BFC7 ジャッジをジャッジ

駿河ヨンガ
壱とQ
・文体に安定感があり、内容は理路整然とし簡にして要を得ている。また誠実な態度や公正さが表れていて、信頼できそうなジャッジだという印象を受けた。
・特に『朝起きたら優しい花が死んでいた』の、私には読みづらかった後半部分がしっかりと解説されており、当該箇所を再読する手助けになった。
・作品を否定しないというスタンスは一般的な書評などでは歓迎されるかもしれないが、BFCのジャッジ文としては物足りなさを感じた。こと低評価のものは、減点した理由を知りたい。
海黒夜男
・全体を通して熱量や意思があり、特に高得点が付いている『半チャーハン』の「理想(半分こ)を実践することの難しさ」や、『大丈夫ってことにしとるだけ』の「リアリティの徹底」に関してなどは、限られた紙幅のなかで言葉を尽くしているのが印象的だった。
・『冷蔵庫』の評の締め括りで、「なんで主人公の表記が「佐々木さん」なのかイマイチ読み解けなかった(外部としての存在?)のでこの評価とした。」とあるが、減点の理由として、いささか腑に落ちなかった。
God Hates Us All
・冒頭のトラックリストを羅列するような執拗さをもって、個々の作品を論じてくださっていればと惜しく思う。型破りなのは歓迎するが、字数が少なく文芸的な充足感を得にくいので、もっと掘り下げた評を読みたかった。
・文章の飛躍があり、そういった書き方を面白く感じる一方で、やはり言葉足らずによる歯痒さのようなものが残る。
・率直に「かわいい」と書き、婉曲表現しないことに好感を持った。
壱とQ 4点 ☆勝ち
海黒夜男 4点
God Hates Us All 2点
みかちん
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タイトル
暴力・政治・権力
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【前文】
評は暴力であり、政治であり、権力である。
私は意図的に暴力をふるい、政治を行い、権力を使う。
ブンゲイファイトクラブの本旨は「異種格闘技」である。異なる文芸ジャンルが、ジャンル区分を超越した文芸が、しのぎを削り、血を流す様が見たい。
BFC7では「作品のジャンル・内容 不問。俳句(中略)翻訳などなんでも」の募集要項のもと集った約261作品から、西崎憲氏の選出した24作品が本戦へ進出した。実際進出したのは(私のジャンル区分に誤りがなければ)散文が20作品、韻文は俳句1作品、短歌2作品、川柳1作品。都々逸や論文等、募集要項に記載の多数のジャンルは見当たらなかった。
私はブンゲイファイトクラブの「異種格闘技」の目的を達成するため、ファイターとして暴力を振るう。具体的には、散文のジャッジ評は評価対象から除外し、韻文への評の精度が高いジャッジを通過させる。点数については、私の採点の影響を最大化するため、勝ち抜けさせる1名を5点に、その他は全て1点とする。
【壱とQ】1点
なぜその点数を付けたか不明。
例えば2点と3点の差が明示されず、こちらでは評価できない。担当した韻文作品は「あゆみ」。「あゆみ」評の内容は、過去のBFCジャッジと比較して凡庸であった。句を読んだときの感想や読後感がメインで、例えば、韻律の特徴、季語の扱い方の偏り、切れ字を使用しない等の技法や修辞の特徴、表記、他の俳句と比較した新規性や独自性など、もっと踏み込みがほしい。1点。
【海黒夜男】5点
消去法で勝ち抜けとする。
理由は、評内でなぜその点数を付けたか明示しており、評の形式面での問題がなかったためである。
担当した韻文は短歌作品2つと川柳作品1つ。評は、概要、現代の短歌シーンとの比較、一首評の形式で、形式面の問題は特になかった。内容も、他のジャッジより抜きん出ており、問題なかった。しかしさらに踏み込みがほしい。具体的には小説の読み方を流用したような評で、韻文としての韻律の検討がないのは致命的と思える。
決勝戦ではさらに良い評を期待する。5点。
【God Hates Us All】1点
3881字にも及ぶ、作品とほぼ無関係の楽曲名の引用に字数を費やしており、楽曲のどの点がどう通底しているのか明示されず、不誠実。
評の内容は「短詩型は息抜きになる」「箸休め的存在」と、俳句・短歌・川柳を小説の箸休めとして認識しており、今大会の趣旨にそぐわない。1点。
最後にBFC3に出場した際の私の抱負を引用する。
【抱負】
俳句で全員倒します。
私の俳句は、この企画の多様性を確保するために在るわけでも、数多の散文に花を添えるために在るわけでもありません。
お前の息の根を止めるために書きました。
対戦よろしくお願いします。
【運営】1点
今大会でも事務手続きの瑕疵が複数あった。
① 作品の一部の重複掲載
② ジャッジ1名の応募文が運営側の不備で掲載できず、ジャッジ間に差が生まれた。
③ サイト上のスケジュールに誤りがあり、「ジャッジをジャッジ」の〆切が2日短縮された。
④ 前項③について私が促すまで参加者へのメール通達もなく、サイレントで修正された。
過去6回の大会においても、掲載ミスや点数の集計ミス等が複数発生しており、ファイターとして、ファイトクラブとしてのリングの安全性に疑問がある。
また、ジャッジ評で作品についてほぼ無関係の自分語りをするジャッジが、全7回の大会で幾度も登場し、炎上してきた。ジャッジ個人については「ジャッジをジャッジ」で戦えるが、幾度も通過させてきた側の責任も問うべきではないか。ジャッジの負荷が高く、良質な批評家が参戦しなくなった背景には、ジャッジの規定及びジャッジ予選の杜撰さに根本原因があると言わざるを得ない。
「BFCは文芸の未来」とおっしゃるが、不安な場には未来は無い。1点。
シファカ
壱とQ さん
やっぱりジャッジ文発表されたらつい最初に自分のとこ見に行くじゃないですかー、で、1点で、なのに特に突っ込みもなくなんかふわっと褒められたっぽく終わってて、私の中のシファカ(注・マダガスカル産キツネザル)がキーキー鳴いてバナナを投げました。分かります、全然合わなくて何の感想も浮かばない作品てある、でも1点ならせめてなんかひと押し突っ込んでいただきたかった。だってジャッジでもらうパンチこそが本戦出場のご褒美だから・・・忌憚のない指摘や批判ってこんなリングでもなきゃ滅多にもらえないし、そういう外からの突っ込みは新しい視点を得られる稀有な機会だし。なんかくださいウキー!
