「何か案を出して」と言われても困らないための、発想のきっかけ20
「自由に考えてください」と言われた瞬間、何も思いつかなくなる。
会議で案を求められても、すでに出ているものと似た考えしか浮かばない。新しい企画を考えようとして、白い画面を眺めたまま時間が過ぎる。
アイデアが出ないとき、無理にひらめこうとしても手が止まります。そんなときは、答えを直接探すのではなく、考えるための質問を変えてみます。
難しい発想法の名前を覚える必要はありません。今の状況に合う質問を一つ選び、思いついたことを小さく書き出すための実用的な一覧です。
最後には、出した案を整理して一つ選ぶ方法、すぐ試せる大きさにする手順、思いつきをあとから使える形で残すメモも付けています。
最初に、考える範囲を決める
「新しいサービスを考える」「面白い企画を考える」だけでは、範囲が広すぎます。アイデアを出す前に、次の5項目だけ書きます。
考えたいテーマ:
使う人:
困っている場面:
どうなればよいか:
変えられない条件:
例えば「学校行事の企画を考える」ではなく、次のようにします。
考えたいテーマ:学園祭の待ち時間を楽しくする企画
使う人:初めて来場した人
困っている場面:人気企画の列に20分並ぶ
どうなればよいか:待っている時間も楽しめる
変えられない条件:列の場所と必要なスタッフ数は増やせない
ここまで書くと、「何か面白いもの」ではなく、「列に並んでいる人が、少ない準備で楽しめるもの」を考えられます。
第1章 アイデアの種を見つける
1.広いテーマを一つの場面にする
「もっと便利にする」「売上を増やす」のような広いテーマを、時間、場所、行動が見える一場面にします。
自分への質問
誰が、いつ、どこで、何をしている瞬間を変えたいのか。
例
「図書館を便利にする」
↓
「初めて来た人が、借りたい本の場所を探す時間を短くする」
場面が一つになると、案を考える対象が見えやすくなります。
2.小さな不満を並べる
大きな問題を探そうとせず、「少し面倒」「分かりにくい」「毎回迷う」を書きます。
自分への質問
この場面で、面倒、遅い、分かりにくい、忘れやすいことは何か。
例
会議について考えるなら、次のような小さな不満を並べます。
資料を開くまでに時間がかかる
誰から話すか決まらない
決まったことが最後に分からなくなる
会議後の担当者が曖昧になる
一つの不満に一つの案を当てるだけでも、複数の方向が生まれます。
3.使う人を一人まで絞る
「全員に便利なもの」から考えると、必要なものがぼやけます。まず、具体的な一人を仮に置きます。
自分への質問
最初にこの案を使ってほしい一人は、どのような状況にいる人か。
例
「学生向けの勉強サービス」
↓
「試験まで7日だが、どこから復習すればよいか決められない大学1年生」
実在する人の個人情報を使う必要はありません。年齢や属性を増やすより、困っている場面を具体的にします。
4.事実と思い込みを分ける
案を考える前に、自分が「当然」と思っている条件を疑います。
自分への質問
絶対に変えられない事実と、何となく守っているだけの決まりは何か。
例
「説明会は、担当者が前に立って順番に説明するもの」
会場や時間は変えられなくても、「全員が同じ順番で聞くこと」は変えられるかもしれません。小さな展示を自由に回る、質問から先に受けるなど、別の案が出てきます。
法律、安全、予算、勤務先の規則など、本当に守る必要がある条件は外しません。
5.解決策より先に行動を見る
「アプリを作る」「イベントを開く」と手段から始めず、今の人が何をしているかを見ます。
自分への質問
困ったとき、その人は最初に何をして、次に何をしているか。
例
忘れ物を減らしたい場合、いきなり通知アプリを考えるのではなく、出発前の行動を順番にします。
起きる→着替える→かばんを見る→必要な物を思い出す→家を出る
「思い出す」が遅いなら、玄関で確認するカード、前夜に準備する置き場所など、アプリ以外の案も出せます。
第2章 すでにあるものを変える
6.一つ減らす
新しい機能を足す前に、手順、入力、選択肢、待ち時間を一つ減らせないか考えます。
自分への質問
なくても目的を達成できるものは何か。
例
申込フォームの入力項目が12個あるなら、最初に必要なのは5個だけかもしれません。残りは申込後に確認する、選択式にするなどの案が出ます。
減らす対象は機能だけでなく、説明、移動、承認、持ち物にも広げられます。
7.一つ足す
不足している説明、確認、楽しさ、安心材料を一つだけ加えます。
自分への質問
この場面の直前か直後に、一つ加えるなら何か。
例
初めて使う機械の説明書に、長い文章を足すのではなく、「最初に押すボタンを示した写真」を一枚加えます。
足すものが多いほどよいとは限りません。追加する前に、誰のどの迷いを減らすのかを決めます。
8.別のものへ置き換える
人、道具、材料、伝え方、支払い方などを別のものへ置き換えます。
自分への質問
今使っているものを、もっと身近なものへ置き換えられないか。
例
長い操作説明を文章で送っているなら、1分の動画、画面写真3枚、チェックリストへ置き換える案があります。
置き換えるときは、便利さだけでなく、費用、安全性、使えない人が出ないかも確認します。
9.順番を逆にする
いつも最後にしていることを最初へ、最初にしていることを最後へ移します。
自分への質問
今の順番を逆にしたら、何が変わるか。
例
会議で「説明してから意見を聞く」流れを、「最初に疑問を集めてから必要な部分だけ説明する」流れへ変えます。
完全に逆にできなくても、一工程だけ前後させることで新しい案になります。
10.時間をずらす
困っている瞬間だけでなく、その前日、直前、直後にできることを考えます。
自分への質問
問題が起きる前にできること、起きた直後にできることは何か。
例
提出期限当日の確認を増やすのではなく、3日前に未完成部分だけを共有する仕組みにします。
その場で頑張る以外に、「前もって迷いを減らす」という方向が見つかります。
11.場所を変える
同じ内容でも、行う場所や見せる位置を変えます。
自分への質問
これを別の場所で行うとしたら、どこがよいか。
例
忘れ物チェックを机の上でするのではなく、必ず通る玄関へ一覧を置きます。
オンラインと対面、屋内と屋外、入口と出口、自宅と移動中など、場所の対を作ると考えやすくなります。
12.大きさや回数を変える
大きくするだけでなく、小さくする、短くする、回数を増減する方向を試します。
自分への質問
10倍、半分、1回だけ、毎日に変えたらどうなるか。
例
月1回60分の振り返りを、週1回10分へ変える。20ページの案内を、最初に読む1ページと詳しい資料に分ける。
数字を極端に変えてみると、今まで固定していた単位に気づけます。
13.二つを組み合わせる
すでにあるもの同士をつなぎ、新しい使い方を考えます。
自分への質問
この案と一緒に使うと便利になるものは何か。
例
地域の散歩コースと、店で使える小さな特典を組み合わせる。勉強記録と、次に復習する日を決めるカレンダーを組み合わせる。
無関係なものを無理につなぐのではなく、同じ人が同じ場面で使うものから探します。
第3章 発想の範囲を広げる
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