鬼むかし―昔話の世界
鬼が登場する昔話について、分析した本です。
鬼をキーワードに、日本の昔話を分析した本といえます。
『桃太郎』、『瘤【こぶ】とり爺さん』、『一寸法師』など、日本の昔話には、鬼がよく登場しますね。
また、『安達ヶ原【あだちがはら】』の鬼婆【おにばば】や、『瓜子姫【うりこひめ】』の天邪鬼【あまのじゃく】、『牛方山姥【うしかたやまんば】』の山姥【やまんば】など、鬼の仲間と見なしてよさそうなものも、よく登場します。
本書では、これらの鬼婆や天邪鬼や山姥などをも含めて、昔話の鬼を分析しています。
本書の分析に、得心が行くかどうかは、人によるでしょう。
私の場合は、多くの部分で、得心が行きました(^^)
なかには、「論の展開が、強引すぎる」などと感じて、得心が行かなかった部分もあります。
本書の分析がすべてではないにしても、鬼の正体について、示唆するところ大です。
本書の分析を読むと、「鬼」と呼ばれるものの正体が、単純ではないことに気づきます。
例えば、『桃太郎』の鬼と、『瘤とり爺さん』の鬼とは、性質が違います。『桃太郎』の鬼は、一方的に征伐されるものですが、『瘤とり爺さん』の鬼は、義理堅くて、わりといい存在ですよね。
本書では、鬼が登場する昔話を、十種に分類しています。その十種について、代表的な話を取り上げて、分析しています。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
鬼むかし
一 昔話の意味
二 「こぶとり」の原型
三 鬼と死霊・祖霊
鬼一口【おにひとくち】
一 「一寸法師」の鬼
二 「大江山」の鬼と童子
三 人を食べる鬼
四 『鞍馬寺縁起』の鬼神
五 山姥問答
六 童子と山姥
安達ヶ原の鬼婆
一 安達ヶ原と「あだし野」
二 鬼婆と祖霊と巫女
三 『華厳縁起』の墓と鬼
天邪鬼と瓜子姫
一 天邪鬼の「鬼一口」
二 天邪鬼の物真似
三 天邪鬼と天探女【あめのさぐめ】
牛方山姥と鯖【さば】大師
一 牛方山姥型の構成
二 牛馬と鯖大師
三 鯖と散飯【さば】
「食わず女房」と女の家
一 「食わず女房」の構成
二 「食わず女房」の「鬼一口」
三 山姥のかつぐ桶
四 「食わず女房」とフキゴモリ
五 五月乙女の忌籠【いみごも】りと菖蒲【しょうぶ】御殿
山姥と鉄鎖
一 「天道さん金の鎖【くさり】」の荒筋
二 日本の昔話とグリムの昔話
三 山伏の入峰修行【にゅうぶしゅぎょう】と木登り、鎖登り
「鬼の子小綱」の原点
一 「鬼の子小綱」の構成とモチーフ
二 神の子と鬼の子とその子孫
三 道場法師と「鬼の子小綱」
四 鬼の子の童子と小綱
五 鬼と難題
六 鬼からの逃走と五百里車
など
「地獄白米」(「地蔵浄土」「鬼の浄土」)と地獄縁起
一 「地蔵浄土」と「おむすびころりん」
二 「地獄白米」の団子、握り飯
三 「地獄白米」の地下への穴
四 他界往来の鼠【ねずみ】穴と素戔嗚尊【すさのおのみこと】神話
五 鼠穴から「鼠の浄土」へ
六 『矢田地蔵縁起』と白米
など
瘤【こぶ】取り鬼と山伏の延年
一 「瘤取り鬼」と山伏
二 「瘤取り鬼」のモチーフ
三 木の洞と鬼の出現
四 鬼の酒盛りと踊と咒師【しゅし】
五 鬼と霊物と眷属【けんぞく】
六 蓮華会【れんげえ】と延年
など
「桃太郎」の鬼ヶ島渡り
一 「ニラの国」へ行った桃太郎
二 地獄へ行った桃太郎
三 祖霊の島から鬼ヶ島へ
四 「桃太郎」の主題と話因、話素
五 川上の異郷と桃の神秘性
六 団子と霊供
など
あとがき