でも他作品への批評では的確で素晴らしいものが多々ありました!とくに「風の無い日に凧を上げる」、この作品について「主張が直接的すぎる」的な意見をTLで見かけて「そんなことないウキー!」と思っていたのですが、こういう丁寧な読み解きこそが分断を生まない語りかけになるのかも・・・と思って何度も読み返しました。サルも着席です。
海黒夜男さん
ひとつひとつの作品を誠実に読み込んでいく姿勢が好印象でした。とくに短詩への評は読むための助けになりました(「ママ・グランデの葬列」、評を読んだ後に作品を再読しました)。
短詩を得手とするジャッジの方がいらっしゃったのはすごく良かった!と思いました。
自分もとくに好きな作品の多かったBグループ、それぞれの評価は自分とは違うところも多かったけれど、箱推し愛が溢れ出ているところも微笑ましかったです。(でもやっぱり「冷蔵庫」や「Demon」などの採点にはつい異論を唱えたくなってしまう〜)
God Hates Us All さん
冒頭、「通底するグルーヴ&バイブス」の部分、これどうしよう、と思ってハラハラしながら読んだので評が始まった時にはホッとしました。
でも通底とか例え話とかじゃなく、各作品に対するご自身の読み解きをもうちょっと具体的に提示してほしかったなぁという残念さは拭えません。きっともっと鋭い読みがたくさん隠されているのでは。独自のスタイルを持っているのはいいと思うんだけど、それがニヒリズムっぽい短文だと何となく誤魔化しの気配が漂ってしまう気がします。ドアから半身でなんか言われてスルッと逃げられちゃう、的な。
でも24作品全評価してくださってるのでそれは大変な作業だったと思います。そのお仕事に大きな感謝を。
御三方とも、BFCジャッジというこれほど濃い注目の中で作品に向き合って評を書いてくださったことが本当にありがたいです。ジャッジあってのこのリング・・・あらためて心からお礼申し上げます。
壱とQ 3点
海黒夜男 4点(勝ち抜け)
God Hates Us All 2点
遊泳時間
壱とQ 5点 *勝ち抜け
小説を丁寧に読み込み、短く的確に評をまとめ書く姿勢に好感を持った。作品を読んで自分が上手く読み込めなかった箇所や、ぼんやりキーワードだけが頭に浮かんでいた作品も、筆者は精緻に掬って批評しているので、信頼のおけるジャッジだと感じた。
強いて言うのならば、筆者がどう作品を楽しんだのかという熱や、もしくは、何が上手くいっていなくて点数が低いのか、悪口の一つでもいいから、スパイスが振りかけてあると嬉しい。
海黒夜男 4点
批評するにあたり、筆者なりの切り口や観点の提示をしようとする、その意思と体力と内容を高く評価したい。どの評の着眼点も示唆に富み、作品に深みを与えている。批評への熱さも良い。
非常に迷ったのだが、点数の差をつけたポイントは、皮肉にも自作への言及からだ。文字数に限りがあるので難しいとは思うが、作品に対し深く踏み込んで「強い読み」をした後は、最後にすっと一歩引いて、強い読みの握りを弱めて着地をして欲しい……などと偉そうな事を述べてみたが、実際のところは自作を高く評価し、熱のある批評をしてくれたジャッジを勝ちに選ぶのはどうもこそばゆい、という臆病で卑怯な理由からだ。「箱がつぶれて配送されたので☆マイナス1です」Amazonの糞レビューようなことをする自分をどうか許してほしい。
God Hates Us All 0点 *0が無理なら1点で
ふざけた点数のつけ方(本人にとっては真面目だろうが)だが、評は面白い。嫌味っぽく指摘している部分は特に。そして点数の付けかたも意外に悪くない。どの作品に対する評も言葉に棘が見え隠れするが、一定の納得感があるので、ファイターは苦笑してやり過ごすしかないだろう。評の種類も前者二人と合わせると存外にバランスがいいのでは? バランスなんて言葉は、筆者から中指を突き付けられそうだが。
ただジャッジが3人になってしまったのが不運だった。1点差の採点方法は、ジャッジが4人がギリギリの成立ポイントで、5人以上だったら面白く機能したのではないだろうか。
24作品の短評を書いている点に敬意を表して1点とする。危うく、総評のラストを読み飛ばすところだった。
最後に、Tokyo Anal Dynamiteのトラックリスト、酷すぎだろ。減点1とする。
冬村糸吉
どんな物事にも、その場を楽しませてくれる存在が居なければ楽しさは生まれない。例えばお祭りの屋台の人達がお祭りの雰囲気を作ってくれているように、このBFCでもジャッジがいるからこそ白熱した闘いが成立する。よってここにジャッジへ最大の敬意と感謝を表する。
評価方法
ジャッジとは、「判決を下すこと。判断すること。」※である。よってこの観点から、ジャッジはこの作品に判決または判断を下しているのか、決勝のジャッジをこの人に託していいのか、この論点から私はジャッジをジャッジする。また公平なジャッジにするために、このジャッジをジャッジには自分への評価は含めないものとする。 ※コトバンクから引用
壱とQ
何故その点数をつけたのか明確にされていないという印象を持った。評は全て5点をつけているような文章であるが、点数を見てみると評価が明確に記されており、点数と評価の不一致に疑問を感じる。評には共感できるものや、そのような考察があったのかと考えさせられるものもあり、構造と技術を深く理解してはいるが、肝心の判断または判決を下していないように見えたため、4点とする。
海黒夜男
どの作品にもちゃんと何故この評価なのか、どこがこの評価になったのか明確に記載されており、判決または判断を下していると言える。半チャーハンの評価は共感したところが多かった。よって勝ち抜けの5点である。
God Hates Us All
ジャッジとは公平に判断しなければならない、と評価方法でも明記したが、この評価方法にはいくつかバイアスがかかっていると感じた。特に掲載順について書いてあるところがいくつか見られたが、掲載順に有利も不利もない。ましてやファイター達は掲載順を変えられるわけではない。作品を個々として見れないのは不公平であり、決勝の判決または判断を下すには危ういと考える。よって1点。
まとめ
壱とQ 4点
海黒夜男 5点(勝ち抜け)
God Hates Us All 1点
サカモト・ケンサブロウ・ムラカミ
壱とQさん: 2
海黒夜男さん: 3 勝
God Hates Us Allさん: 2
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壱とQさん:
ジンクス・オブ・イワナミの評、ジンクスというか、あの話に“母と娘の唯一にして歪んだ絆”を見出しているところが分からないなあ! と思いました(作中のジンクスは“私”から“母”に対する一方的なそれであり、作中読む限りこの母娘に双方向に合意された絆は存在しないのでは? というのが私の立ち位置です。そこから見たときに評内の“歪んだ絆”の存在を了解し得ない、という意味)(あー合意のない・互いに黙示的・一方向の絆はあるかも、しかしそれは文中には無いよな、とか)。
“母が「これは青かしら。緑かしら」と呟く、この曖昧なジンクスこそが、二人が唯一共有できた言葉であった。”とあるのですが、この書き方ではこの言葉自体がジンクスになってるみたいに見えます。が、作中“母”がこの台詞を言ったのは“緑色のインクで印刷された役所の書類”を本の隙間にねじ込んだタイミング(=母がある閾値を超えたタイミング)の一箇所のみ、であって、この台詞自体は別にジンクスそのものでは無い気がしました(ので、これを“曖昧なジンクス”と表現するのは、そうなの? と私は思った)。
“悲劇的で強固な絆の言葉を、彼女が守り続けることを決意した瞬間なのである。”、呪い・絆(のようなもの)という表現はわかるものの、ここでのそれは(新しい母なる人を本当の母と思っているにも関わらず)“私”という存在と最早不可分・区別・識別不能な性質のそれであり、“決意”して“守り続ける”性質のものなのかな〜、そうは読めんじゃろ〜、と私(俺です!)は思いました!
海黒夜男さん:
読みの視野狭っ、と思いました。そしてそれは私(俺です!)と全く合わない(狭い、と感じるのは私の視野と被りが少なすぎるせいかもしれない)!
が、「書いてあることを読んでいる」のと、評と点の付け方においてのある傾向での一貫性が確立されているところをもって勝ちとしました〜。
あと評をみて、点をつけた理屈が一番分かる感じだったなと思いました。
God Hates Us Allさん:
このひと評いらんのでは(ジャッジ評を求めてなさそう)! と思った! 短評の感覚、わりと自分と近かったのかな〜と思いました。
ただジンクス・オブ・イワナミの短評、そこなんだ、、(この作品におけるイワナミはあくまで装置であって中身は別に主眼にならないのでは〜)という気持ちがありました!
