとなんとか関連づけたいという思いから、考えついたストーリー。
世の中は常にずる賢い奴がいて金儲けに繋げるなと思い、作ってみました。
ショートカットの女戦士、ちょっと可愛いかもしれませんけど…

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