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2nd アルバム 『Thus Have I Heard』 〜 ③曲順について

はじめに

去る2025年10月8日、私(布施音人)のピアノトリオの2ndアルバム『Thus Have I Heard』を自主レーベルOFMよりリリースしました。
日ごろ最も多く共演している、高橋陸(ベース)、中村海斗(ドラムス)とのトリオで5月にレコーディングしたもので、曲は全曲オリジナルです。

アルバムジャケット

このアルバムに関して、アルバムのタイトルやジャケットデザイン、各曲の作曲過程など、いくつかの記事に分けて書いていこうと思います。
今回は三回目、曲順や曲どうしのつながりについてです。
前回の記事は↓

なお、アルバムの詳細情報や各種リンクは記事末尾に記載しておきます。
また、2025/11/25(火)に渋谷 JZ Brat にてリリースライブがありますのでそちらもよろしくお願いいたします。

曲順・曲どうしのつながりについて

曲順をどのように決めたか、曲順にどのような意図があるか、曲と曲はどのようにつながっているかについて書きます。
ここに書いたことは曲の選定や曲順の決定の過程で考えたことのごく一部で、これ以外にも様々な要素があったのですが、とりあえず分かりやすいものを記しました。
※ネタバレが嫌な人は読まずに先に聴いていただければと思います。

Lyle Mays 『Fictionary』

唐突ですが、私は Lyle Mays というピアニストが大好きです。

彼の(公式の)リーダー作は4,5枚とそれほど多くはないのですが、その中で唯一のピアノトリオ作品が、ベースの Marc Johnson、ドラムスの Jack DeJohnette とのトリオで録音された『Fictionary』(1993) です。

このアルバムの冒頭3曲は、バラードの「Bill Evans」、少しアップテンポな Even 8ths の「Fictionary」、ゆったりとした Bossa の「Sienna」という順で進んでいきます。
バラードで心を掴まれたあとの軽快な表題曲、そして翳りを伴った美しい Slow Bossa と、この流れは何度続けて聴いても飽きることがなく、自分も同じような印象を与えられる作品を作りたいと思っていました。

そして今回、それぞれ「Fictionary」、「Sienna」に影響を受けた曲である「Northbound Journey」、「White Lycoris」がちょうどあったので、曲順を真似て、一曲目用にバラード「Tsutomete」を新たに作曲し、「Tsutomete」「Northbound Journey」「White Lycoris」の曲順にしました。

B.A.S.D. 〜 Nyoze 〜 We Can Hardly See 〜 Ascending Shadow of the Mountain

B.A.S.D.」「Nyoze」「We Can Hardly See」の3曲は、いつの間にかライブで続けて演奏するのが恒例になっていました。

B.A.S.D. の最後のコードは G Major ですが、そこから G Major → G7 の流れを作ると Nyoze の冒頭にスムーズに繋がります。
また、Nyoze の最後の Db Major を、Db Major → Ebφ/Db → Db7 → Ebφ/Db のような P5→b13→b7→b13 の流れにし、三度の音を抜かすことで、We Can Hardly See の最初の C#m ↔ A/C# の2コードに結び付けられます。

もともと別々に作った3曲でしたが、このようにコードがうまく結びついているので、切らずに続けて演奏するようになりました。

さらに、We Can Hardly See の終わり方は、F#m7 → FM7(#11) というコードでカットアウトで終わるというものなのですが(終わり方も紆余曲折ありましたがこの形に落ち着きました)、これが E Major のオスティナートから始まる「Ascending Shadow of the Mountain」にうまく繋がったので、結果この4曲が組曲のようになっていきました。

ところで、私にとって、同じコードを介して曲どうしや楽章どうしが繋がっているといって思い起こすのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。

この曲は、1楽章が C minor で終わり、2楽章は C minor から始まったあと、滑らかな和音進行を通してすぐに E Major になって主題が奏でられます。
また、2楽章が E Major で終わったあと、3楽章は一旦 E Major の和音から始まり、C Major、F minor などを経由してすぐに C minor に戻ります。
小学生の頃からこの曲が大好きだったのですが、こういうところからの影響もあったかもしれません。

曲順の決定

以上のようにして、1〜3曲目を「Tsutomete」「Northbound Journey」「White Lycoris」にすることや、「B.A.S.D.」「Nyoze」「We Can Hardly See」「Ascending Shadow of the Mountain」を連続させることがある程度決まりました。
さらに、佐渡島からタイトルを取ったバラードの「Sado」も絶対に入れたいと思っていました。ここまでで8曲あります。

アルバムに入れていないオリジナル曲はまだあったのですが、収録時間の関係やアルバム全体のコンセプトから、この8曲としました。

曲順はもうほぼ決まっており、「Sado」を「White Lycoris」と「B.A.S.D.」の間に入れるか「Ascending Shadow 〜」の後ろに入れるかくらいでしたが、「Ascending Shadow 〜」が最後にふさわしい曲だったので、「Sado」は中間に入れることにして、
1. Tsutomete
2. Northbound Journey
3. White Lycoris
4. Sado
5. B.A.S.D.
6. Nyoze
7. We Can Hardly See
8. Ascending Shadow of the Mountain
という曲順が決まりました。

ちなみに、B.A.S.D. のイントロは特に何も決まってないのですが、アルバムバージョンでは Sado の最後のコードの E7 の付近から始めているので、Sado → B.A.S.D. のところも組曲のようになっています。

この曲順は少し対称性がある点でも気に入っています。M1とM8はバラード、M2とM7は割と動きのある4拍子の曲でドラムソロもある、という風にです。M3とM6、M4とM5も、うまく説明はできないのですが、私の中ではそれぞれ対応しています。

また、M1が朝の意味の曲「Tsutomete」で、M8は夕方の景色を題材にした曲なので、アルバム全体がとある一日のようにもなっています。
それもあって、最後まで聴いたらまた頭から聴きたくなるような、循環するようなアルバムにできたのではないかなと思っています。

アルバムの詳細情報

Otohito Fuse Trio 『Thus Have I Heard』

Track List:
1. Tsutomete
2. Northbound Journey
3. White Lycoris
4. Sado
5. B.A.S.D.
6. Nyoze
7. We Can Hardly See
8. Ascending Shadow of the Mountain

Personnel:
・布施 音人 Otohito Fuse (p)
・高橋 陸 Riku Takahashi (b)
・中村 海斗 Kaito Nakamura (d)

Recorded, Mixed, and Mastered by 吉川 昭仁 Akihito Yoshikawa
Recorded at Studio Dede
OFM-002 STEREO
Made in Japan

トレイラー:

リリースイベント:
11/25(火) at 渋谷 JZ Brat
19:30 start
予約はコチラ

11/25 リリースライブ フライヤー

購入リンク:
タワーレコード
ディスクユニオン
Bandcamp(購入でmp3ダウンロード・試聴も可能です)

ストリーミング:
Apple Music:

Spotify:


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