東山ポイ
書き上げられ、発表されたばかりの、いわばまだ湯気を立てているような文学作品を評価することの難しさについては知ってるつもりです。以前、ある雑誌と新聞で、時評というのをやらせていただいたことがあるからです。それでも相手が世評の高い、あるいは評価の定まった作家相手であれば、まだやりやすい。一般的な評価をなぞるにせよ、あえてその逆をいくにせよ、「世間の評価」というガイドラインを手掛かりにすることができるからです。
しかし無名の、自分もよく知らない作家の新しい作品を価値評定するのは本当に難しい。その作家が翌月大きな文学賞をとって一躍時の人になるかもしれないし、それ一作で終わって永遠に忘れ去られるかもしれない。そんなことは考えずに、虚心坦懐に作品と向き合って感じたことを正直に述べれば良いと思われるかもしれません。しかし実際には、我々はいつでもその時々の流行や、話題性や、自分自身の興味や関心に引きずられていて、客観的な判断などはできない。本当に冷静に作品を客観的に見るためには、発表から数年ないし十数年の時間が経ち、その時代の空気から十分な距離を取れるようになってからでしかないというのが私の実感です。その意味で、同時代作品への評価はつねに最後は根拠のないギャンブルのようなものにならざるを得ない。
しかし──ここからが私の言いたいポイントです──評価は主観的なギャンブルめいたものだからこそ、自分なりの「判断基準」が示されなければならない。つまり、特定の作品を良いとかダメだとか述べる具体的な理由を示す必要がある。それがないと、評価は単なる個人の趣味や好みの反映になってしまうからです。それが芸術作品を評価する、つまり批評という行為の倫理だと思います。
今回のジャッジで、明確な判断基準が提示されていると思える人はいませんでした。個々の作品から触発された感想やらイメージやらを書き連ねることが評価だとは思いません。
評価の困難を前提にした上で、特定作品の美点と欠点を、明快な基準のもとに指摘して見せること。これが批評(ジャッジ)という高度な営みです。
壱とQ 2点
海黒夜男 3点 (勝ち)
お二人とも、「鮮烈に提示」「極めて秀逸」といったやや大上段なレトリックが、それは主観的な感想では、という部分と曖昧に癒着してしまっているように思います。まずは自分の感覚(感想)を一度相対化してみたうえで、何が見えてくるか確認する必要があるのではないでしょうか。
God Hates Us All 1点
アルバムの曲名を書き付けるなどは無用なイキリにしか思えませんでした。おのれについてより、作品について語るべきです。
ゆずはら
お三方、評をいただきありがとうございました。私は短歌で参戦しましたので、短詩(俳句、川柳、短歌)をどう読んでいるかと、全体の文体で判断しました。
壱とQ 3点
褒め上手なんですが、やや解説的というか、優等生らしいというか、もっとあなた自身が前に出てきてくれていいのにと思いました。
Aグループにはみかちんさんの『あゆみ』がありますが、一句一句が作品だと思うので、技巧的なことはともかくやはり一句単位での鑑賞がほしかったです。
海黒夜男 5点
勝ちをつけさせてもらいました。
短詩についても、連作としても一首、一句としても味わってくれているのがわかりますし、良い読みだと思います。
God Hates Us All 2点
全作コメントされていて、勢いがあって良いと思います。面白いコメントも多かったです。
短詩では「箸休め」「息抜き」と言葉があり、雰囲気を読み流しているように感じました。もっと苦しんで向き合ってほしいです。
壱とQ 3点
海黒夜男 5点
God Hates Us All 2点
勝ち
海黒夜男
蛇野うろん
「ビギナーズ・クラック」
【採点結果】
・壱とQ 1点
・海黒夜男 5点(勝ち)
・God Hates Us All 4点
【採点方法】
○採点項目
・論理性 2点満点
私が、論理性に不足を感じたら減点(評価の基準、点数の根拠など)。
・独自性 2点満点
私が、強い独自性を感じたら加点(文章、読みの視点など)。
・遵守性 1点満点
ジャッジのルールを守っていなければ減点。ここでジャッジのルールとは、担当グループの作品(12作)すべてに言及した評を書くこと、その上で担当グループのうちの勝ちをひとり決め、さらに24作すべての作品を5点が最高の5段階内で評価すること、とする。
○備考
・Aグループジャッジは全12作、Bグループジャッジは自作以外の11作へのジャッジを対象とする。
・合計点が0点の場合は1点に繰り上げる。
・勝ちは合計点が最も高いジャッジ、複数人が同点で並んだ場合は遵守点が高い方、遵守点も同点の場合は独自点が高い方、全ての点が同じ場合はより多くの決勝進出ファイターを勝ちとした方とする(今回は3名のジャッジがそれぞれ2名、1名、0名の決勝進出ファイターを勝ちとしているため、これが同じになることはない)。
【ジャッジ詳細】
・壱とQ 1点
(論理性 0点、独自性 0点、遵守性 1点)
全作品の良さを柔らかく掬い取る、温かく丁寧な評だと感じました。きっと多くの方が好み、多くの場が必要とする評であり、私自身も読んでいて癒される時間となりました。
ただ、評価の基準を明記していない上、各作品へのコメントもほぼ全てが良い点に触れるものであり、点数の根拠が読み取れなかったため、論理性は0点としました。
文章にも読みの視点にも強い独自性は感じられなかったため、独自性は0点としました。
・海黒夜男 5点(勝ち)
(論理性 2点、独自性 2点、遵守性 1点)
勝ちとした『半チャーハン』の特性をBFCジャッジの構造に照らし合わせ、評全体を上手く調理したジャッジでした。今回のジャッジもジャッジ応募文も各作品を短く評したものでしたが、もっと長い評も読みたいと思いました。
評価の基準を明記してはいないものの、各作品への評において、良い点・そうでない点に触れており、全体を通して概ね一貫性のある評と思われたので、論理性を2点としました。
『遠くのここにいる』の「墓地のなかにせまい長い道があって陽が斜めから、もったいない道」の読み、『ママ・グランデの葬列 川柳一○八句』の全体的な読みには気づかされる部分が多く、独自性を2点としました。合計点が最も高いため、勝ちとさせていただきました。
・God Hates Us All 4点
(論理性 1点、独自性 2点、遵守性 1点)
全24作品を簡潔にずばずば切っていくような印象でした。Bグループのジャッジなので、個人的にはAグループの分を省いてBグループの評を伸ばしてほしかった思いもありますが、奇しくもAグループのジャッジが1名になったので、結果的にはバランス良く収まりましたね。
各作品への評において、良い点・そうでない点に触れてはいるのですが、5段階評価ルールにも関わらず1点もしくは2点しか付けないとした理由が明記されていないため、論理性を1点としました。
『ママ・グランデの葬列 川柳一〇八句』の読みや捉え方が興味深く、他の評も全体的な言葉選びに心地良い驚きがあったので、独自性を2点としました。
【終わりに】
ファイターの作品にも、ジャッジの評にも、ジャッジをジャッジの評にも、きっと唯一の正解はない。それでもそれぞれが何かを感じ、何かを思い、何かを考え、その瞬間の自分なりの答えを導いていく。強いて言うならば、この現象全てをひっくるめて唯一の正解としたくなる、したくなってしまう、ようなこの場にいられることに感謝いたします。皆様、ありがとうございました。
或阿呆一生
【評】
今回はジャッジの人数が少なかったため、お一人おひとりにかかる諸々の負荷は、大変重いものになったのではないかと愚考します。ジャッジの皆様に深く感謝いたします。
その上で、いただいたジャッジに対してどのようにジャッジするべきなのか考えましたが、これまで小説ばかり読んできた人間が、いきなり批評文を読んでそれを適正に評価できる訳もなく、ならばいっそ「小説」として読んで面白かったかどうかという基準で向き合ったら、自分らしい「ジャッジをジャッジ」になるのではないか、と考えました。3点を基準点とし、そこに物語としての面白さという観点から加点もしくは減点をしていきます。多分に個人的で感情的なジャッジになりますが、どうかご容赦ください。
壱とQ
である調の端正な文体は読みやすく、要所要所の体言止めもリズムがあって好きです。
その一方で、自分は納得性と共感性の高い物語が好みなのですが、壱とQ様の採点の基準が自分には不明瞭だったため、その点においては納得感が低かったです。納得できないと共感もしづらく、相対的な評価として点数をつけられた、とのことでしたが、例えば「放課後」はなぜ1点だったのか、「エロ本ハンターミツルギ」はなぜ4点だったのか、それぞれの作品の強みなど述べられているものの、それがどのように加点や減点につながっていくのか、その理由が述べられていたら、より共感性が高かったのではないかと感じました。減点1とします。
他方、最高点の5点は勝ち抜けとされた「ジンクス・オブ・イワナミ」にだけつけられていたのは大変分かりやすく、いいラストシーンでした。加点1とします。
海黒夜男
硬質な評価文と、ところどころに海黒夜男様の心情がコミカルに差し挟まれるそのバランスにより、とてもキャラが立っていて等身大の身近さが感じられ、好意的に読ませていただきました。加点1とします。
なぜその評価(点数)にしたのか、その理由も明示されていて納得性も高く、「大丈夫ってことにしとるだけ」の情景描写に対する評価については、一つひとつ首肯しながら読ませていただきました。
