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映画「爆弾」のスズキタゴサクの魅力に圧倒されて褒めちぎってていいのか、とあえて言う

ネタバレしない激賞パート

そりゃあ「爆弾」は面白かったさ。なんと言ってもスズキタゴサクを演じた佐藤二朗のとんでもなく魅力的な演技。あんなに憎たらしい人間を演じられるものかと。いつもはコミカルな芝居であれほど笑かせてくれるのにだよ。ただ「33分探偵」以来面白がってきたおれとしてはね、「さがす」でのシリアスな芝居にも驚いたもんだったよ。だから憎まれ役だって演じられる、にしてもあれほどとは。おれだって指を一本と言わず折ってやりたかったよ。
でも山田裕貴くんも良かったね。今年は主演作が続いて当たり年だ。「木の上の軍隊」では堤真一と、「ベートーヴェン捏造」では古田新太と堂々と渡り合ってたけど、「爆弾」でも佐藤二朗に食われなかった。まっすぐなキャラクターが多かったけどこんなにねじれた、ねじれて一回りして結局まっすぐな青年は彼じゃなきゃ演じられない。
染谷将太は最初わからなかったね。この役者誰かな?ぶつぶつ喋る内省的な人物像で、それにすぐに本庁から山田裕貴たちに代わられるわけだし知らない役者さん?あれ?染谷くん?歌麿?って感じで。でも後から実は重要な役回りだとわかる。
あと伊藤沙莉もね、坂東龍太とのコンビがね、どう見ても好きあってるけどまだ付き合ってない絶妙な雰囲気出てたね。
そして銀次郎さん、じゃなくて寛一郎くんもね。スーツ姿似合ってたねえ。直情型でまんまと罠にハマる感じをうまく出してた。さっきの2人と三角関係かなって匂わせてたね。
冷静なのに熱くなる渡部篤郎などなど役者の良さを挙げるとキリがなくて、場所がほとんど取調室だから舞台を見ている感覚になって一人一人の演技に目がいくんだよね。
あ、でも外での爆発シーンも凄まじくて、すごいのが怪我人や遺体。フジテレビ映画なのに放送コードなんか気にすんな!って感じでほんとの怪我人に見えた。テレビドラマの怪我人って、ちょこっとだもん。女優さんなんかきれいなままで。すぐそばにメイクさんいるでしょって見え見えなのが多い。「爆弾」は爆発の映画だから本当に爆発に遭ったように、あれはかなり頑張って見せてたね。
どこもかしこもいいんだけど、やっぱりもう一度佐藤二朗に戻っちゃうね。何を見る映画かと言えば、佐藤二朗を見る映画だから。山田くんごめん。でも「爆発」はやっぱり結局、佐藤二朗だ。もちろんストーリーも演出もよくできていて、その上で佐藤二朗を憎んだり腹立てたり、でもだんだんもっと奥にあるものを見ようとする。佐藤二朗に大満足する作品だ。

ただね。だがね。しかしだね。みんな騙されてない?佐藤二朗があんまり面白いから、圧倒されたから、目を背けちゃってない?今から書くこと、うんまあ、そう言えばそう思った気もするなあ、ってなるから。そこはね、おれはあえて書くよ。書いとかないといけないと思うんだよね。

ネタバレする不満パート

おれが言いたいのはね、クライマックスがずいぶん雑なんじゃないのってことよ。
山手線連続爆破まではね、画面に目が縛り付けられてたよ。山田くん演じる類家にシンクロしてすっかり打ちひしがれたね。
でもね、そのあたりから真相が暴かれるんだけど、ドタバタドターッて進んじゃう。けっこう複雑でね、辰馬が山脇、梶と仕組んだことを山脇、梶を殺して実行しようとしたのを、母・明日香が気づいて辰馬殺しちゃってホームレス仲間のタゴサクに託して、タゴサクはその計画乗っ取っちゃって秋葉原やらの爆破もくっつけて、最後の爆弾は明日香が警察署に持ってきたけどフェイクだった、って、これ一所懸命思い出しながら書いてるから整理できてるように見えるけど、見てる最中は正直置いてかれそうだったから。終わって出て行く時、隣のカップルが「えっと山脇たちは、あれ?」とか困っちゃってたからね。
だいたいね、類家はそれまでタゴサクの言葉をうんうんうなって考えて、夜が二つで木曜日だから代々木だ!とか、聞いててなるほどなと思える推理してたのが、真相わかるクライマックスでは、なんでそんなことわかる?って感じの推理を等々力も一緒になってスイスイ展開して言い当ててた。
なんかね、えーっとあと原作でこうなってこうなるのを脚本にして、おや?それだと3時間超える?ダメだよ映画は3時間超えちゃ、絶対2時間な!すみません編集したら2時間17分でした、あーもうしょうがないかあ、ってそんな顛末なんじゃないの?
公開前に「国宝」が3時間でも大ヒットしたから、そうかそういう時代だったかあ、しまったなあ、いやみんなごめんねー、でも面白いのできたから絶対イケる!幸いスポンサーがCM一斉に撤退したからスポットいっぱい流せたしね、てな感じだったんじゃない?
だいたい、これみんな言ってるけど、なんでこんな無茶苦茶な犯罪をタゴサクは引き継いだわけ?辰馬はわかるよ。あれだけの目に遭ったら世界に復讐したくなるよ。でも明日香はなんで息子殺す?殺しといてなぜ爆弾止めない?で、なんでタゴサクに託す?そしてタゴサクは、なんで?
明日香以降、わかんなくなる。まあ明日香は娘のために辰馬による犯罪だと世間に知られたくなかった、というのはわかるけど、じゃあ最後になんで警察署に爆弾持ってきた?結局犯罪者一家の一員に娘をしちゃうじゃない。
タゴサクは明日香に惚れたとか?だったら秋葉原と東京ドームくっつけることなくなくない?
とかね、いろいろ頭にハテナが湧いてたはずなのに、佐藤二朗がすんごい演技を見せてくれたから、そこに興奮しちゃって腑に落ちなかったことから目を背けてない?そんなことない?違う?おれ言ってることおかしい?
とかね、ごちゃごちゃ書いてるのもやっぱり映画が面白かったからだけどね。でもあえて書いたよ。こういうこと書いとくのも大事だからさ。
ま、面白かったねー!今年の邦画では「国宝」と並ぶよ。いやもちろん、タイプ的には並べる映画じゃないけどね。面白さでは並ぶなと思った。

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