【止まりたくなかった。壊れてても、動きたかった。】
動けなかった俺が、もう一度「立とう」と思えた日
1. 再起のつもりだった
逮捕された後、家族・仲間に迎えられ、もう一度やり直そうと思った。
紹介を受けた解体業の会社に入社。
最初はただ、“普通に生きること”を目指していた。
2. 解体現場で、俺は“空気を読まなかった”
仕事を覚えるのは早かった。
中間管理職が現場を回せなかったから、自然と俺が前に出ていった。
業者や元請けと直接調整し、現場は回っていた。
でも周囲は、どこか冷めていた。
「やってもやらなくても給料は一緒」
そんな空気があって、誰も前に出ようとしなかった。
俺は、そういうのがつまらなかった。
「どうせやるなら、全力でやる」
「回るべき現場は、回せばいい」
空気を読まずに、前に出る。
その性格が、どこか浮いていたのは分かってた。
3. 「責任感がない」と詰められた日
会社が倒産しかけていた。
社員たちは不安で、俺のところに答えを求めてくる。
後から入った俺が前に立っていたのが、今度は逆風になる。
俺は社長に伝えた。
「このままじゃ、みんな辞めます。現場も回りません」
すると社長は、感情を剥き出しにして怒鳴った。
「お前ら、やるって言ってただろ!?最後までやるって言ったよな!?」
「ふざけんなよ……おい、やんぞ、マジで」
空気が一変した。
一線を越えた。
それでも、俺は冷静だった。
「そうですね。分かりました。
でも、俺は伝えるべきことは伝えました。以上です」
俺はその場を去った。
そして、最後に社長は言った。
「……もう金だけは払うから」
でも、その金すら、結局支払われることはなかった。
何度か電話もした。
でも、もう二度と繋がらなかった。
弁護士の名前を出して取り次ぎ拒否。
俺の番号は、着信拒否されていた。
結局、人間って、責任よりも逃げる方を選ぶ。
それが、現実だった。
4. 壊れて動けなくなった
その日から、体が動かなくなった。
目が覚めても、布団から出られない。
何もしたくなかった。
ただ、時計の針だけが進んでいく。
飯も風呂も、外に出ることも無理だった。
「俺、逃げたのかな」
「いや、正しいことを言ったはずだろ」
「でも、俺が間違ってたのか…?」
答えのない問いが、ずっと頭の中を回っていた。
5. 母の言葉と、病院の診断
母が言った。
「無理しないで。病院、行こう」
診断は“適応障害”。
他にもいろいろ言われたけど、
正直、それを聞いて少しだけ安心した。
「ああ、俺はもう壊れてたんだ」って気づけたから。
6. 逃げた。でも、まだ終わらせたくなかった
そこから、少しずつ筋トレをしたり、
本を読んだり、自己分析を始めた。
「何かしてないと潰れそう」だった。
全部が前向きな行動じゃなかった。
どこかで、逃げてた自分もいた。
でも、終わらせたくはなかった。
壊れてても、歪んでても、
それでも、「止まりたくない」と思ってた。
7. 再び立ち上がるための“きっかけ”
そんな中、ずっと気にかけてくれていた友人が言った。
「お前となら仕事になると思う。一緒にやろうよ」
また期待されて、また裏切るのが怖かった。
でも、それでも、
「もう一度やってみたい」と思った。
1年近く待たせてしまったけど、
俺はその言葉に、もう一度賭けてみた。
8. 結び:壊れたままで、進めばいい
人は「誰かに期待される」とき、
脳内にドーパミンが出て、“再起のスイッチ”が入る。
俺にとって、そのスイッチは――
「一緒にやろうよ」
という、たった一言だった。
壊れたままでもいい。
誰にも理解されなくてもいい。
でも俺は、もう一度立ち上がることに決めた。
【次回】
そこから俺は、誰よりも早く実績を積んでいく。
でも、成長とともに、“大切な仲間”とぶつかる日が来た。