さらに、勝ち抜けとされた「半チャーハン」について述べる中で、ブンゲイファイトクラブのシステムに触れることで、その主題(テーマ)を浮かび上がらせたところに構造美を感じました。一遍いっぺんのジャッジ単独ではなく、全体に通底した哲学が感じられ、最後の採点表まで一気に読まされました。加点1とします。
God Hates Us All
癖の強いのが残りました。God Hates Us All様のジャッジは音楽アルバム二枚のトラックリスト(計165曲)からなる総評と、BFC7本戦出場の全24作品に対する短評の二部構成になっています。ペダンティックでアイロニックな総評の雰囲気は実は好きです。好きなのですが、こういうのは雰囲気で楽しむものと考えていますので、ずばんと読み飛ばしました。総評はあれだけの長さが必要で意味を持つのでしょうし、短評を楽しませるための演出なのだろうとも想像しましたが、真意は分かりませんでした。
もう一点、特徴的な特異点がその採点です。5段階評価にもかかわらず、1点か2点の作品しかなく、勝ち抜けの作品だけが2点なのかといえば、そうでもありません。この突き抜けた手法も実は好きなのですが、やはりジャッジとしては不可解であり、物語としてアンフェアの謗りを免れない、重篤な瑕疵なのではないかと感じました。減点2とします。
【採点】
壱とQ 3点
海黒夜男 5点
God Hates Us All 1点
よって、海黒夜男様を勝ち抜けとします。
麻谷つきひ
まずは、短期間にこれだけの評をご準備くださったことへ、感謝を申し上げます。ジャッジ人数も少ないなかで、多大なご苦労があったと思います。
文学にはそれぞれ好みがあり、人の数だけ読まれ方があり、さらには流動的で、でもだからこそ計り知れない魅力があるのだと、いち文学好きとして思っています。当然のことを言ってしまいましたが、それは評についても同様で、あくまで主観であることを前提としたうえで、以下お読みいただければ幸いです。
【評価基準】
まず、シンプルに文章を楽しめたかどうか。
ひとつの読み物として文章のたしかさと揺らぎ、面白さがあったかどうか。
つぎに、書き手の意図を超えたものが、どれだけ読みこまれているか。
曖昧な余白、余韻について、どれだけ説得力のある解釈がなされているか。
最後に、自身の好きだった作品(読みおえたあと、優勝!とのけぞる作品がいくつもありました)への評価がどうだったか。
●壱とQさん 5点(勝ち抜け)
●海黒夜男さん 5点
●God Hates Us Allさん 4点
以下簡単ですが、所感です。
●壱とQさん
最初は固い言葉に覆われたあまり表情の見えない評だなという印象がありましたが、「エロ本ハンターミツルギ」や、最後の「ジンクス・オブ・イワナミ」においては、過不足のない言葉選び、熱を帯びた評になっていて、なるほどつまりは点差を表現するための温度差だったのかということに思いが至りました。
●海黒夜男さん
とても読みやすく、また温かな視点がどの評にも含まれているように感じました。作品それぞれの評価ポイントと課題をご自身に落とし込み、かみ砕いたうえで言語化している感じがあって好印象でした。「カーテンにくるまった父」の短歌についても的確に評されていて、そうだよねと共鳴しました。苦しい決断になった理由は、好みの作品の全体的な相違でした。
●God Hates Us Allさん
冒頭の鋭利さに一瞬身がまえたのですが、評はどれもシャープさを保ちつつ的を射ているような、射ていないような、不思議な感覚がありました。巧みにあやつった独自の言葉で賛辞と皮肉が乱発されていて、ドライブ感があり、とても面白かったです。ただ、点差が見えにくいことと、決勝ジャッジとして緊張感がありすぎることから、この判断になりました。
最後に、運営各位、お読みくださった方々、感想をくださった方々、熱いファイターの皆様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。最高にぜいたくな時間でした。ありがとうございました。決勝戦、楽しみです。
唐茄子かぼちゃ
ジャッジをジャッジする。初めての行為である。さて、どうしたものか。
しかも決勝ファイターにもなってしまった。さて。
X(旧Twitter)にて参加者された皆さんの感想などを眺める。ブンゲイファイトクラブなるところは、「やや個性的すぎる奇抜な小説が活躍できる場」や「川柳や短歌、俳句が短編小説と対等に殴り合える場」といった期待感が参加者から強いように思う。
にも関わらず、いかにも短編小説然とした「ザ・短編小説」が三作品、決勝に残った。目には見えぬ落胆がスマホ画面越しに伝わってきて、勝手ながら申し訳なくなってしまった。
ただ、おそらくジャッジがあとお二人くらいいたら、私は高得点ながら「勝ち抜け票」を集められずに敗退していたであろう。
運が良かった。さすがはペンネームの姓名診断結果が大大吉だっただけある。ありがとう。唐茄子かぼちゃ。
話を戻そう。ジャッジのジャッジだ。これ以上ない身に余る賛辞を拙作にいただけた壱とQさんに5点・勝ち抜けです! と簡単に決めてしまってもいいが、ちゃんと考えよう。
順番を変えて最初に、God Hates Us Allさん。全作品1点と2点しかない。お名前といいロックすぎる。しかも決勝に残った三作品は、すべて1点。決勝でも「全部1点・勝ち抜け該当なし」で引き分けというBFCの歴史に残る大事故も見てみたい気もするが、さすがに主催が不憫だ。
というわけで、壱とQさんと海黒夜男さんの一騎打ちである。お二方とも決勝に残った作品に4点もしくは5点をつけられている。どちらの方でも決勝で盛り上がるジャッジをしてくれそうだ。
壱とQさんの選評はすべて「褒め」で書かれている。ただ、それとは別にかなり厳格な採点基準もお持ちだ。おそらく「可読性・構成・発想力・描写力」などご自身の好みだけで採点しないように自制されているように感じた。また、文芸の中では特に「小説然とした小説」がお好きなのだとも思う。
それに対し、海黒夜男さんは選評から「やや個性的すぎる奇抜な小説」や「川柳・短歌・俳句」といった作品にも造詣の深さが伺える。何よりも膨大なインプット量から研ぎ澄まされたご自身の「感性」を重要視してらっしゃるのだろう。
決勝に「ザ・短編小説」以外が残っていたならば、海黒夜男さんの方が適任であろう。しかし、もう今回のBFC決勝は短編小説書きで殴り合うことが決まってしまったので、壱とQさんが一番の適任であるといえる。
よって、壱とQさんを勝ち抜けとする。
壱とQ 5点
海黒夜男 3点
God Hates Us All 1点
砂山砂男
そもそも、ブンゲイファイトクラブにおける「ジャッジ」とは何なのでしょうか。本企画は、明確に勝敗がつくことを前提としています。ということは、ジャッジとは文芸の勝ち負けを定義する役割を担うということですよね。
すごくないですか? その判断を目撃できると思うだけで、私はぞくぞくします。
ブンゲイファイトクラブの華は、まさにジャッジです!
今回のジャッジ、「放課後」の票に関して、壱とQさんと海黒夜男さんで割れたのが見所のひとつだったのではないでしょうか? そこから浮かびあがるそれぞれの採点基準が(勝手に想像しているだけですが)とても興味深かったです。
※わたしは今回「放課後」が一番笑いました
ジャッジを引き受けてくださった方は控え目にいってマジ神だと思います。心より感謝申し上げます。
壱とQさん 5点(勝ち)
とても強いジャッジだと感じました。評がとにかく直球です。150キロ以上出ていると思います。それゆえ愛も感じます。さらに採点基準がブレていません。原稿用紙6枚のなかでの、物語の強さ、完成度、技術といった普遍的な基準で採点しているように思えました。
また、たとえば「朝起きたら優しい花が死んでいた」の評で「二つの視点を冷徹に突きつける」と表現したり、「ジンクス・オブ・イワナミ」の評で「母と娘の唯一にして歪んだ絆の印として描いた」という部分など、どの評にも「壱とQさんの物語の捉え方」が描かれていて、そこが良かったです。わたしはその評をきっかけに「二つの視点を描いたのはむしろ優しさなんじゃないか」とか「これは絆ではないんじゃないか」とかいろいろ考えてしまいました。優れた批評というのはそれをきっかけに議論が起こるようなものだと思うのです。そんなふうに物語の捉え方について最も考えさせられたのが壱とQさんの評だったので、最高点を入れさせていただきました。
海黒夜男さん 4点
とても誠実なジャッジだと思いました。軽やかとも思いました。海黒夜男さんが町にやってきたら、春が訪れそうな気がしました。そして「壱とQさん」との違いは「着想の面白さ」の加点が大きいところかなと感じました。「予定調和」「既視感」などの言葉が多かったのもその現れだと思います。そしてそれを素直に表現されているところが良かったです。
また端的に作品の魅力を捉えて伝えているところも素晴らしいと思いました。どの評を読んでも、作品そのものをもう一度読み直したいと思わせる評になっていると思います。
ただ、あえて予定調和な(奇をてらわない)ラストを選択することで物語の意味を深めていた作品もあるような気はして、そこだけ引っかかったんですよね……。なぜ予定調和だとダメなのかの説明があるとうれしかったです。その部分で壱とQさんと差をつけさせていただきました。すいません……
※自作については異論はないです。「既視感のある感覚が多い」もその通りだと思います。ありがとうございました!
