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「自分の経験を、物語にしたい」。対話を重ねて生まれた二作目のZINE|じぶすき対談

イラストと文章で、ラクダのキャラクターの物語を発信するまっちゃさん。すでに一作目のZINEを完成させ、次は自分の経験をもとに、より長い物語を書きたいと考えていました。

けれど、本音を言葉にすることには怖さもありました。おーつーとの対話で、深く踏み込む問いに揺れながら、自分の気持ちを一つずつ見つめていくまっちゃさん。もやもやしていた過去は、やがて一冊のZINEとなり、「あってよかった」と思える出来事として受け止められるようになっていきます。

安心できる対話のなかで起きた、心と表現の変化を伺いました。

聞き手/おーつー(冨田 裕子):noteメンバーシップ「行動と習慣を続けて自分を好きになる会(じぶすき)」を運営、発信活動をサポートする「伴走プラン(個別相談)」を提供している。


二作目は、もう少し深いところまで書きたかった

伴走セッション

おーつー:よろしくお願いします!まっちゃさんといえば、やっぱりZINEですよね。伴走セッションでは、二作目の『チャレンジ!楽美ちゃん』の制作についてお話を伺いました。どんな作品を作りたいと考えていたんですか?

まっちゃさん(以下、まっちゃ):一作目の『らくだの楽多さん』は、短い絵本のような作品でした。二作目では絵本らしさを残しながら、もう少し長い物語を書きたいと思っていたんです。

今回は文章がメインになりそうだったので、おーつーさんにアドバイスをいただきながら作ろうと思い、伴走プランに申し込みました。

おーつー:二作目のZINEも作ると聞いて、すごいなあと思っていました。その物語に書きたいテーマは、最初から決まっていたんですか?

まっちゃ:はい。最初から、自分の経験を物語に取り入れたいと思っていました。一作目も自分の経験がもとになっていますが、二作目では、友だちとの関係が変わった経験をもとに物語を作りたいと考えていたんです。

伝えたい。でも、言葉にするのが怖かった

まっちゃさんのnote

おーつー:「自分の経験から生まれた物語を作りたい」と、ずっと思っていたんですね。そこに、怖さはありませんでしたか?

まっちゃ:すごくありました。あまり人には話してこなかった過去ですし、ずっともやもやしていたことでもありました。

おーつー:ずっと、もやもやしていたんですね。その経験を物語として取り出し、誰かに伝えたいという思いがあったのでしょうか?

まっちゃ:伝えたい思いがある一方で、怖い気持ちもありました。

おーつー:何が一番怖かったのでしょう?

まっちゃ:自分の思いを言葉にすると、まず私自身がその気持ちと向き合うことになると思ったんです。それが、怖かったのかもしれません。

あとは、この思いを作品として出したときに、「人からどう見られるんだろう」という怖さもありました。

おーつー:言葉にすることで、「私はこんなふうに思っていたんだ」と自分でも気づいてしまう。

まっちゃ:そうなんです。見たくないものは、見ないままでいたいところもあったかもしれません。

おーつー:もやもやしている段階で、何が嫌だったのか、そのときはまだ言葉にはできていなかった感じでしょうか?

まっちゃ:はい。当時はまだ、うまく言語化できていませんでした。

「おおっ」と感じた問いの先で、気づいた本当の気持ち

セッションで生まれた『Challenge Rakumichan』

おーつー:ZINEの制作は、まっちゃさんにとって大きなチャレンジだったんですね。まさに、『チャレンジ!まっちゃさん』という状態だったのかもしれません。

自分の気持ちと向き合う怖さも、人からどう見られるのかという怖さもあるなかで、どうやって作品にしていったのでしょう?

まっちゃ:作品にするなら、自分のことを見なきゃいけないと思って、「よし」と心に決めました。でも、一人だったら「ああ、やっぱりやめよう」と思っていたかもしれません。

それでも、おーつーさんに「作品を作ります」と伝えました。

おーつー:セッションでは、どんなことを話していましたか?

