変化を機会に変える経営へ(前編)| ドラッカーの問いから事業を考える
こんちには、岡山トヨタシステムサービスです。
ピーター・ドラッカーの著書『チェンジ・リーダーの条件――みずから変化をつくりだせ!』をご存知ですか?
著書では、変化を「脅威」ではなく「機会」と捉え、自ら変化を生み出す組織やリーダーになることの重要性が語られています。
そこでまず強調されるのが、企業の目的は利益を上げることではなく、「顧客を創造すること」という考え方です。
もちろん利益も重要です。
しかし、それは目的ではなく「顧客に価値を提供した結果として生まれるものだ」とドラッカーは説いています。
だからこそ企業は「私たちの事業は何か」「顧客は誰か」「顧客にとって本当に価値のあるものは何か」を常に問い続けなければなりません。
また、著書では「イノベーション」についても重要な考え方が示されています。
ドラッカーは、イノベーションを偶然のひらめきではなく、日常的に取り組むべき仕事だと述べています。
予期しなかった成功や失敗、社会や人口構造の変化、新しい技術の登場など、変化の中には新たな機会が隠れています。
変化を恐れるのではなく、そこにある可能性を見つけ出し、小さく試しながら学び、成長へとつなげていく。
その姿勢こそが、ドラッカーの考える「チェンジ・リーダー」の姿なのです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです…!
▼利益が出にくい時代に何をするか
人口減少が進み、人件費や資源価格が上昇するなか、「売上は伸びているのに利益が残らない」という企業が増えています。
IT業界でも、エンジニア不足による人件費の上昇に加え、クラウド利用料の増加やセキュリティ対策の高度化などにより、従来と同じやり方では十分な利益を確保しにくくなっています。
こうした状況になると、多くの企業は単価の引き上げやコスト削減によって乗り切ろうとします。
しかしドラッカーは、利益そのものを企業の目的とする考え方を否定しています。利益は、企業活動がうまく機能しているかを示す結果であり、追い求める目的ではないと考えるからです。
では、利益が思うように確保できなくなったとき、経営者は何を考えるべきなのでしょうか。
ドラッカーが求めているのは、「どうやってコストを削減するか」という対処法ではありません。
「われわれの事業は何か。顧客は誰か。顧客にとっての価値は何か」を改めて問い直すことです。
利益が伸び悩む原因は、単にコスト構造の問題だけとは限りません。
「顧客にどのような価値を提供しているのか」
「その価値が今も求められているのか」
という、事業の本質に原因がある場合も少なくないのです。
だからこそ、まずは事業のあり方そのものを見直す必要があります。
▼「顧客への価値」をIT業界で問い直す
この問いをIT業界、そして当社に当てはめると、「受託開発で人月を提供するビジネスは、今の顧客にとって本当に価値があるのだろうか」という問いに行き着きます。
顧客が求めているのは、単にシステムを開発してもらうことではありません。
「業務を自動化し、働く人の負担を減らし、成果につながる仕組み」を手に入れることです。
そのため、「導入したその日から活用できるSaaS型サービス」や「運用負荷を大幅に軽減できる仕組み」など、顧客が自然と選びたくなるサービスやプロダクトを生み出し提供できているかが重要になります。
また、営業力や個別のカスタマイズに頼らなくても価値が伝わる、「最初から売れる設計」になっているかどうかも、収益性を左右する大切な要素です。
さらに、人口構造の変化やAIの進化は、IT業界の開発スタイルそのものを変えつつあります。
労働力不足を背景に、省人化・自動化、ノーコード化へのニーズは今後さらに高まるでしょう。
その一方で、多くの人手を必要とする従来型の大規模な受託開発は、縮小していく可能性があります。
将来の景気を正確に予測することはできません。ただ、「働く人が減っていく」という大きな社会構造の変化も避けられません。
だからこそ、そうした変化を前提に「どのようなサービスやビジネスモデルを生み出していくのか」を考えることが重要なのです。
▼企業の目的は「顧客の創造」――そのための"組み替え"
ドラッカーは、企業の目的を「顧客の創造」だと述べています。
そして、その実現のために重要なのが「計画的廃棄」という考え方です。
ドラッカーのいう「顧客の創造」をIT業界に置き換えると、「エンジニアの人数を増やさなければ売上も増えないビジネスから、技術やノウハウをプロダクトやサービスとして蓄積し、より多くの顧客へ価値を届けられるビジネスへ転換すること」と言えます。
もちろん、高い技術力を持つエンジニアの存在は欠かせません。
しかし、多くの人手を必要とする個別開発だけに依存するのではなく、再利用可能なプロダクトやAIを活用した自動化サービスへと領域を広げていく。
そうすることで、限られた人材でもより大きな価値を生み出せるようになります。
ここで大切なのは、「計画的廃棄」を単に「既存事業を捨てること」 と取り違えないことです。
人口減少が進む時代には、「何を伸ばすか」だけでなく、「何をやめるか」を決めることも同じくらい重要になります。
ただしそれは、これまで会社を支えてきた事業を丸ごと否定することではありません。
将来の成長性や人材活用の効率を考えたときに、時代に適合しなくなった“やり方”や“一部の仕組み”を段階的に縮小し、新しい形へと転換していくこと。ーーこの柔軟な組み替えこそが、「計画的廃棄」の本質です。
「顧客の創造」とは、今ある仕事の延長線上に答えを探すことではありません。
顧客自身もまだ気づいていない課題やニーズを見つけ、新しい価値を届ける仕組みをつくること。
それこそが、ドラッカーが私たちに投げかけた問いの本質なのではないでしょうか。
次回(中編)――問いを、動きに変える
とはいえ、「事業を問い直すこと」と「実際に新しい価値を生み出すこと」との間には、まだ大きな距離があります。
「顧客にどのような価値を届けるのか」を定義したなら、次はその問いを具体的な事業へと落とし込んでいかなければなりません。
既存事業を大切に守りながら、どのように新しい挑戦を進めるのか。
そして、それを一過性の取り組みで終わらせず、継続的に価値を生み出す"仕組み"へ育てていくのか。
中編では、この問いを行動へと変えるための「新規事業への踏み出し方」と、継続的な挑戦を支える「仕組みづくり」について、具体的に考えていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。
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