God Hates Us Allさん 3点
とてもロックなジャッジだと思いました。ただトラックリストをネタにする場合、下ネタに頼りすぎないほうが好みなので、その分だけ減点させていただきました。すいません……。でも収録曲の数が英訳だと「90曲」で日本語訳だと「75曲」に変わっているところや「Disgrace To The Corpse Of Sid」→ロックンロールなどは爆笑しました。
ジャッジは明確に基準が設けられていて、わかりやすかったと思います。御三方のなかで最も個人的な感覚に則って忠実にジャッジされていたように感じました。評はとてもおもしろかったです。
ただトリッキーな出だしだったので、評の中身にも何か仕掛けがあっても面白かったかもしれません
壱とQさん 5点
海黒夜男さん 4点
God Hates Us Allさん 3点
坂本 七美
(講評)
まずはジャッジの方々お疲れ様でした。
一つ一つの作品を熟読し、分析し講評するのは大変なことだったと思います。実際、この講評を書く上でジャッジの方々の書かれた内容と照らし合わせつつ、全ての作品について再読させていただいて、多くのことに気づかせてもらいました。
自作についても自分で意識していなかった点に触れられていて面白かったですし、自分の浅さというものも痛感しました。
評価基準については以下の通りです
1,作品についての読みが具体的、公平になされているか。
2.採点について具体的な理由が書かれているか。
3.講評を読むことによって作品に対して新たな発見をすることができ、独自の切り口があるか。
偏った評価基準だと思いますが、一読者として作品に向き合うときに講評を作品へのガイドとすることがあり、そのガイドが適切であるか、公平であるか、そして新たな発見へと読者を導いてくれるのかという点が重要だと考えるからです。とはいえ評価という分野については初心者なので、間違った解釈もあるかもしれません。大目に見てもらえると幸いです。
(壱とQ)
作品に対しての分析が丁寧で、わかりやすく述べられていて、「ここはこうだよね、ここはこうなんだよ」と優しく教えてくれる先生という印象でした。作品の美点を掬い取って、より素晴らしく案内してくれるガイドのようで、作品への愛情すら感じました。
作品の読みは具体的でわかりやすいのですが、作品の減点要素についてはあまり触れられておらず(それはきづかいからかもしれないのですが、)その点も書かれていると評価の輪郭がよりはっきりするのかもしれないと思いました。
自分が一読では通り過ぎていたことに対して、「ああ、そう読めるのか」という新たな発見があり、特に「ジンクス オブ イワナミ」については母娘の愛情についての機微について詳しく書かれていて、再読した時に、「愛情を表立って出せない苦しさ」という最初に読んだ時にはわからなかった部分に触れ、作品の世界をより深く理解できたように思います。
(海黒夜男)
全体的に読みやすくまとまっていて、指摘が的確な印象を受けました。作品一つ一つの美点と難点をわかりやすく公平にこちらに示してくれていて、振り返って再度作品に触れたときにも、納得させられる部分が多々ありました。雑に言いすぎかもしれませんが、信頼できるブックガイドのような感じで安心して読み進めることができました。
特に「半チャーハン」については、その着目点のユニークさとサラリーマン川柳のような悲哀の方に最初は目が向いてしまっていましたが、講評を読むことで、「半チャーハンを分け合うように生きれないものか」という問いかけが全体にちりばめられていることに気付いて、作品に奥行きが増して新たな読後感を得ました。
(God Hates Us All)
まずは読み物として面白かったです。正直理解しづらい部分もありましたが、研ぎ澄まされた独自の感性というものを講評全体から感じて、講評を一つの作品として提示しているような印象がありました。
一つ一つの講評は短いものでしたが、切れ味がよくてわかりやすく、自分の感覚に触れるか触れないかを正直に伝えている印象を受けました。その言葉一つ一つから様々な知識に精通していて、その中でもできるだけ自分の感じ方に一番近いものを提示しようとしている姿勢は非常に誠実に思えました。
ただ採点に関しての具体的な理由があまり書かれておらず、作品一つ一つの差というものがあまり伝わってこなかったのが残念でした。もしかしたらあえてそういう距離感をとって評価しているということなのかもしれませんが。
自作について評価してもらったことはただ感謝です。自分では全く意図していなかった感想も頂けて、今までにない視点で見ることができました。それぞれの作品に対して、違った方向から知識をぶつけてみる、そういう読みができる方なんだなと思いました。自分もやってみたいと思います。
(まとめ)
壱とQ 4
海黒夜男 5(★勝ち抜け)
God Hates Us All 3
てんで見当違いなことを言っているかもしれませんが、できるだけ正直にジャッジの方々の講評について自分の評価をお伝えしたつもりです。とにかく皆さんの作品を読ませて頂いて、あまり喜べない自分らしさというものを痛感しているというのが今の率直な思いです。加えてこういう機会を設けていただき、様々なご苦労もなさっただろう西崎さんに感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。ありがとうございました。いろんな意味で目を覚まさせていただきました。正直に言いますと「暗闘」の意味が皆さんの呟きでちょっと前にようやくわかりました。いろいろと失礼いたしました。どこかでまた名前を見る機会がありましたら、その時は優しい目で見てもらえればと思います。
夏川恋
壱とQ 4点
極めて精緻で理想的な読解です。作品の主題や背景を丁寧に読み解き論理的に言語化しています。書き手にとって最も有益な批評であることは間違いありません。しかし、混沌としたこのイベントの中ではその正しさが物足りなく感じられます。
海黒夜男 3点
批評を読み物として成立させようとする知的な構成力を感じます。ただ、その評価軸はあくまで技術や構造の分析に留まっており、論理で説明可能な範囲を出ていません。
God Hates Us All 5点(勝ち)
冒頭の膨大な曲名のリストは、このイベントの構造そのものを批評しています。その後の短評は突き放したものであり、採点基準も極めて恣意的です。通常の公募新人賞であれば、こうした批評は即座に排除されるでしょう。しかし、整えられたシステムの中では決して遭遇し得ない理不尽さがここにあります。我々書き手が、予定調和な称賛や論理的な分析よりもこうした理解不能な暴力に打たれることを密かに期待していたのだとしたら、この批評こそが最もその被虐的な欲望を満たしてくれるでしょう。この祝祭的な場において、理不尽であることは欠点ではなく稀有な才能です。
総評
三者の批評を比較した際、このイベントの特異性を最も体現していたのはGod Hates Us All氏です。壱とQ氏は誠実に作品を読み、海黒夜男氏は知的に分析しました。対してGod Hates Us All氏は、何かを無視しました。既存の文壇や新人賞という制度の外側でこのような場を設けた目的は、適切な評価を得るためだけではないはずです。予期せぬ衝撃や、理解を超えたものに遭遇するためでもあったはずです。その意味において、最も避けるべきであり、それゆえにこの場に最もふさわしいのは彼であると判断します。
朝課外
BFC7ジャッジのジャッジ
〈評価基準〉
1.リフアト・アルアライールの詩"If I Must Die"(「もし私が死ななければならないのなら」)を参照しているか。
2.拙作における「FREE GAZA」「FREE PALESTINE」「誰も殺すな!」を主人公の意見表明の描写だと受け取ってはいないか(ここは、あくまで木の下に並べたプラカードを描写しているだけであって、主人公の思想や心情として描写されていないところがポイント)。
3.「1」を踏まえた上で「まるで自分が空を飛んでいるみたいだった」から、続く行の「――凧は自由だった」までに提示されているイメージと、「――プラカードが見えた。」のあとに提示されるイメージについての言及があるかどうか。
拙作の評に関しては上記の3点を重要視したが、評を書いてくださったお二人のいずれも言及がなかった。
そのため、以下の点に着目してジャッジを下した。
・関連作品を参照したか
・誤読をしていないか
・隠れた意味を引き出せているか
・作品の価値づけがなされているか
・作品の長所と短所を、具体的な根拠を明示しながら取り上げる批判的な分析ができているか
なお、この評価基準は『批評の教室――チョウのように読み、ハチのように書く――』(北村紗衣著、ちくま新書)を参考にした。
〈個別評〉
勝ち抜いたジャッジには5点をつけ、その他は1点とした。
壱とQ 1点
全ての作品と作者への敬意を欠かさずに、好意的に評価しようとする姿勢は大変有難かった。対象作品を丁寧に読み解き、作品の隠れた意味や魅力を引き出す手腕は、断定的に感じられるところはあったが、見事だった。ただ、その一方で対象作品の問題点を取り上げる部分も増やしたほうが、評を読むものにとっては対象作品の見え方がより鮮明になり、また評の説得力も増すのではないかと思いました。
海黒夜男 1点
精緻な分析を徹底している点は評価に値する。しかし、作品内からの引用が多すぎて、鍵括弧が多用される文面が読みづらかった。今大会のような既定枚数が短い場合は、読解した内容をまとめて簡潔に表現しつつ、一番大事なところで作品からの引用をするといった程度に収めることができれば、さらによい評になるのではないかと思いました。
God Hates Us All 5点(★勝ち)
拙作が「真っ直ぐでかわいい」という評。かわいいという点については肯く他ないが、前述のように『風の無い日に――』は真っ直ぐと見せかけて実はそうではないという引っかけ問題のようなスタイルをとっているため、氏は作品の軌道というか、大事な点を見落としている(例:プラカードの文字の描写)。「夢追い人が~」の下りについては、ユーモラスではあるが、惜しいことにニヤつきが感じられてしまうので、ここはできれば真顔を貫いてもらいたかった。また他の作品に対する氏の評を読んだところ、作品全体の印象を掴んで分類するのは上手いが、所々に細かい見落としがあり、しばしば作品の要所を掴めていないケースがあるように見受けられた(そのため的確な価値づけがなされていない作品があるのではないか)。しかしながら、『ママ・グランデの葬列――川柳一〇八句』の評がバッチリだったため、勝ちとします!
