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オホーツク日記 #35 豚丼とばんえい競馬と花火

夏休みが始まった。

女満別空港近くのひまわり畑が見頃になる。

ひまわり畑

せっかくの休みだから遠出したいということで、かねてから行ってみたかった帯広ばんえい競馬に行くことにした。

初めての長距離ドライブにドキドキしながらも、りく、たていし、あつにいを乗せて出発した。

夏休みに入ったばかりということもあり、
道中はずっとにぎやかだった。
気づけば、3時間の道のりはあっという間だった。

帯広といえば豚丼だ。
老舗の豚丼店「ぱんちょう」でお昼ご飯をいただく。

炭火でじっくり焼き上げた極上の豚肉に、甘辛タレが絡む。なんとも食欲がそそられる匂いと見た目でごはんをかきこみたくなる。
シンプルだからこそ美しい。
みんなでおいしいねと言いながら食べる。

食後、次は甘いものが食べたくなり、六花亭の本店に立ち寄る。

おのおのスウィーツを食べたり、お土産を買ったりする。

まだ、ばんえい競馬のレースまでに時間があったため、神社で「今日のレース当たりますように。」とお参りをする。

ばんえい競馬は、巨大な馬が重たいソリを引きながら、障害を乗り越えるレースだ。
その姿はスピードを競うというよりパワーを競っているようだった。

初めて競馬場へ足を踏み入れた。
もちろん馬券を買うのも人生初だ。
なんだかわからないけど凄いワクワクしていた。
ふれあい馬コーナーや出店もあってテーマパークにきたみたいだ。

白髪に白ひげ、新聞を広げて赤ペンを走らせる、いかにもな競馬好きのおじさんばかりだと思っていた。 ところが観光客や若い人もたくさんいた。ウマを擬人化したコンテンツが当時流行っていたからかな。なんでもかんでも擬人化して萌え化させてしまうよな、日本って。

あつにいは馬もギャンブルも好きなため、見方や賭け方などいろいろと教えてもらった。

詳しいことはよくわからないが、パドックを見て、あの馬は脚の筋肉がすごいとか、名前がかっこいいからこの馬に賭けようとか、予想屋を参考にしたりもした。しまいには「偶数番号がいい」なんて、オカルトめいた話まで飛び出した。

レース開始直前になると、間近でみられるコースサイドに人が集まる。合図とともにゲートが開く。勢いよく飛び出した馬たちは、障害の前でぴたりと止まる。一度息を整え、勝負どころで一気に仕掛ける。その駆け引きがばんえい競馬の醍醐味なのだ。

馬が障害を駆け抜けていく様は決して速くはないが、大迫力だ。進むにつれて観客も一緒に動いていく。ゴール付近になると、気づけば僕も「いけー!させー!」と叫んでいた。さっきまで名前すら知らなかった馬なのに、お金を賭けているからか応援に熱が入る。

ばんえい競馬は鼻先がゴールではなく、ソリの最後端がゴールラインを通過した時に決定する。だから最後まで結果がわからない。

賭け方に個性がでるからおもしろい。

りくは手堅く単勝狙い。
僕は満遍なく賭けた。
あつにいは3連単を狙う。
たていしが大穴狙い。

結果はりくがプラス収支で、僕がプラマイ0。
あつにいと、たていしは負けた。順当な結果だ。

あつにいが、あそこで⑤がきていたらとかぶつぶつ言っていた。

豚丼、六花亭、ばんえい競馬。この街には帯広らしさがぎゅっと詰まっていた。
帯広は、何度も訪れたくなる魅力的な街だ。

帯広をあとにして網走へ戻ってくると、大きな爆発音が聞こえた。

その日は、偶然にも花火大会の日だったらしい。

思いがけないサプライズに、車内は一気に盛り上がった。近くまで行って、真下から見上げる花火は大迫力だった。

車内では、『HANABI / Mr.Children 』『若者のすべて / フジファブリック』が流れていた。

窓を開けると、少しだけ火薬の匂いがした。

旅の終わりに、こんな夜が待っているとは思わなかった。

たていしが「めちゃめちゃキレイだな。これで今日の負け分帳消しだな。」と言っていたのを妙に覚えている。

個人的には、花火は、ぱっと咲いて、一瞬で消えてしまうからこそ儚くて美しいと思う 。
二度と同じ形はなく、その輝きはその瞬間だけの景色だ。

それを写真に撮って保存するのは少し趣がない気がする。写真をとることに集中して、目の前で起こっている感動を画面越しでしか楽しめない。

ましてや、それを動画で撮ってSNSにあげるのはもったいないと感じてしまう。昨今の何かあるとすぐスマホを取り出してカメラを回すようになった時代で、少しだけスマホがなかった時代に戻りたいなと思う自分がいたりする。

あの日の花火は写真フォルダには残っていない。でも、あの夜の景色は今でも鮮明に思い出せる。


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