見出し画像

一番のミスリーディングは芦田愛菜ちゃんの幼少期を俺達が知りすぎていること。映画『俺ではない炎上』レビュー

映画『俺ではない炎上』 評価:85/100

※以前に他に掲載した記事の再掲載です。

劇場で度々予告編を目にして、芦田愛菜ちゃんの「あんたが諸悪の根源だからだろうがぁ!」のセリフが気になって鑑賞。絶対に炎上させるSNSの施策も面白かったしね。
 
結果、大当たりだった!
 
昨今のキャンセル・カルチャーの風刺映画的な内容かと思っていったら、まさかのガチンコのミステリ・サスペンスでびっくり。内容も滅茶苦茶面白い。
 
主人公の阿部寛はハウスメーカーに勤める営業部長。都内に一軒家を構え、妻と娘がいる。まさに勝ち組。ネット関係は疎いものの、仕事はバリバリだし、部下からの信頼も厚く、家庭サービスにも余念がない(と本人は思っている)。
 
そんな阿部寛のSNSアカウントが突如炎上する。なんと、殺人を仄めかす投稿をしだしたのだ。急遽作ったアカウントではなく、アカウント自体は十数年前に作られたもの。これは信頼できる投稿だということで拡散され、順風満帆な人生を送っていた阿部寛は突如殺人容疑者として逃避行を繰り広げることになるのだった。
 
そもそも、「阿部寛のホームページ」で有名な阿部寛がSNSで炎上する、という設定だけで面白い。こういう上司いそうだしね。中年~壮年にしてはガタイ良すぎる(途中で上半身の服を脱ぎ捨ててその肉体美を惜しげもなく披露する)が、「普段からランニングしている」設定の阿部寛なのでOKとなるのも面白すぎる。
 
物語は、複数の視点で語られる。
 
まずはメインの阿部寛の逃避行が物語。私人逮捕系Youtuberみたいな輩に襲われたり、場末のスナックで一夜を明かしたり、元部下に助けを求めたら無下に扱われたりとバラエティ豊かな展開。逃げ延びた先に、取引先のモデルハウスがあり、そこに辿り着くために阿部寛は半裸になったり崖から飛び降りたりする。多分、物語的には必要ないくだりだけど、阿部寛だからしゃーない。最高に面白い。
 
次は、被害者の親友を名乗る女子大生の芦田愛菜&投稿を最初に拡散した大学生コンビ。犯人だと目されている阿部寛を追いかける。投稿拡散大学生は巻き込まれた感じなのに、芦田愛菜ちゃんのアタリが強くて可哀想(理由は後で分かる)。
 
3つ目は、事件を追う刑事コンビと事情聴取される阿部寛の奥さん(とその母親)。炎上して阿部寛の家は特定されているので、娘ともども、奥さんの実家に避難していて、そこで事情聴取を受けている。
 
最後は、阿部寛の娘視点。小学生くらい。父親の無実を晴らす為に、パソコンの大先生的な男の子の友達と一緒に事件を調べたりする。
 
この4つが絶妙に交差して話は進むんだけど……いやー、見事に騙されたね。言ってしまえば叙述トリックなんだけど、原作の小説は文章での叙述トリックとして、映画だと構成の妙でミスリーディングさせるのが上手いのよ。
 
最近は、『十角館の殺人』とか、「映像化不可能」みたいなミステリ小説を実写化するのが増えてきたけど、制作サイドが知恵を絞って視聴者を騙そう(いい意味で)としているのが伝わってきて感動すら覚える。こういうのって、ネタバレを知っている原作ファンも「どうやって実写化するんだ?」というもう一つの楽しみ方ができていいよね。
 
話は戻って、筆者(原作小説未見)は見事に騙されたわけだけど、言い訳させてください。
 
いやね、犯人は大体分かってたのよ。というか序盤で出てきた時点で怪しさ満点だったやん? そんでさ、芦田愛菜ちゃんも怪しいじゃん。だって俺達の芦田愛菜ちゃんがパパ活とかするわけないじゃん。だから被害者の女がパパ活やってたって時点で、「こんな事をやってるやつと芦田愛菜ちゃんが本当に親友なわけない」って思ってたわけ。それは正解だったわけよ。芦田愛菜ちゃんは偉大やな。
 
ところが一方、犯人と、その幼少期はビジュアルが結構似てる。髪型とか。なので、薄々その仕掛けに気づき始めてたのよ。これ犯人の幼少期じゃね? って。
 
でも、そこで思うわけ。「芦田愛菜ちゃんの幼少期はこんな感じじゃなかったよね?」って。だって筆者は芦田愛菜ガチ勢やから。マルモリ言ってた頃はもちろん、ファーストソロシングル『ステキな日曜日〜Gyu Gyu グッデイ!〜』も買ったからね。『パシフィック・リム』でハリウッドデビューした時も泣いて喜んだわけよ。
 
そんな筆者が言うんだから間違いない。この子は芦田愛菜ちゃん(の幼少期)じゃない! つって。
 
……それが最大のミスリーディングだったなんてね! こりゃ一杯食わされましたわ。素晴らしいキャスティング。脱帽です。多分、そんなこと言っているの筆者だけだと思うけど……。
 
そんなこんなで、阿部寛の肉体美や家族愛やSNS社会への風刺やらをいっぺんに味わえて、さらに上質なミステリも堪能できる素晴らしい映画だった。
 
ちなみに、芦田プロの名台詞「あんたが諸悪の根源だからだろうがぁ!」もしっかりありました。てっきり阿部寛に言っているのだと思ったら、同行している大学生へのセリフだったのよ。驚き。
 
正直、そこまで言うほど悪いことを大学生はしてなくない? と思わなくもなかった。まあ自分が一番悪いと分かった上で責任転嫁してのセリフだから仕方ないね。道中もやたら大学生にアタリ強めだったし。いきなり芦田愛菜ちゃんとバディ組むことになって浮かれポンチだった大学生には良い冷や水になったのではないだろうか。
 
そんな微妙な感情の機微も表現できる芦田愛菜ちゃんが最高ってこと。ぜひ配信にきてからでもいいので見て欲しい。あと『ステキな日曜日〜Gyu Gyu グッデイ!〜』の芦田愛菜ちゃんが天使すぎるので全人類が見て欲しい。現場からは以上です。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集