〈採点〉
壱とQ 1点
海黒夜男 1点
God Hates Us All 5点(★勝ち)
竹内ツヴァイ
壱とQ 2点
海黒夜男 3点 勝ち抜け
God Hates Us All 1点
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こんにちは! 「エロ本ハンターミツルギ」を書いた竹内ツヴァイと申します!
今回、この筆名では初めてジャッジをジャッジするということで、イロイロ考えたんですけども、基本的な私の考え方を示しておきますね。
!どんな読み方をしても良い! 以上!
なので、特にジャッジの方々に、自作をどう読んで欲しいとか、他のファイターの方の作品をどう読んだのかとか、あんまり興味がないんです。すみません、ジャッジの全否定みたいで。
ただブンゲイファイトクラブのルール上、ジャッジの方々は作品に優劣を付けなければならないし、こちらもその判定にモノ申すことになるわけですけれども、どうにも乗り切れないので、私は自作の解説をしていきますね!
なんでそうなる? ってのはですね、私は自作「エロ本ハンターミツルギ」の作者でして、それはつまり「エロ本ハンターミツルギ」の一番最初の読者だからですよ。なんせ書く前の構想段階から、初稿を上げて、推敲して、完成させるまで、全てを「読んで」いる、おそらくこの世で最高の「エロ本ハンターミツルギ」読者なのです。このアドバンテージはそう他人には譲れない。ので、私の解説は、最も詳細な「エロ本ハンターミツルギ」への批評になるでしょう。むしろ私にとっては、ジャッジの方々が、どのように作品を読んだかの比較対象としては、これしか判定基準がない、ってことなんですよ。まぁ詭弁ですけど!
そんなこんなで、ただ語りたいだけですけど、それでは解説しちゃいますね勝手に!
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「エロ本ハンターミツルギ」解説
・着想としては、エロ本を拾い集めている小学生を主人公にする、という性的なモチーフをユーモアでくるむ系の話を考えた。
・タイトルは軽薄で、強烈なインパクトが欲しかったので「エロ本ハンター」とし、1973年放送の特撮テレビ番組「魔人ハンターミツルギ」から拝借した。アラフィフ以上しか通じない参照なのは承知の上なのでパロディの意図はない。
・エロ本をモチーフとしながら、エロティシズムを描くつもりは最初からなかった。むしろ、性的な対象に戸惑う少年を描くことに興味があった。
・早い段階で、ホモソーシャルに染まりつつある小学校高学年の男子生徒のコミュニティに、違和感を覚えつつも迎合して、アイデンティティを保持しようとする少年たち、を描くことに決める。
・エロ本をモチーフにするため必然的に時代背景は過去になる。雑誌媒体が隆盛を極めていたギリギリの時期として90年代後半を想定している。
・ちなみに著者は、90年代後半には大学院生・社会人だった。またエロ本を拾い集めた経験もない。完全に創作である。
・単なるノスタルジックな空気感を描くだけではなく、男性社会の萌芽とそれに対する客観性を持つことでアクチュアルなテーマを内包できると考えた。
・ミツルギを女性的な美少年にすることで、男性社会では浮いた存在であること、また彼自身も疎外感を覚えており、コミュニティへの帰属に焦りを感じていることを匂わせた。
・語り手である「ボク」に性的マイノリティの属性を持たせることで、ミツルギよりもさらにコミュニティに対する客観性と違和感を持たせ、また自身の心境を隠している居心地の悪さを表現した。
・語り手の関西弁による一人称視点は、テーマ性による重みを過剰にしないためと、エロ本を探して拾う状況が都会にそぐわないので地方の郊外を強調する効果を期待して採用した。ちなみに筆者の郷里は和歌山で、関西圏内であっても若干そちらに寄せている。
・語り手が埼玉から転校してきて、関西弁に馴染み切っていない設定は、ミツルギと同じようにコミュニティ内では部外者扱いされてしまう共通性を持たせ、一緒に行動する動機付けにするため。また文章表現では関西弁のニュアンスは伝わり難いので、あえて分かりやすい既存の「関西弁」を使用する箇所のエクスキューズも含まれる。
・埼玉県出身の理由は筆者の勝手なイメージによる。転勤族の家庭が多そう。
・語り手は少女漫画を読んでいる。おそらく年上の(高校生以上の)従姉であるシズエが愛読している雑誌(「花とゆめ」や「LaLa」辺り)で、小学生が読むには背伸びした内容。語り手の大人びた観察眼の源泉。
・語り手の一人称は「ボク」であり、男性社会においては柔弱な立ち位置であることを強調。ちなみに関西圏では「オレ」の他に「ワシ」「ワイ」などを子供が普通に使う。
・「彼」ではなく「カレ」という表記は「カレカノ」から取った。
・90年代後半に販売していたエロ本のタイトルを調べた(インターネットで)。筆者の実生活では全く馴染みがないが「デラべっぴん」は大学時代の空手部の友人が実家に帰る前にくれた(何故?)。
・エロ本のタイトルに「ザ」が頻発するのに気付いて取り入れることを決める。単純に笑えるのと、定冠詞の男性的権威主義の匂いを揶揄できることが作品のテーマと合致する。
・同時に「倶楽部」の多さにも気付く。こちらは男性の幼児性やコミュニティ強化の象徴として使えると考えて、学校クラス内の具体例として採用した。
・90年代後半のエロ漫画雑誌といえば「快楽天」や「コミックメガストア」などの方が勢いがあったし、村田蓮爾の表紙が~とかホットミルクに大暮維人が~とか解像度高めのネタも考えたがテーマにそぐわないので省いた。
・ミツルギたちが最初に見つけるエロ本のタイトルが「アップル通信」なのは、インターネット等の「通信」媒体との対称のため。90年代後半には既にインターネットは普及していたが、使っているのは大学生以上の成人ばかりで、小学生が気軽に扱えるモノではなかった。
・UMAのスカイフィッシュが流行ったのは1995年以降。
・アホのマルキは、もちろん、侯爵である。
・ミツルギたちに性的な興味がないわけではないが、むしろ男性社会への帰属意識の方が強いため、エロ本収集に内容は伴っていない。ミツルギお気に入りの「おとこの遊艶地」は、その軽薄で幼稚なセンスの雑誌タイトルがあまりにテーマ性と合致していたため採用した。
・語り手が、橋の上から河原のミツルギを見つけるシーンは、橋の上という道程の中途半端さ、中空に浮かんだ場所に立たせることで語り手の立ち位置と不安定さを印象付け、またそのような場所だからこそ、河原にいるミツルギを俯瞰的・客観的に捉えることができることを示唆した。
・語り手による嘆息は、ミツルギに対する幻滅というよりは、むしろミツルギの焦りや男性社会への帰属意識を充分に理解しながら、それでもミツルギに惹かれて共にいることを自ら選んでいることを表している。
・夕日の光を受けてふたりの影が伸びていく描写は、これからの彼らの成長を暗示している。彼らが今後、より男性社会に溶け込んでいくのか、その虚栄に気付いて距離を置くのかは定かではない。
・男性社会へのカウンターとして女性のキャラクターを登場させることも考慮したが、男同士による閉鎖的な関係性だけで表現した方がテーマに添うと考えた。
・こうした内容を、かなり分かりやすい表現によって描いたつもりであったが、実際のところは、想定以上に「エロいノスタルジーを語っているだけの作品」のような印象も持たれたような気がする。かなり分かりやすく書きすぎたので、そこを批判されるかと思っていたのだが。
・失敗したと思ったのは、「でもエロ本ハンターをやめなんだのは、エロ本の数がナニかの証明になってたからかもしれん。ナニがナニかはわからんけども」の一文で、話を纏めるためだけのぼんやりした文章を書いてしまった。
・いつの間にかテーマを重視しすぎて、小説としてのメタな仕掛けやアポリアの生成を怠ったこと。良く出来た「物語」ではあっても、それが「分かりやすい」と、ただそこで完結するだけの作品になってしまう。それが今回の敗因である。
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はい! 以上、「エロ本ハンターミツルギ」の解説でした!
