聴いた記録:ベルリン放送交響楽団とユロフスキ
夫婦でオーケストラを聴きに行った。
この日は実家を頼ることができず、子どもを預けるには、家から目的地とは反対方向に、同じくらいの時間をかけて移動しなければならなかった。
安心して預けられる場所で、なおかつ日曜対応してくれるところは本っ当に少ない。
手間もお金もかかって、正直、出かける前は少し億劫だった。
ただ、昼ごはんにカウンターしかないタイプのラーメン屋に入れた時点で、元は取ったなと思えた。
職場復帰、引っ越し、体調不良と、まったく気の休まらない数ヶ月を過ごしていたので、こうしてリフレッシュできるのは本当に久しぶりだった。
オーケストラは、夫婦共通の趣味だ。子どもが生まれる前は、月1ペースで足を運んでいた。
「高尚なご趣味で…」とよく言われる。たしかに、楽しむハードルは高い趣味かもしれない。
私たちはそれぞれ昔クラシックの楽器をやっていたことがあり、世間の人よりは入りやすかったのだと思う。
クラシックは「最近作られた曲」か「作曲者の人生や背景が資料として残っている曲」かで、楽しみ方が変わる。
今日の演目はブラームス、ベートーヴェン、ショパン。いずれも後者にあたる。
そうした曲は、指揮者や演奏者によってアレンジが全く異なるので、好みの“味付け”に出会えると本当にうれしい。
夫婦で感想を言い合う時は、よく食べ物に例える。
「今日は上品な白焼きだったね」「この人が振ると全部二郎系になるよね」「素材の味だったね」などなど…。
今日の演奏は、アレンジが独特すぎて、もはや知らない味になっていた。
でもそれが、めーちゃくちゃよかった。ここまでアレンジして成立させるなんて、相当緻密に計算してコントロールが効いていないとできない。
特に、ブラームス交響曲第1番。一晩寝かせて煮込んだ牛頬肉のラグーみたいな曲だと思っていて、これまでこってりコクの深さ勝負のアレンジしか聴いたことがなかった。
でも今回は味の深みはあるんだけど、なんか軽やかで…跳ねてるというか…綺麗な放物線を描いて着地してる感じがあって、
なんとか例えると、職人が空気の層を制御して作る高級綿菓子とか、極細飴細工とかが近いかな……
牛頬肉のラグーだと思って食べたものが超絶技巧の飴細工だったらびっくりじゃないですか???
おもしろいなあ。これだからクラシックは何度聴いても飽きない。
今日の“味付け”が好きすぎて、クセになってしまいそうだ。またこの指揮者の演奏を聴きに行きたい。
