映画「異端者の家」ヒュー・グラントが喋り続けるだけなのに怖しい!
4月19日にまったく別の映画を見に行ったら映画館に上の画像の大きなポスターがあった。ふだんから近々公開される映画の情報を探しているのに全然知らなかった。でも元プレイボーイ、ヒュー・グラントがどう見ても異常な人物。異端者の家?そして若い女性が2人。彼女たちがヒュー・グラントの家に閉じ込められる映画に違いない!異様に惹き込まれて翌週見た。ポスターだけで見に行くと決めた珍しい映画だ。期待に違わぬ面白さだった。
末日聖徒イエス・キリスト教会(前の通称モルモン教)の布教活動に励む2人の女性(多分20歳くらい、劇中で19歳と言っていた)が興味がある人のリストにあった家を訪ねる。妻がいると言うので安心して家の中に入った2人は少しずつ気づく。このおっさん、ヤバい!失礼せねばという2人に、表のドアはタイマーで朝まで開かないと平然と言う。ほら、やっぱりこいつヤバいやつやん!おっさん、2人を襲うわけでもなく、なぜか宗教論を語り出す。喋るだけかい!でもなんだかそれが怖い!キモい!なんとか脱出しなきゃ!果たして2人は家を脱出しキモいおっさんから逃れられるか、という話。ここからはネタバレもあるので早く映画館へ行こう!
ふだん忘れてるけどこういう時に思い出すのが、私は文学部宗教学科卒だったこと。そしてヒュー・グラント演じるリード氏が長々と語る宗教論が面白かった。キリスト教もユダヤ教もイスラム教も大きく見れば同じやん、と乱暴だが一理あるかもなことを言う。さらにキリスト教以前に12月25日生まれの教祖がいて復活する宗教は12もあったとか言い出す。
それは知らんけど、キリストが死んだ日は謎で、布教する際に太陽信仰の民族が多かったからそれに合わせて冬至の日に生まれたことにした、と言うのは聞いたことがある。日本も神々の母、天照大神は太陽神だしね。多かれ少なかれ宗教には似たところがある。
リードはキリスト教など既存の宗教を否定し、唯一絶対の神を見つけたとほざく。布教活動をするうら若き女性を家に閉じ込めたのは、彼女たちが信じるものを徹底的に否定し、そうすることで精神的に痛めつけたかったからだろう。なんて陰湿なジジイだ!そんなキモいジジイを世界的ハンサムボーイだったヒュー・グラントが嬉々として演じている。
そして意外にも女性が登場し、あれ?一人暮らしじゃないのは嘘じゃなかったのか、じゃあ奥さん?でも様子がおかしいけど。この辺りから狂った物語になってくる。そしてその裏には本当にキモいジジイが女子たちに見せたかった真相が隠れていた。
宗教とは支配に過ぎない、心の弱い人が誰かに言われた通りに生きればいいと思うだけで支配されることに幸せを感じているだけなのだと、すべての宗教を冒涜するジジイ。でもその理屈には一定の説得力がある。僕たちは身近に、弱った人が宗教にすがり、時に異常な金品を奪われるのを見てきた。
だから祈りなんぞに何の意味もないのだと言い放つジジイに、うら若き女性は、それでも誰かのために祈ることは美しいのだと論破、でもないけど反論する。
この言葉に宗教の本当の姿を見出せる。僕たち日本人は信仰する宗教などない。それなのに神社に行くと家族のために祈る。そこに宗教の必要性がある。僕たちは祈らずにはいられないから、祈る対象としての神や仏が必要なのだ。神が実在するかは、ほとんど意味がない。
そんなことを卒業以来何十年ぶりかで考えてしまうこの映画は面白く、怖く、ユニークだ。ぜひ映画館で見てください。意外に人が入っていた。この映画の何かにみんな惹かれたんだろう、僕と同じように。
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