これを踏まえて、私がジャッジに期待したのは、自分の想定を超える批評を繰り広げてくれることだったのですが、残念ながら各人、想定内のことしか述べられておらず、そのレベルに応じて点数をつけさせてもらいました。海黒夜男さんはミツルギ評を書かれていないし、壱とQさんと同点をいただいていたので、比較対象は、今回私の最推しの「ママ・グランデの葬列」への加点の多い方を選びました。
というわけで、海黒夜男さんの勝ち抜けです!
ジャッジの皆さま、お疲れさまでした! 勝ち抜けた方は決勝、頑張ってください!
竹内ツヴァイでした!
見晴台
壱とQ様 3点
海黒夜男様 4点勝ち
God Hates Us All様 1点
決勝ジャッジには海黒夜男様を選びます。
以下、個別の評です。
【壱とQ 様】
敬意と確かな情熱を感じる評でした。内容はどれも頷けるもので、特に反感を抱きません。各作品が忠実に分析されて明確に言語化されているなという印象。
一方で、独自の視点に対する新鮮な驚きも特にありませんでした。唯一『朝起きたら優しい花が死んでいた』について私の知らない知識に基づいた考察がなされていました。
ただこれは、私が選評から新しい知見を得たいと望むばかりにハードルを上げすぎているせいなのかもしれません。
拙作の『温泉蛇』について、私が本当に薄くぼんやり考えていた、今のところ誰にも言及されていない背景が見透かされていて、すごいと思いました。良いジャッジだなと。
【海黒夜男 様】
長所も短所も書かれていて好感。Bグループを担当されていましたが、自作の選評も書いてほしいと思いました。一般的な感想からもう一歩踏み込んだことが書かれていて面白かったです。驚きがありました。
『苗を育てていた頃のこと』は気になる作品でしたが私にはいまいち読み解けなかったところ、こちらの選評を読んで少し理解が深まりました。もう一度読み返したいです。
誰にも五点をつけていないのは、私個人の感性が今回のジャッジの方とはややずれているからですね。自分がいいなと思った作品の点が軒並み低く、文芸(純文学?)はやはり自分には手強いなと感じました。
個人的には感情を書かずに情景描写で語るような作品が好きでして、そういうところが今回はややずれていたのかなあと思いました。まあ書いてないのに察せよというのは書き手の傲慢かもしれませんが。
とはいえ、こういうのは人によって評価が分かれるから面白いと分かってます。この方の決勝ジャッジが読みたいと思いました。
【God Hates Us All 様】
すみません。本当におこがましいのですが、分析が浅く感じちゃいました。もう少しいろいろ深く書いてあるんじゃないかな? と思ってしまいました。
かと思うと、主に小説の技巧について? 鋭く分析していることもあり、良くも悪くもジャッジの好みが前面に押し出された選評なのでしょうか。AB両グループの選評を書いていただいたのは有り難いです。
以上、ジャッジのジャッジでした。全てのジャッジに敬意を表します。
いいかんじ
◯壱とQ氏:1点
非常に丁寧に作品の特徴や優れている点、構造などを解説されている印象でした。しっかり読んで頂いているのだろうなと思いつつ、ただなんと言いますか、全体的に本の巻末なんかにありそうな「褒めてる解説」という雰囲気であって、ジャッジとしては点差を付けた根拠などが弱いというか、読み取れませんでした。たとえばで恐縮ですが僕の作品でいえば結構褒めてくれてる感じでしたが1点とされた理由がどこかわからず、不服とかではなく1点にする人も全然いるジャンルなんですがそう思えないぐらい普通にただただ褒め解説してくれてるので、そうなってくると何か、点数は単に好みを反映させたのかな?と。いや、好みでも当然全然いいんですが、であればこのへんが好みでこのへんがあんまりだったなどなど点差の根拠もなんとなくでも書いて頂ければよりよかったのではないかなあ(ジャッジされ側の気持ちが)ということで、1点とさせて頂きました。
◯海黒夜男氏:5点
こちらも壱とQ氏同様、作品の特徴や優れていると感じられた点などを丁寧に書かれている印象でした。が、海黒夜男氏はそれに加えて惜しいと思った点、評価を下げた点などを書かれており、そう思ったのなら低い点を付けている理由もわかるなあと納得感がありました。また、特に個人的に感じたのは僕の作品と同じ方向性?といいますかベクトルのいわゆるアンリアル系作品に対して、惜しかった点などを挙げて辛めの点数を付けていながら、Aグループの勝ち抜けでは僕の作品を選ばれている点に驚きまして、単に自分の好みの作品のタイプで点や勝ち抜けを付けられているわけではないのだろうな、と感じました。Bで勝ち抜けを付けられている「半チャーハン」はリアル系の作品ですし、幅が広そうな印象です。ということで、ジャッジとして公平感もありかつ納得感もあるのではと感じ、5点とさせて頂きます。よければ僕の作品を勝ち抜けにした理由やご感想、教えてください。
◯God Hates Us All氏:3点 ★勝ち抜け
トラックリストはそれはそれとして(それはそれとしてとか言っちゃいますが)各作に書かれている短評は短いながらも作品の特徴や作品を読んで感じられたこと、惜しく感じた点などを手堅くまとめられている印象でした。1点or2点だけで付けるという方法は潔いなあと思いつついっそ1点or5点にしてしまえば潔さ際立ちM-1の昔の松本人志みたいで賛否両論だったかも知れません。5点付けるほどでなく良くて2点レベルだもんと感じられたのであれば2点頂いた身としてはもっと頑張りますという気持ちでございます。ということで、結局のところ評自体は大きな可もなく不可もなく適度に的確で適切と感じましたので、3点とさせて頂きます。
★勝ち抜け:God Hates Us All氏
God Hates Us All氏が勝ち抜けや2点を付けられた作品がまったく決勝に行っていない状況なので、むしろここはGod Hates Us All氏にやって頂くのが最もフラットかつ面白いのでは?と思いつきまして、God Hates Us All氏を決勝ジャッジに推させて頂きます。
大林小石
壱とQ
全体的にとても丁寧な評で好印象だった。個々の作品をよく読み解こうという意識が随所に現れているように思えた。特に「風の無い日に凧を上げる」と「ジンクス・オブ・イワナミ」の評は、作品に込められた意図や仕掛けを丹念にほどいていて読ませられた。
しかしながら、どの評も良かった点に終始しており、ジャッジとしての鋭さに欠ける。言うなれば、ただの読書感想文だ。また、ジャッジのなかで最も各作品の点数に差をつけたにも関わらず、その点差の理由についてはまったく言及されていないことが、最大の減点理由となった。評の丁寧さを加点して、3点。
海黒夜男
ジャッジには主に、己の読みの補強や、別の視点の示唆など、作品に対するアプローチの幅を広げてくれることを期待したが、この評は概ねその期待に応えてくれたように思う。特に「苗を育てていた頃のこと」と「半チャーハン」の評は、自分が読み取りきれなかった部分に新たな読みを加えてくれ、初読の時よりも作品との距離がぐんと縮まった感があった。
短詩作品に対する評にやや物足りなさがあったが、個人的に「ビギナーズ・クラック」の評が好きというのを加点して、4点。
God Hates Us All
冒頭の総評が何を伝えたかったのか理解が及ばなかったが、謎のパッションは感じた。しかし期待をしながら読んだ短評はどれも凡庸で、拍子抜けだった。特に短詩作品に対する「息抜き」「箸休め」といった一括りの雑な評や、複数の作品に対する「真っ直ぐな小説でかわいい」という言葉は評を読むなかでかなりノイズとなった。また、評価を1と2しかつけないことの理由や美学が一切表明されない点が最大の減点理由となった。全作への短評を加点して、2点。
壱とQ 3点
海黒夜男 4点 ☆勝ち
God Hates Us All 2点
案芯
God Hates Us All氏を勝ちジャッジとします。
