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切りそろえないきんぴらはグルーヴを刻む

「食材を切りそろえると、加熱ムラがなくなり、味が均一に入り、食感が良くておいしい」


 きんぴらといえば、細切りが世の常であろうか。残念ながらわたしには切りそろえる芸がない。ごぼうを丁寧に美しく切りそろえるなんて、助走なしで走り幅跳びを5m跳ぶようなものだ。


きんぴらごぼう
(ゆとりの空間サイトからお借りしました)



 無理なものは無理。苦しさの選択よりも可能性に賭けたいタチだから、今夜は常識をあっさり飛び越えたファンキーなきんぴらを作りたい。

 ごぼう、にんじん、ピーマン、きくらげ、ひよこ豆、わかめ、最後にごま。普段なら同じステージに立たない、形も食感もバラバラの七つの具材をあえて引き合わせる。


 いちょう切りのにんじんから炒め始めるのは、油を吸収させたいから。火の通りが遅いごぼうは、ざっくばらんかつロングでビッグな笹がきもどきで土の香りを引っ張り出す。

 赤が混ざったザクザクピーマン、手ちぎり冷凍きくらげ。


 コロコロ軽やかに跳ねる丸ごとのひよこ豆。

 途中で調子に乗ってフライパンを振ったら、ひよこ豆のひと粒が1mほど宙を舞って床へダイブした。わたしが5m跳ぶ前にキミが跳ぶのか。
 さらにヤケクソ気味でボイルわかめをフライパンに盛った。


 食材の特性を考慮した時間差の投入と加熱で、最高の火通り目指してピークへと向かっていく。

 味つけは砂糖、醤油、酒。みりんは使わない。甘ったるい照りに頼らず、きっぱり力強い味にしたかった。最後に、ごまパラリ。



​ そろわないコントラスト、食感の差を押し出したアプローチは、調理の自由を謳歌するきんぴら下剋上と言えるだろう。

 整然とした美しさはもちろんいいが、統一感のないバラバラな食材が作り出したひと皿には、躍動感が宿る。フライパンひとつで巻き起こした飛びきりファンキーでグルーヴを刻む和の一品だ。

 ひと口食べてあまりのふぞろいに苦笑しながらも、心地よいうねりに包まれた。


 

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