踏切オーディション【毎週ショートショートnote】
毎週ショートショートnoteのお題にチャレンジしました。
1,000字越えです…。
410字に収めれる日はくるのか!?
よろしくお願いします。
「さて……
『踏切上等!!あなたの決断、全力応援!!
第22回踏切オーディション』優勝者は……」
ドラムロールが鳴り、パッと1人の男性にスポットライトが当たる。
「Nさんです~!!
おめでとうございます~!!」
パンと大きな破裂音とともに、金銀のキラキラした紙吹雪が会場を舞った。
「Nさんはお付き合いしてる彼女に『プロポーズをする』という大きな決断をしました。
番組では、そのプロポーズを、全力で……全力で!!サポートさせていただきますっ!!」
Nと呼ばれた男は、ハハッと照れくさそうに笑いながら
「ありがとうございます!!
正直、まだ早いかなって思うこともありましたが……
二人にとって、一生忘れられないプロポーズをします!!」
と力強く宣言した。
そして、プロポーズ当日。
夜景の見える高級なフレンチレストラン。
ワイングラスを傾け熱いまなざしを向けるNに対し、彼女はどこか落ち着かない様子だった。
ウエイターがデザートを運んで、机に置いたその時、ウエイターが突然、Nに声をかけた。
「さあ、全ての準備は整いました!」
すると後ろの席で食事をしていたカップルが立ち上がり、歌うように語りかけた。
「今から始まる、素晴らしいショーで、彼女を最高の舞台へと導きましょう!」
そこからは、お店にいる人たちや、厨房にいる人たちまで出てきて、Nと彼女の周りを囲んで踊りだした。
ダンサーの一人がNを立たせて
「さあ、その胸ポケットに忍ばせているものを……彼女に渡すんだ!」
といってウインクする。
Nは大きく息を吐いて、彼女をまっすぐ見つめ、胸ポケットから指輪の入った箱を取り出し、片膝をついて彼女に差し出した。
「僕と……結婚してください!!」
店内はシンと静まる。
彼女は、ポカンとした表情で、差し出された指輪を見る。
Nの顔を見る。
期待に満ちた視線を向ける人たちを見る。
そして、絞り出すような声で言った。
「ごめんなさい!!
うち、こういうの、ほんま無理やねん!!
……Nくんの自分に酔ってる感じ、正直、鳥肌たつねん!!」
言い終わると、彼女は店から飛び出してしまった。
一部始終を画面越しに見ていた司会者の一人が残念そうな顔で言った。
「いや~、プロポーズ、成功ならず!!でしたね~」
「ですが、Nさんは見事、踏み切りましたよ!
ナイス踏切!でしたよ~」
「そうですね。
結果より、踏み切ることにこそ価値がある!!
それが踏切オーディションですからね~」
「それに、あの状況で、プロポーズを断る彼女も、ナイス踏切!でしたね~」
「たしかに!」
「いや~今回も、素晴らしい踏切を見せていただきました!」
「それでは第23回踏切オーディションでお会いしましょう!」
おしまい。