まっちゃ:おーつーさんから、「このときは、どんな感情がありましたか」とか、「その友だちに、どんな気持ちで接していましたか」と質問していただきました。

聞かれた瞬間は、「おおっ」と思いました。でも、問いに答えていくうちに、「あ、自分はこういう気持ちだったんだ」と少しずつ分かってきました。

「やっぱり嫌だったんだ」「ちょっと寂しかったな」という思いが出てきました。

おーつー:私は普段、あそこまで切り込んで聞かないんですよ。セッションをしながら、「ここが大事なポイントだな」と感じる一方で、少し踏み込みすぎたかもしれないと思っていました。

まっちゃ:質問されたときは、ちょっと「うっ」となりました。

おーつー:やっぱり、そうですよね。それでも問いかけられたのは、まっちゃさんが本気でそこに向き合おうとしているのを感じたからだと思います。「それは、どうしてなんだろう」と純粋に聞きたいと思えたんです。

まっちゃ:おーつーさんの優しさや愛情があったからこそ、踏み込んで聞いてくださったんだと思います。問いに答えるなかで、自分の気持ちが少しずつ分かり、あとから「そうだったんだ」と受け止められました。

安心して自分と向き合いながら作品を作れたことが、本当にありがたかったです。

重かった出来事を、ラクダの世界に移してみる

まっちゃさんのZINE

おーつー:「やっぱり嫌だった」という気持ちを取り出せたことは、私もよかったなあと思っていました。そこから、出てきた感情を咀嚼して、物語へ置き換えていったんですよね。

その「翻訳」の過程では、どんなことを心がけていたんですか?

まっちゃ:事実は事実としてあって、その出来事をラクダの世界に移す作業をしました。二作目は少し重い内容になったのですが、読後感まで重くなりすぎないようにしたいと思っていました。

あとは、物語に置き換えたことで、少し客観的に見られるようになったと思います。

おーつー:ラクダの世界に移すことで、出来事と少し距離を取れたんですね。そもそも、どうしてラクダをモチーフにしたのでしょうか?

まっちゃ:きっかけは、自分のキャラクターを作りたいと思ったことでした。私自身が好きになれるキャラクターにしたくて、理想の生き方を込めたんです。

ラクダののんびりした雰囲気に、いろいろな場所へフットワーク軽く出かけるライフスタイルを重ねました。

おーつー:セッションでは、問いかけに「うっ」となる場面もありましたよね。それが物語になったときに、「あんなに重かったものが、こんなふうに軽やかになるんだ」と驚きました。

実際の出来事をラクダの世界へ移しながら、自分の感情をどのように文章にしていったのでしょう?

まっちゃ:まずは、おーつーさんから質問していただいたことを振り返りながら、自分の気持ちを手書きで書き出しました。そのあと、パソコンで小説のような形にして、少しずつ物語にしていった感じです。

おーつー:そうだったんですね。まっちゃさんの作品は、楽多さんというフィルターを通すことで、優しい世界になっている。でも同時に、まっちゃさんの素直な気持ちも、ちゃんと表れているんですよね。

「この経験を、こんなふうに表現するんだ」と私はとても感動しました。物語に置き換えたことで、自分の感情と距離を取れたことが大きかったのでしょうか?

まっちゃ:はい。出来事や自分の気持ちを少し冷静に見られるようになったことが、一番大きかったかなと思います。

「あってよかった」。過去の見え方が変わっていった

まっちゃさんのZINE感想会

おーつー:物語にしたことで、ずっともやもやしていた出来事は、今、まっちゃさんのなかでどのように見えていますか?

まっちゃ:今は、本当に大切な出来事だったんだなと思っています。以前は、友だちとの関係が変わってしまったことへのもやもやの方が大きかったんです。

でも、おーつーさんと一緒に向き合い、作品にしていくなかで、自分の心も少しクリアになりました。

おーつー:嫌だった出来事が、大切な経験に変わったんですね。 一作目と二作目では、描けたものに違いがありましたか?

まっちゃ:一作目は、短いプロローグのような作品でした。そこにも自分の感情は入れていましたが、二作目では、もう少し深い部分まで出せた感じがします。

おーつー:二作目を読んでいて、感情はしっかり描かれているのに、誰かを悪者にしている感じがしませんでした。だからこそ、安心してラクダの世界に没入できたんだと思います。書くときに、意識していたことはありますか?

