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文字になる前~言葉が輪郭を持つまで~ 後ろ髪を引かれる幸せ

私は普段、訪問介護の仕事をしている。
生まれてこのかた、正社員という肩書きを背負ったことのないアウトロー人生だ。
今の仕事形態も「登録」というもので、一日に何件回っての賃金計算になる。

曜日毎に伺う家が決まっている。
時々だが、当日になり訪問がキャンセルになることがある。
中途半端に40分から1時間ぐらいの隙間が出来るのだ。

そんな時、いつも時間がもったいないと感じていた。

近くの商業施設を意味もなくふらふらしたり、カフェに入って動画を見たりしながら時間を潰していた。

お金にならない。何も生まれない時間。

以前はその時間が心底無駄に思えて、仕事を辞めたくなるくらい苦痛だった。

しかし、文章を書くようになってからは、その無駄だと思っていた時間が読書や文章を書く時間に変わった。

調べてみると、図書館は至る所に点在しており、訪問先の近所の図書館を検索しては訪ねるようになった。
特に、今のような暑い日が続く中での、図書館で取る涼は格別だ。

気になる作家の本を手に取り、椅子に座る。
小説、エッセイ、絵本。
その時読みたい本の世界に没入する。
マイボトルがあれば、冷水器からのお水を飲むことも出来る。
至れり尽くせりの幸せな時間だ。

そうなると、以前は長く感じていた四十分から一時間と言う時間が、あっという間に過ぎ去っていく。

今、この文章もそんな時間で書いている。

あー外に出たくない。
こんな居心地のいい場所を離れるなんて、辛すぎる……。

毎回、退館するたびに後ろ髪を思い切り引かれる。
このままでは、髪の毛がごっそり抜けてハゲるのではないかと、本気で心配している。

次の話:文字になる前~言葉が輪郭を持つまで~ 趣味と言われるなかれ

#文字になる前
#創作
#書くこと
#文章
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