シロクマ文芸部作品     「ミスたまり」

ある日いつもの家に帰る道を歩いていると、水たまりを見かけた。
雨なんて降っていなかったのになんでだろう。
そう思い中を覗き込むと、なかで人がペコペコと頭を下げて懸命に謝っていた。
そのとき、僕ははじめて都市伝説である「ミスたまり」に出会ったのだ。
会社員の俺は、激務のストレスから最近ネット掲示板に入り浸っていた。主に都市伝説系を取り扱っていた掲示板は更新スピードも早く、すぐに常連になった。
そのなかでも特に気に入っていた記事が、「ミスたまり」だったのだ。
「ミスたまり」のなかには、その日その区域の中で一番の大失敗をした人がくっきりと浮かびあがる。そしてそこに顔が浮かびあがってしまったものは何かに襲われる…というお決まりのテンプレ。
だけど、人の顔を見るのは楽しそうという欲求のようなものが湧き上がり、探しまわっていたところだったのだ。
そんなときに見つけた本物の「ミスたまり」。1ヶ月は持つらしいし、まだ真新しい。
このまま次は何が見られるんだろうか。ワクワクした気持ちを押さえつけ、家に帰った。
次の日、帰りにその場所を通ると、まだミスたまりはあった。昨日とは違って、今度は青色に染まっていた。中をのぞくと大学生くらいの女の子が布団にくるまって泣いている。隣に説明書きが置かれていたので読むと、どうやら泣き落としが男に通用しなくなりフラれたらしい。
まぁまぁ悪いことだが、まさか色まで変わるとは。それと関係ある色に変わるらしく、それはネットにも載っていなかった。初の発見か?と思い投稿すると、思った以上の大盛況で、「kwsk」「どういうこと?」と質問を迫られて、すっかりいい気になってしまった。
それからはしばらくミスたまりを見るのを楽しみに生きてきた。初めて見る人が映っている時もあれば、三日連続で同じ人が映っている時もあって、見ていて何が来るのかを想像するのが楽しかった。
そしてとうとう期限の一か月目が来た。もうこれで最後。名残惜しさを胸にミスたまりへ向かう。今日は色はない。じゃあなんなんだろう。
そう思ってミスたまりをのぞき込むとそこには。
俺の顔があった。
なんのことだか全くわからずしばし呆然としていると、ミスたまりがAIのような無機質な声でなにかを話し始めた。
「会社員27歳。ミスたまりを毎日覗き込んだ。覗き込んだ者は毎回そのものが何をしたか調べなければならない。今回、わざわざミスたまり本体に調べさせた。」
…は?嘘、そんなわけ。そのとき掲示板で見た一通を思い出す。「ちゃんと記録してんの都市伝説にのっとって。ストーカーで草」
あの時は軽いアンチだと思っていた。俺の全盛期を邪魔しないでほしかっただけだ。俺は間違ってな

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