まっちゃ:強く意識していたわけではないんです。友だちの言葉に傷ついた気持ちもありましたし、「自分が何か変なことを言ったのかな」と考えたこともありました。

でも、自分が変わった部分もありますし、相手にも事情があったと思うんです。気持ちを書き出し、作品に置き換えていくうちに、自分自身の感情に目を向けられるようになりました。

おーつー:誰かを責めるのではなく、自分の気持ちを見つめたことが、作品の温かさにつながったのかもしれませんね。

まっちゃ:ありがとうございます。今では、「あの出来事があってよかった」と思えるようになりました。

「あなたは、もうできる子」。安心感の先に描く、三作目のZINEとカフェの夢

じぶすき文化祭では、まっちゃさんがカフェを担当します!

おーつー:ラクダのキャラクターを見て、気持ちがやわらかくなったという声も届いているそうですね。

まっちゃ:「トゲトゲしていた気持ちが丸くなった」と言っていただいたことがあります。自分のために作ったものを通して、誰かにも少しふわっとした気持ちになってもらえたら、私も嬉しいです。

おーつー:本当に、作品を読むとゆったりした気持ちになれるんですよね。次の作品も考えているんですか。

まっちゃ:はい。三作目のZINEを考えています。今度は、ほかのラクダのキャラクターも登場させて、もう少しイラストの多い作品にしたいです。

いつかは、このキャラクターの物語を絵本として出したいですね。触って楽しめる、子ども向けの絵本にもできたらいいなって。

おーつー:いいですね。作品以外にも、やってみたいことはありますか。

まっちゃ:ラクダのキャラクターを通して、カフェイベントを開いてみたいです。キャラクターをイメージしたドリンクや、楽美ちゃんのいちごパフェ、カレーとか。おいしいものを食べながら、みんながつながれる場を作れたらいいなと思っています。

私自身、大切な人と食事をしながら語ることが好きなんです。いつか自分でも、そういう場所を作ってみたいですね。

おーつー:素敵ですね。こうして次の作品やイベントを考えているまっちゃさんから見て、伴走セッションはどんな時間でしたか?

まっちゃ: 圧倒的な、圧倒的な安心感があります。

おーつーさんは、心の底から相手を信頼してくださっていると感じたんです。だからこそ、「もう一歩踏み出してみよう」と思えました。自分の思いを話しても否定せずに受け止めてもらえることが、本当にありがたかったです。

おーつー: 私は、相手をコントロールしたり、正解を当てはめたりしたくないんです。やってもいいし、やらなくてもいい。どちらでも大丈夫だと思っています。

伴走はしていますが、最後は皆さんが自分で考えて、決めているんですよね。

まっちゃ:「あなたは、もうできる子だね」と信じてもらっているような感じがしました。「自分主体でいいんだよ」と、思い出させてもらえる時間だったと思います。

おーつー:自分で決めていけるような安心感があったんですね。じぶすきのメンバーシップには、どんな人が集まっていると感じますか?

まっちゃ:面白くて、穏やかな人が集まっていますよね。大人になっても、いろいろと挑戦しながら、自分の気持ちも大切にしている方が多いと思います。

まだやりたいことが明確でなくても、何か始めたいけれど怖い人や、自分の思いをどう出したらいいか分からない人にとっても、合う場所だと思います。

おーつー:自分のことを面白がりながら、ほかの方の挑戦にも「いいじゃん、いいじゃん」と言って、応援してくれる方が多いですよね。

まっちゃ:今日、改めて振り返ってみて、おーつーさんの温かな信頼があったから、自分と向き合い、二作目を完成させられたと思いました。
これからも人とのつながりを大切にしながら、作品や場を通して、温かい輪を広げていきたいです。

(おしまい)


【プロフィール】

まっちゃ

2023年頃から、noteでイラストと文章を発信。自分の経験をもとに、ラクダのキャラクターが登場する物語を描いている。これまでに二冊のZINEを制作し、二作目の『チャレンジ!楽美ちゃん』では、友人との出来事や当時の感情を作品に込めた。

ZINEに加え、バッグなどのキャラクターグッズも展開し、好評を得ている。

今後は三作目のZINEや、触って楽しめる子ども向け絵本を構想中。ラクダのキャラクターを通じて人がつながるカフェイベントなど、温かな場づくりにも挑戦したいと考えている。

執筆/石川 えりさ

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