採点
壱とQ 1点
海黒夜男 1点
God Hates Us All 5点(勝ち)
読み書き能力の神聖化を健常者優位主義(マチズモ)と看破した市川沙央「ハンチバック」。
根底には言語能力を中心に据えた人間観、言葉信仰への懐疑があります。
この世界には、言葉を使う(話す、読む、書く)能力を(ほとんど)持たないために社会から疎外、排除されている人々がいます。
〈ジャッジをジャッジ〉をおこなうにあたり、作者の読み書き能力をことさら賞賛する評には大きな減点をしました。
そのうえで、最も豊かな読みをしている、と私が受け取ったジャッジを勝ちとしました。本題に入りましょう。
壱とQ 1点
評を全て読みましたが、特筆すべき記述はありませんでした。
海黒夜男 1点
評を全て読みましたが、特筆すべき記述はありませんでした。
God Hates Us All 5点(勝ち)
「朝起きたら優しい花が死んでいた」案芯 〈マルチバース的構造〉と表していますが、作品の本質を突いています。壱とQ氏は、読みの1パターンを開示していますが、作品の多義性については触れていませんでした。
「ジンクス・オブ・イワナミ」唐茄子かぼちゃ 〈本好きには堪らないことが書いてあるのかもしれないが本が好きでない人が読んだらどうなるか。〉という一文で立ち止まり、読みの多様性について想いを巡らせることができました。
God Hates Us All氏の連想的に繰り出される評の言葉は、冒頭の冗長なコマーシャル的記述を含め、言い知れぬ未知の感覚を持ちました。怖いもの見たさ、という表現が適切とは思いませんが、誘引力があり、続きを読みたくなりました。
God Hates Us All氏の評価は1点でしたが、勝ちジャッジとして決勝へ上がって頂きたいと思ったため、加点し5点としました。
以上
こくり
評価方法は鑑賞的視点と評価的視点を5段階評価し、その平均点で決めました。
壱とQ
鑑賞的視点 5
評価的視点 2
作品を読み込み咀嚼して敬意を持って鑑賞されている点を高評価しました。一方で評価基準は勝ち抜け作品で触れたのみで、点数がバラけているにも関わらず、どういう基準で順位をつけたのか書かれおらず残念でした。勝ち抜けの評価から構成の工夫を重視したと思われ、鑑賞からその一旦を読み解こうと試みたところ、構成を読み解けなかった作品もあるように感じました。書いていないだけかもしれませんが。いずれにしろ作品評価がない点を減点としました。ただ繰り返しますが敬意を表した文体には感銘しました。ファイターとして気持ちよく読ませて頂きました。
海黒夜男
鑑賞的視点 5
評価的視点 5
作品の理解とご自身の鑑賞をピンポイントに分かりやすく書かれている点を高評価しました。加えて評価基準は明確に提示はされていないものの、評価を臆することなく書かれており、その点も高く評価しました。短詩の評価についても、短詩は俳句、短歌、川柳それぞれを読み解くだけでも難しいですが、ジャッジ自身の視点で鑑賞・評価されていると思いました。4点の中から5点を選んだ理由が作品の良し悪しがポイントではないような点は「うん?」となりましたが、全体的に一番納得できるジャッジでした。
God Hates Us All
鑑賞的視点 2
評価的視点 2
長く読みにくい前文、人を小ばかにしたような講評の文体に、炎上を狙った風か、スタイリッシュなオレ最高風か、なんらかのキャラクターを演じているように感じました(ペンネームの神様なのかな)。ごめんなさい、少し青臭いかなと思いました。とはいえ、鑑賞・評価を盛り込んでいる点は評価しました。ただ短い文章に余計な言葉も含むため、判断材料が少なく、十分に評価できませんでした。比喩が適切でないためか、理解しきれていない作品を言葉でごまかしているように感じる箇所もあり、全体的な評価は低くさせていただきました。良くいえば、新しいタイプのジャッジですが、ジャッジには斬新さより分かりやすさを求めたいです。斬新さはファイターの方に出て発揮して欲しい。でも箸休めには面白かったです(真似です)。
結果
4点 壱とQ
5点 海黒夜男
2点 God Hates Us All
勝ち抜けは、海黒夜男さんとします。
瀞 鉄男
私に小説はわからない。川柳に偏向した私には小説について語る資格がない、と言い換えてもよい。ジャッジであれば文芸全方向に通じていなければならないが、ファイターとしての特権、短詩型、特に私の「川柳」に関することを中心にジャッジのジャッジをさせてもらう。なお、ジャッジということがいかに難行であったか思い知らされた。あらためて御三方に尊敬を申し上げる。
壱とQ 2点
「あゆみ」みかちん作について、この俳句連作にはすべて「季語」が使われていることによって一年間の時間経過が表されているわけだが、評者に「季語」というものへの言及がない。「季語」と言う点から「記憶のスナップ写真を並べたアルバムのようだ」という読解をさらに深めることもできるだろうし、年を通した「作中主体」の成長という観点も持てるはずだ。「子供の視点と声が驚くほどリアル」ではあるが、「季語」という、子供にはやや理解し難い——実際に、俳人でも処理が難しい季語が頻発される——ワードを自在に駆使しているのは、やはり「俳人」という「かつては子供であった」大人でしかあり得ない。単なるイノセンスとして捉えると、この句の作者が仕掛けた罠に陥ることになる。「これが俳句である」ということの構造上への言及が欲しかった。
海黒夜男 3点 勝ち抜け
「ママ・グランデの葬列」瀞鉄男について。「作者が持つ膨大な知識と内面」とは嬉しい言葉ではあるが、瀞ごときの知識なんぞ「膨大」などとは言ってはいけない。「葬列」の句群において扱われているのは、ほんの少し聞き齧りすれば誰にでも得ることのできる素材に過ぎない。ただ、その素材が「脈絡なく衝突するようコラージュされている」という指摘は鋭い詩的視点であるし、あくまで句を句として、なお連作として読み解こうとした点は評価したい。蛇足だがガルシア=マルケスを読んでいない、ということは自虐にも自慢にもならないので言わない方がよいだろう。
God Hates Us All 2点
パンクバンドの圧で鬼面人を威す必要性はない。己の文章力を誇るべきだ。「あゆみ」について季語について言及しているのはよい。「ママ・グランデ」について「自由律に近い状態で自由に詠んだ」という。あの川柳連作は、ひとつ残らず十七音字である。無理をすればすべて五七五で読めないこともない。字数に意識を研ぎ澄まして詠んだ句であり、「自由に詠んだ」ものではありえない。この点を見逃されたのは痛い。総体として「ママ・グランデ」を評価してくれただけに、惜しまれる。ニーチェのアフォリズムとは意外な発見であった。
ささやか
みなさま、選考、対戦、ジャッジをしていただきありがとうございました。大変楽しく参加させていただきました。それでは、以下に「ジャッジをジャッジ」を記載します。
壱とQさん
おそらくどんな作品にも美点と欠点を感じ取ったであろうに、作品の良さだけにスポットライトを当ててポジティブに評価する姿には好感が持てました。わたしの存じていなかった知識や、新しい視点からの読みがあり、勉強になりました。
海黒夜男さん
作品の良い部分だけでなく気になるところもしっかり指摘する。それがまた、ファイター側としてはいいアドバイスになっていると思います。また、なぜこの点数なのか、というところにも納得感がありました。
God Hates Us Allさん
全体を通してずっとうっすらすべっておられた印象です。奇を衒いたい気持ちはわかりますが、ジャッジ自体には責任を持っていただきたいところ。言葉のバリエーションが豊かなのは素晴らしいと思います。
得点: 5段階評価だが各ジャッジ5点を基準にして少しでも劣っていると思ったものは減点する。1点以下は無し。
壱とQさん【4点】
海黒夜男さん【5点】
God Hates Us Allさん【1点】
勝ち抜け 海黒夜男さん
